介護士派遣業の成功事例8選|補助金活用とDX・スタッフ定着率改善の打ち手
目次
冒頭概要
介護士派遣業において収益を伸ばした会社の共通点は、「スタッフの稼働率」と「事務工数」の両方を同時に改善したことにある。本記事では、補助金活用とDXを組み合わせた再現しやすい打ち手を8件の成功事例で整理する。
介護士派遣業の収益構造は、①稼働するスタッフ数×②平均時給マージン×③稼働率で決まる。構造的な人材不足により新規登録者獲得が最大のボトルネックとなる一方、施設側のニーズ急増で案件自体は存在する。問題は、マッチングの精度・速度と、派遣後の定着率を同時に改善しなければ採算が合わない点だ。また、勤怠管理・請求・契約書の事務処理が属人化しており、スタッフ1名あたりの管理コストが収益を圧迫しやすい。
IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金は、派遣管理システム・採用LP・デジタル広告への投資と親和性が高く、採択の論点も「稼働率改善と事務工数削減による労働生産性向上」に集約しやすい。
以下の8事例を読むと、「採用導線の整備」「派遣管理のDX化」「スタッフ定着の仕組み化」「施設向けB2B営業の強化」という4つの勝ち筋が、それぞれどのKPIを動かしているかが具体的に分かる。
成功事例
東京の介護士派遣会社:派遣管理システム一元化で事務工数を大幅削減した例
| 項目 | 内容 |
|---|
| 会社名・個人事業主名 | A社(匿名) |
| 切り口 | ITツール活用(業務効率化・自動化)/標準化・マニュアル化/生産性向上/データ活用 |
| 会社概要 | 東京都内を拠点とする介護士派遣専門の中小企業。登録スタッフ約80名、主に特別養護老人ホーム・有料老人ホームへの短期・長期派遣を手がける。創業8年目で売上は安定推移していたが、内部管理のアナログ運用が成長を阻んでいた。 |
| 当初の課題・挑戦 | 勤怠管理・シフト調整・請求書作成をすべてExcelと紙で処理していたため、担当者が月末に50時間超の事務作業を抱える状況だった。ミスによる請求遅延が施設側の信頼低下にもつながっていた。 |
| 取組み・成功のポイント | 派遣業務一元管理システム「マッチングッド」の導入という打ち手で、勤怠・シフト・請求・契約書の全工程をクラウドに集約した。導入時にはスタッフへのスマートフォン操作研修も実施し、現場入力の精度を高めた。既存フローのマニュアル化と同時進行で進めたことで、システム定着率が向上。請求処理の標準化により担当者の月末集中作業を解消した。 |
| 成果・今後の展望 | 事務工数を月約35時間削減(目標例:▲30〜50%)。請求遅延ゼロを達成し、施設側からの契約継続率が向上。削減した工数を新規施設への営業活動に充て、取引先を半年で4件追加している。 |
| 補助金・助成金 | 活用済。制度名:IT導入補助金。使途:派遣管理・勤怠・請求一元化クラウドシステムの導入費。採択の論点:事務工数削減と請求精度向上による労働生産性改善の道筋を示すこと。 |
| リンク先 | IT導入補助金公式:https://www.it-hojo.jp 参考システム:https://www.zigexn.co.jp/13533/ |
神奈川の介護士派遣会社:デジタル広告とLP整備でスタッフ新規登録数を改善した例
| 項目 | 内容 |
|---|
| 会社名・個人事業主名 | B社(匿名) |
| 切り口 | 広告宣伝(デジタル)/ITツール活用(集客・広告宣伝)/販路開拓・営業活動/補助金活用 |
| 会社概要 | 神奈川県内に本社を置く介護士派遣・紹介予定派遣の中小企業。登録スタッフ60名規模。横浜・川崎エリアの施設への供給を主力とするが、登録者数の伸び悩みで案件充足率が低下していた。 |
| 当初の課題・挑戦 | スタッフ募集をハローワークと紙チラシに依存しており、月間新規登録者数が平均3〜4名にとどまっていた。案件は月20件超あるにもかかわらず充足率が60%台で推移し、売上機会を逃し続けていた。 |
| 取組み・成功のポイント | Google広告・Meta広告の同時配信と、介護士向け求人LPの新規制作という打ち手を組み合わせた。LPでは「日払い対応」「シフト自由」などスタッフが重視する条件を訴求軸に設定。広告配信データを週次で確認し、登録転換率が低い広告グループを3週間で入れ替えるPDCAを確立した。 |
| 成果・今後の展望 | 月間新規登録者数が3名→11名へ増加(目標例:+5〜15名/月)。充足率が60%台から80%台へ改善。広告費1円あたりの登録獲得単価も3か月で約40%改善し、採算ラインを確立した。 |
| 補助金・助成金 | 活用できる制度の候補例:小規模事業者持続化補助金等。使途:介護士向け求人LP制作、Google広告・Meta広告の初期費用、問い合わせフォーム整備。採択の論点:採用チャネルの多様化による新規登録者獲得数の増加と、稼働率・売上改善の道筋を示すこと。 |
| リンク先 | 参考:https://mirasapo-plus.go.jp/hint/20509/ |
埼玉の介護士派遣会社:スタッフ研修の標準化で定着率と稼働率を改善した例
| 項目 | 内容 |
|---|
| 会社名・個人事業主名 | C社(匿名) |
| 切り口 | 標準化・マニュアル化/人材活用・採用・育成/生産性向上/接客・サービス |
| 会社概要 | 埼玉県南部エリアを中心に事業展開する介護士派遣会社。登録スタッフ約50名。グループホームや訪問介護事業所への供給が中心。スタッフの離職率が高く、採用コストが収益を圧迫していた。 |
| 当初の課題・挑戦 | 登録スタッフの派遣後3か月以内の離脱率が35%を超えており、施設からのクレームも年間12件発生していた。入社時の説明が属人的で、スタッフごとに施設ルール理解のバラつきが大きかった。 |
| 取組み・成功のポイント | 施設別・業務別の「派遣前オリエンテーション動画」を12本制作し、入社時に必ず視聴する仕組みを構築するという打ち手を実施した。動画は施設ごとの注意点・コミュニケーションのルールまで盛り込み、現場でのトラブルを事前に潰す設計にした。加えて、派遣1か月後の面談制度を導入し、早期離脱のシグナルを拾える体制を整えた。 |
| 成果・今後の展望 | 3か月以内の離脱率が35%→18%へ改善(目標例:▲10〜20pt)。施設からのクレーム件数も年12件→4件に減少。スタッフの継続稼働が伸びたことで、1登録あたりの生涯稼働価値が向上した。 |
| 補助金・助成金 | 活用できる制度の候補例:小規模事業者持続化補助金等。使途:研修用動画教材の制作費、タブレット端末(研修視聴用)の購入、マニュアル印刷・整備費。採択の論点:スタッフ定着率の向上と採用コスト削減を通じた労働生産性改善の道筋を示すこと。 |
| リンク先 | 参考:https://mirasapo-plus.go.jp/subsidy/ |
千葉の介護士派遣会社:施設との長期契約モデルへの転換で売上安定性を高めた例
| 項目 | 内容 |
|---|
| 会社名・個人事業主名 | D社(匿名) |
| 切り口 | CRM・会員制度・サブスク化(長期取引価値向上)/販路開拓・営業活動/価格戦略・値上げコミュニケーション/OEM・ODM・B2B化 |
| 会社概要 | 千葉県北西部(船橋・柏周辺)を商圏とする介護士派遣会社。スタッフ登録数約40名。単発・スポット派遣が売上の75%を占め、月次売上の振れ幅が大きかった。 |
| 当初の課題・挑戦 | スポット案件依存で月次売上が±30%ブレる不安定な経営が続いていた。施設側との交渉力が弱く、単価の値引き要求を断れない状況でもあり、粗利率が低下傾向にあった。 |
| 取組み・成功のポイント | 「3か月・6か月の優先供給契約」を施設側に提案するという打ち手を実施した。契約施設には専任コーディネーターのアサインと優先マッチング枠を提供する代わりに、月額固定料金での長期契約を取り付けた。交渉資料として、過去の充足率実績・スタッフ定着率データを数値化してプレゼンしたことで、施設側の信頼を獲得できた。 |
| 成果・今後の展望 | 長期契約施設が6か月で3件→9件に増加。月次売上の振れ幅が±30%→±12%に改善し、資金繰りが安定した。平均契約単価も5%程度改善(目標例:+5〜10%)。 |
| 補助金・助成金 | 未活用。今後の候補:小規模事業者持続化補助金。使途例:施設向け営業資料・提案書のデザイン制作、会社案内LP、実績データ可視化ツールの整備。採択の論点:法人取引先の拡大と長期契約比率向上による売上安定化・単価改善の道筋を示すこと。 |
| リンク先 | 参考:https://j-net21.smrj.go.jp/startup/guide/medical/welfare03.html |
東京の介護士派遣会社:AIマッチングツール導入でスタッフ充足率と稼働率を改善した例
| 項目 | 内容 |
|---|
| 会社名・個人事業主名 | E社(匿名) |
| 切り口 | AI活用/データ活用/ITツール活用(業務効率化・自動化)/生産性向上 |
| 会社概要 | 東京都23区を中心にサービス提供する介護士派遣会社。登録スタッフ100名超。案件数は多いが、コーディネーターがスタッフの希望条件・スキル・通勤エリアを手動で照合しており、マッチングに平均2日以上かかっていた。 |
| 当初の課題・挑戦 | コーディネーター1名が担当できるスタッフ数に上限があり、案件が集中する週末・月末には対応が追いつかなかった。マッチングの精度も属人的で、「入ってみたら想定と違った」とするスタッフの離脱が多発していた。 |
| 取組み・成功のポイント | AIを活用したスタッフ×案件マッチング支援ツールを導入し、スキル・希望シフト・通勤圏・過去稼働施設の4軸でスコアリングするという打ち手を導入した。コーディネーターはAIが提示した候補上位3件の中から最終確認するだけでよくなり、マッチング所要時間が大幅に短縮された。 |
| 成果・今後の展望 | マッチング所要時間が平均2日→4時間に短縮(目標例:▲70〜80%)。充足率が71%→88%に改善。コーディネーター1名あたりの担当可能スタッフ数が約1.5倍に拡大し、採用コストを増やさずに事業規模を拡大できた。 |
| 補助金・助成金 | 活用済。制度名:IT導入補助金。使途:AIマッチング支援ツールの導入費・初期設定費・操作研修費。採択の論点:マッチング精度向上と事務工数削減による労働生産性改善と稼働率向上の道筋を示すこと。 |
| リンク先 | IT導入補助金公式:https://www.it-hojo.jp 参考:https://pro-cas.jp/column/20250416-03/ |
神奈川の介護士派遣会社:介護保険外サービスの新規事業立ち上げで収益源を多様化した例
| 項目 | 内容 |
|---|
| 会社名・個人事業主名 | F社(匿名) |
| 切り口 | 新商品・新サービス/新規事業・多角化/価格戦略・値上げコミュニケーション/ブランディング・リブランディング |
| 会社概要 | 神奈川県相模原市を拠点とする介護士派遣会社。登録スタッフ約70名。介護保険内派遣のみでは制度改定のたびに単価が変動するリスクを抱えており、自費(介護保険外)サービスへの展開を模索していた。 |
| 当初の課題・挑戦 | 介護保険制度に依存した収益構造のため、報酬改定のたびに利益率が変動するリスクがあった。また、登録スタッフのスキルを保険外サービスに展開する営業・価格設定のノウハウが社内になかった。 |
| 取組み・成功のポイント | 「家事支援・生活援助の自費サービスパッケージ」を新たに開発し、既存の施設・居宅介護支援事業所に提案するという打ち手を実施した。時間単価を保険内の1.4倍に設定し、「専任スタッフ固定」「週次レポート提供」を付加価値として訴求した。チラシ制作と施設向け説明会を組み合わせた販路開拓で、初年度に法人契約3件を獲得した。 |
| 成果・今後の展望 | 保険外サービスの売上比率が0%→売上全体の18%まで拡大(目標例:新事業比率10〜20%)。粗利率も保険内派遣比で3〜4pt高く、利益構造の改善に寄与した。 |
| 補助金・助成金 | 活用できる制度の候補例:新事業進出補助金等。使途:介護保険外サービスの新メニュー開発、施設向け提案資料・チラシ制作、説明会開催費用。採択の論点:既存の人材・ノウハウを活用した新規事業展開により、売上多様化と粗利率改善の道筋を示すこと。 |
| リンク先 | 参考:https://caretree.jp/archives/19594 |
大阪の介護士派遣会社:地域介護施設との協定締結で安定供給体制を構築した例
| 項目 | 内容 |
|---|
| 会社名・個人事業主名 | G社(匿名) |
| 切り口 | 事業連携/口コミ・紹介プログラム/アフターサービス・保証拡充/人材活用・採用・育成 |
| 会社概要 | 大阪府北部エリアに拠点を置く介護士派遣会社。スタッフ登録数約45名。単独での求人広告費が増加するなか、同エリアの同業者との差別化が難しくなっていた。 |
| 当初の課題・挑戦 | 近隣の介護士派遣会社との競合が激化し、価格競争に巻き込まれていた。施設側の「またあの会社に頼もう」という指名選択を生み出すための関係構築ができていなかった。 |
| 取組み・成功のポイント | 同エリアの5施設と「優先供給・定期訪問・担当者固定」を3点セットにした施設連携協定を締結するという打ち手を実施した。月1回のコーディネーター訪問でニーズを先回りしてヒアリングし、急な欠員にも48時間以内に対応できる体制を構築。施設からの紹介(横展開)でさらに2施設を追加獲得した。 |
| 成果・今後の展望 | 連携施設からのリピート受注率が92%まで向上(目標例:+10〜15pt)。紹介経由で新規施設2件を獲得し、広告費をかけない取引先拡大モデルを確立。1施設あたりの平均月間稼働時間も増加した。 |
| 補助金・助成金 | 未活用。今後の候補:小規模事業者持続化補助金。使途例:施設向けニュースレター・定期報告書のデザイン制作、コーディネーター訪問ツール(タブレット・提案資料)の整備。採択の論点:既存施設との関係深化による受注継続率改善と、紹介経由の新規取引先獲得による販路拡大の道筋を示すこと。 |
| リンク先 | 参考:https://jaygrade.co.jp/blog/column/detail/20260129230110/ |
埼玉の介護士派遣会社:ICT記録ツールとキャリアアップ研修で採用力と定着率を同時改善した例
| 項目 | 内容 |
|---|
| 会社名・個人事業主名 | H社(匿名) |
| 切り口 | ITツール活用(業務効率化・自動化)/人材活用・採用・育成/生産性向上/補助金活用 |
| 会社概要 | 埼玉県北部(熊谷・深谷周辺)を商圏とする介護士派遣会社。登録スタッフ約35名。地方圏特有のスタッフ絶対数不足のなか、既存登録者の稼働継続率向上を経営の最優先課題と位置づけていた。 |
| 当初の課題・挑戦 | 登録スタッフの稼働継続率が低く、6か月以内に離脱するスタッフが全体の40%に達していた。スタッフへの成長機会の提供が不十分で、「このまま派遣で働き続けるメリットを感じない」という声が面談で繰り返し聞かれた。 |
| 取組み・成功のポイント | ICT介護記録アプリを現場へ導入し、記録業務の負担を軽減するという打ち手に加え、「介護福祉士受験サポート制度(テキスト費用補助・模試受験費補助)」をスタッフ向け福利厚生として新設した。キャリアアップを見据えて働ける環境を打ち出すことで、登録段階からの訴求力を高めた。 |
| 成果・今後の展望 | 6か月以内の離脱率が40%→23%に改善(目標例:▲10〜20pt)。介護福祉士資格取得者が翌年度に3名輩出され、高単価案件への配置が可能になった。採用LPでキャリアアップ支援を前面に出したことで新規登録者数も月平均2名増加した。 |
| 補助金・助成金 | 活用できる制度の候補例:IT導入補助金および小規模事業者持続化補助金等。使途:ICT介護記録アプリの導入費(IT導入補助金)、採用LP制作とキャリアアップ支援制度の告知広告(小規模事業者持続化補助金)。採択の論点:スタッフの定着率・稼働継続率改善と採用力強化による労働生産性向上および売上改善の道筋を示すこと。 |
| リンク先 | IT導入補助金公式:https://www.it-hojo.jp 参考:https://caps-teressamb.jp/介護dxの事例を紹介中小規模の事業所は小さく始めよう/ |
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