訪問介護の成功事例9選|補助金活用とDX・加算改善の打ち手

訪問介護の成功事例9選|補助金活用とDX・加算改善の打ち手

目次

冒頭概要

訪問介護の成功事例で共通している勝ち筋は、補助金活用も含めて「記録・請求・指示出し・情報共有」を先に整え、限られた人員でも回る運営体制をつくることです。

本記事では、訪問介護の成功事例9選をもとに、補助金活用、再現しやすい打ち手、採択のポイント、収益改善につながるKPIの動かし方まで整理します。

訪問介護は、利用者宅へ移動してサービスを提供するため、売上が「稼働時間×人員配置×加算単価」に制約されやすく、同時に記録・請求・連絡の間接業務が重くなりやすい業態です。

さらに、介護需要の増大と生産年齢人口の減少が同時進行する中で、介護分野ではICT等を活用した業務効率化が喫緊の課題とされています。厚生労働省 介護DXの推進

そのため、支援制度が効きやすい領域は、販路拡大よりもむしろ、省力化、情報共有の標準化、高付加価値化、加算取得を支える体制整備です。

実際の成功パターンをまとめると、「記録・請求の前倒しで事務工数を削減する」「指示・報告の見える化で品質と加算を両立する」「訪問状況の即時把握で抜け漏れと移動ロスを減らす」の3点に集約されます。

以下の事例を見ると、どの施策がどのKPIに効きやすいか、また補助金をどこに当てると採択ロジックを作りやすいかが分かります。

成功事例

神奈川の訪問介護:ICタグと請求連携で事務工数を削減した例

項目内容
会社名・個人事業主名A社
切り口補助金活用、ITツール活用(業務効率化、自動化)、標準化・マニュアル化、生産性向上、人材活用・採用・育成
会社概要神奈川県横浜市で、居宅介護・訪問介護を中心に展開する中小事業者です。利用者は約300人、サービス提供責任者9名、登録ヘルパー約80名と、訪問介護では比較的大きい規模で運営していました。訪問件数が多いぶん、現場の提供時間管理、実績の突き合わせ、請求前チェックの精度が収益に直結する構造でした。出典では、ヘルパーを含む従業員150名規模とされており、一定の拠点運営ノウハウを持ちながらも、紙中心運用の限界に直面していたことがうかがえます。
当初の課題・挑戦訪問介護はサービス提供時間が細かく分かれるため、管理の手間が増えやすい業態です。この事業所でも、従来のシフト管理・請求業務ツールでは対応が追いつかず、請求期日が近づくほどサービス提供責任者の残業が増えていました。ヘルパー側も現場でサービス時間を紙に記録していたため、記録作成そのものが介護時間を圧迫していました。加えて、計画と実績の突合を手作業で行う構造では、記録漏れや確認待ちが月末に集中し、現場の専門業務を圧迫しやすい状態でした。
取組み・成功のポイント訪問介護支援システム「Care-wing 介護の翼」を導入し、ICタグで訪問時間を記録、請求ソフトと連動させる体制へ移行しました。ポイントは、いきなり全体導入せず、ヘルパー10人・利用者10件で試験運用し、課題を洗い出したうえでマンツーマン研修を重ね、段階導入したことです。訪問介護では、システムの機能そのものよりも、現場が迷わず使える導入手順の設計が成否を分けます。この事例は、単なるデジタル化ではなく、記録→確認→請求の流れを一本化し、月末集中を日次処理へ置き換えた点が効いています。
成果・今後の展望定性的には、記録の手書き負担が減り、サービス提供責任者が確認業務に追われにくくなったことで、現場支援と指導に時間を戻しやすくなりました。定量面では、出典は「請求システムと連動させることで事務処理時間を大幅削減」としており、KPIとしては事務工数▲20〜50%、月末残業時間▲20〜40%が妥当な改善レンジです。目先の効率化だけでなく、ヘルパー育成や品質管理に時間を再配分できる体制づくりが次の成長余地になります。
補助金・助成金活用済:IT導入補助金。使途は、訪問介護支援システム導入、ICタグによる訪問時間記録、請求ソフト連携です。採択の論点は、「紙記録と手作業突合に起因する事務負荷を減らし、請求精度と現場時間を両立させることで生産性向上につなげる」という道筋が明確だった点です。
リンク先https://www.it-hojo.jp/h30/doc/pdf/h30_care_aozora.pdf

東京の訪問介護:指示出しの一元化で信頼と加算運営を強くした例

項目内容
会社名・個人事業主名B社
切り口ITツール活用(業務効率化、自動化)、標準化・マニュアル化、接客・サービス、人材活用・採用・育成、データ活用
会社概要東京都中野区の訪問介護事業所です。出典では、職員5名、登録ヘルパー10名、利用者130名、ヘルパー年齢層は50〜60代中心とされており、少人数の中核職員で多くの登録ヘルパーを束ねる都市型の運営モデルです。都市部の訪問介護は、移動距離の読みやすさという利点がある一方、予定変更や指示出しの頻度が高く、運営設計の差が品質と収益に直結します。
当初の課題・挑戦この事業所では、4人の職員が合計12時間かけて1カ月分の伝票確認、予定と実績の突合、利用者ごとのファイリングを行っていました。また、特定事業所加算の算定要件に関わる指示出しをメールで行っていたため、ヘルパーの見落としや報告の抜けが起きやすく、運用管理が煩雑でした。手書きシフトの修正も頻繁で、現場・管理双方にストレスが蓄積していました。
取組み・成功のポイント介護記録ソフトを導入し、指示・報告・予定変更・実績確認を一元化しました。導入時には、使い方を把握できる職員をリーダーに立て、職員→ヘルパーへ段階的に教える体制をつくった点がポイントです。高齢ヘルパーにも同行支援で定着させており、単なるツール導入ではなく、現場教育と標準化をセットにしたことが成功要因でした。ご家族へのサービス完了メールも活用し、内部効率化だけでなく外部の信頼形成にもつなげています。
成果・今後の展望出典では、これまで12時間かかっていた伝票整理とファイリングが「ほとんど0」になったとされています。さらに、指示出しの見逃しが減り、シフト変更も即時反映できるようになりました。KPIとしては、事務工数▲80〜95%、報告漏れ件数大幅減、ケアマネ・家族からの信頼向上が主要成果です。今後は、この信頼を紹介件数や継続率の改善にどう転換するかが伸びしろです。
補助金・助成金未活用(出典に制度名の記載なし)。ただし再現する場合は、デジタル化・AI導入補助金2026やIT導入補助金系の活用余地があります。採択を狙うなら、「指示見落とし防止」「記録確認工数削減」「家族への報告品質向上」を一連の改善ストーリーで示すのが有効です。
リンク先https://care-wing.jp/case/detail01/

千葉の訪問介護:月末請求を2時間まで圧縮し、加算再取得に近づけた例

項目内容
会社名・個人事業主名C社
切り口ITツール活用(業務効率化、自動化)、補助金活用、標準化・マニュアル化、生産性向上、接客・サービス
会社概要千葉市の訪問介護事業所で、ヘルパー62人、利用者235人規模の中堅事業所です。登録ヘルパーが多い事業所ほど、月末の記録回収、突合、請求処理、指示報告の管理が複雑になりやすく、加算運営にも負荷がかかります。出典からも、規模拡大に伴ってアナログ運営のコストが顕在化していたことが読み取れます。
当初の課題・挑戦この事業所では、ヘルパー人数の多さから月末事務作業が膨らみ、紙の介護記録の紛失や、月末まで訪問状況が見えないことが課題でした。また、過去に特定事業所加算を算定していたものの、指示・報告の要件を満たす運用が難しく、算定をやめた経緯がありました。つまり、課題は「効率化」だけでなく、「収益機会を取り切れない」ことにもありました。
取組み・成功のポイントICT導入で、訪問状況の見える化、記録回収の即時化、指示・報告運用の再設計を進めました。重要なのは、単に請求を早くするのではなく、加算要件を維持できる運用基盤として使った点です。訪問介護では、加算取得は営業力よりも運営精度で差がつくことが多く、この事例は「事務改善=収益改善」に結びつけた好例です。
成果・今後の展望出典では「事務作業時間を8割削減」「月末の請求業務は2時間で完結」と明示されています。KPIとしては、事務工数▲80%、請求処理時間の大幅短縮、特定事業所加算の再取得余地が主要成果です。今後は、削減した管理工数を人材定着や紹介強化に回せれば、粗利率と継続率の同時改善が狙えます。
補助金・助成金活用済(要確認):IT導入補助金の活用可能性が高い類型です。使途は、訪問記録の電子化、訪問状況の可視化、請求連携、指示・報告運用の整備。採択の論点は、「紙中心運用が月末集中と加算未取得を招いているため、ICTで処理前倒しと加算要件充足を両立する」構図です。制度名は出典上で明示されていないため、実運用時は要確認です。
リンク先https://care-wing.jp/case/nanohanamakuhari/

横浜の訪問介護:訪問漏れの防止と在宅ワーク体制づくりを進めた例

項目内容
会社名・個人事業主名D社
切り口ITツール活用(業務効率化、自動化)、標準化・マニュアル化、生産性向上、人材活用・採用・育成、リスク管理・BCP(事業継続力強化計画)
会社概要横浜市の訪問介護事業所で、ヘルパー57人、利用者238人、月2,500回超の訪問を行う規模です。こうした規模の事業所では、1件ごとの訪問単価以上に「抜け漏れをどう防ぐか」が信用と収益を左右します。訪問介護はミスが可視化されやすく、訪問漏れはクレームだけでなく紹介停止にもつながるため、管理精度が重要です。
当初の課題・挑戦この事業所では、さまざまな対策を講じてもヒューマンエラーによる訪問漏れが年に数回発生しており、利用者からの連絡で初めて判明することが多かったとされています。訪問実績をリアルタイムでつかめない運営は、再発防止も後手になりやすく、管理者の精神的負荷も高くなります。また、感染症対応などで事業所滞在を減らす必要がある局面では、紙ベース運営では在宅対応が難しいという構造課題もありました。
取組み・成功のポイント訪問状況を見える化するICTを導入し、ヘルパーは直行直帰、サ責は在宅で業務を進めやすい体制に寄せました。ポイントは、「漏れをゼロにする」よりも、「漏れそうな兆候を事業所が先に把握して動ける」状態をつくったことです。訪問介護では、緊急時の電話連絡だけでは限界があるため、リアルタイム性の高い管理基盤に置き換えることが、結果としてBCPにも効きます。
成果・今後の展望出典では、訪問の抜け漏れがなくなり、在宅ワークの体制づくりにつながったとされています。KPIとしては、訪問漏れ件数の大幅減、管理者の確認工数▲20〜40%、移動・出社に伴う間接時間▲10〜20%が妥当です。今後は、在宅運営の定着を採用訴求やサービス提供責任者の働きやすさ向上に結びつけることで、人材確保にも波及しやすくなります。
補助金・助成金未活用(出典に制度名の記載なし)。ただし、業務継続や遠隔対応を含む運営改革として申請設計しやすい内容です。採択を狙うなら、「訪問漏れ防止」「直行直帰」「在宅ワーク対応」をまとめて、労働生産性とサービス品質の両面で示すと通りやすくなります。
リンク先https://care-wing.jp/case/suzukaze/

神奈川の訪問介護:実施記録の確認を日次化し、月末の集中作業を減らした例

項目内容
会社名・個人事業主名E社
切り口ITツール活用(業務効率化、自動化)、標準化・マニュアル化、生産性向上、情報セキュリティ・プライバシー、接客・サービス
会社概要神奈川県寒川町の訪問介護事業所です。利用者37人、ヘルパー15人規模で、地域密着型の小規模運営に近い事業所といえます。小規模事業所は大手ほど管理人員を置けないため、サービス提供責任者の記録確認や書類保管に時間を取られると、現場支援・営業・家族対応まで圧迫されやすい構造があります。
当初の課題・挑戦出典では、紙の実施記録が月300〜400枚発生し、記録内容や時間の修正、週間予定との照合、抜け漏れ確認のため、毎月3〜4日を確認作業に費やしていたとされています。小規模事業所にとってこの負担は重く、管理者1人あたりの付加価値時間が削られる原因になります。緊急時に書類を持ち出さなければならない点も、現場対応上のリスクでした。
取組み・成功のポイント記録を電子化し、提出状況や修正箇所が分かりやすい運用へ切り替えました。重要なのは、単なるペーパーレスではなく、「修正対象をすぐ見つけられる」「変更実績が視覚的に分かる」状態をつくったことです。訪問介護では、記録が残っていても確認が遅れれば請求・指導・再発防止に効きません。この事例は、確認フローの設計まで含めて変えた点に価値があります。
成果・今後の展望出典では、サービス記録のモレ・ヌケがなくなり、確認作業の負担が大幅に削減されたとされています。定量的には、月3〜4日かかっていた確認作業の圧縮が中核KPIで、事務工数▲30〜50%が現実的です。書類持ち出しが不要になったことで、緊急対応時の即応性も上がっています。今後は、この余力を利用者家族への説明やケアマネ連携強化に振り向けると、紹介率改善にもつながりやすくなります。
補助金・助成金未活用(出典に制度名の記載なし)。再現する場合は、デジタル化・AI導入補助金2026、または自治体のICT支援との相性が良いテーマです。
リンク先https://care-wing.jp/case/fujicare/

千葉の訪問介護:書き忘れゼロと保管作業ゼロで、加算取得につなげた例

項目内容
会社名・個人事業主名F社
切り口補助金活用、ITツール活用(業務効率化、自動化)、標準化・マニュアル化、生産性向上、接客・サービス
会社概要千葉県船橋市で、訪問介護、居宅介護支援、デイサービス、住宅型有料老人ホームを運営する中小事業者です。訪問介護単独ではなく周辺サービスを持つことで、利用者接点は多い一方、情報共有や指示伝達の複雑さも増しやすい構造です。登録ヘルパー約30名規模のため、伝票管理と加算運営の精度が利益率を左右しやすい事業規模といえます。
当初の課題・挑戦導入前は、ヘルパーの記入ミス、報告遅延、記録確認の待ち時間、紙の保管作業といった典型的なボトルネックを抱えていました。特に、介護記録の提出待ちが発生すると、確認業務を日々分散できず、月末に管理負荷が集中します。さらに、指示・報告の精度が低いと、特定事業所加算のような加算運営に必要な基盤も弱くなります。
取組み・成功のポイントICT導入後、ヘルパーの記録作成を簡素化し、リアルタイムで訪問状況を把握できるようにしました。加えて、提出待ちをなくして確認業務を日次化し、紙保管も不要にしています。この事例の強みは、「効率化」だけでなく、「加算を取れる体制」にまで結びつけた点です。訪問介護では、売上の伸びしろは訪問件数だけでなく加算設計にもあるため、非常に再現性があります。
成果・今後の展望出典では、介護記録の書き忘れが0、保管作業が8時間から0、特定事業所加算を取得とされています。KPIとしては、事務工数▲30〜60%、保管時間▲100%、加算売上の上積みが主要成果です。今後は、効率的な勤務体制を求人訴求に使うことで、採用・定着にも波及効果が期待できます。
補助金・助成金活用済:IT導入補助金。使途は、訪問記録電子化、訪問状況のリアルタイム把握、紙保管撤廃、加算運営を支える情報共有基盤整備です。採択の論点は、「記録・保管・確認・報告の非効率を改善し、介護品質と収益性を同時に高める」ことでした。
リンク先https://care-wing.jp/case/sazanka/
https://www.compass-it.jp/pickup/3689

千葉の訪問介護立ち上げ:訪問看護との情報共有で事業拡大を進めた例

項目内容
会社名・個人事業主名G社
切り口新規事業・多角化、補助金活用、ITツール活用(業務効率化、自動化)、データ活用、生産性向上
会社概要千葉市で医療・介護系サービスを展開する事業者です。出典では従業員300名、利用者800名規模とされ、訪問看護に加えて訪問介護事業所を立ち上げる局面でICTを整備した事例です。訪問介護単独の改善ではなく、新規サービス拡張時に情報共有設計を先に行った点が特徴です。
当初の課題・挑戦訪問看護に加えて訪問介護を立ち上げる際、紙媒体のままでは転記や二重入力が増え、事業拡大のたびに間接コストが膨らむ構造でした。新規事業は利用者獲得以前に、既存事業とどう情報をつなぐかで立ち上がり速度が変わります。特に在宅系サービスは、利用者ごとの記録・連絡・時間管理が別々だと、規模拡大に耐えにくくなります。
取組み・成功のポイント訪問介護立ち上げ時点から、NFCによる訪問時間記録と情報共有システムを導入し、転記や二重管理を減らしました。訪問介護の新規立ち上げで重要なのは、「あとで整える」のではなく、最初から看護・介護・管理の情報をつなぐことです。この事例は、事業拡大フェーズでの標準化投資が、のちの管理負荷を抑える好例です。
成果・今後の展望出典では、事務処理が激減し、稼働効率が高まり、事業拡大に成功したとされています。定量値は明示されていないため、目標例としては事務工数▲20〜40%、情報入力重複▲50%、新規立ち上げ初期の管理時間▲20〜30%が妥当です。今後は、拠点横断の採算管理や利用者別収益管理まで進められると、より経営改善効果が大きくなります。
補助金・助成金活用済:IT導入補助金。使途は、訪問時間記録、情報共有、事務処理簡素化、記録忘れ防止です。採択の論点は、「新規の訪問介護事業を既存の在宅サービスと連携させ、二重入力削減と管理効率向上で拡大に耐える運営基盤をつくる」ことでした。採択一覧に事業者名が掲載されています。
リンク先https://care-wing.jp/case/detail02/
https://www.it-hojo.jp/r04/doc/pdf/r4_grant_decision_A_02.pdf

広島の在宅介護:地域情報の蓄積で、1か月300時間の記録・共有削減を実現した例

項目内容
会社名・個人事業主名H社
切り口補助金活用、事業連携、ITツール活用(業務効率化、自動化)、データ活用、新規事業・多角化、接客・サービス
会社概要広島県福山市鞆町で、デイサービス、グループホーム、小規模多機能型、居宅介護を半径400メートル内で展開する地域密着型事業者です。訪問・通い・宿泊を横断する小規模多機能の性質上、利用者一人ひとりに関する情報量が非常に多く、しかもスタッフの働き方も多様でした。地域の友人や近隣から聞いた情報までケアに活かす運営方針が、一般的な介護記録以上の情報共有基盤を必要としていました。
当初の課題・挑戦従来は表計算ソフトやノートを使って情報を記録しており、同時入力ができず、訪問先で必要情報を見られないことが課題でした。利用者の様子、薬歴、地域からの情報など、多面的なデータを扱うため、検索性と蓄積性の低さがボトルネックになっていました。単に早く記録するだけでなく、「その人らしさ」を支えるための定性情報をどう共有するかが経営上の重要テーマだった点が、一般的な効率化事例と異なります。
取組み・成功のポイントITベンダーと連携し、データベース保存機能と、SNSタイムラインのように素早く共有する機能を両立したシステムを導入しました。利用者ごとの多様な情報を現場で閲覧・入力できるようにし、写真も含めて共有可能にしたことで、「情報があるだけで使えない」状態を解消しています。地域とつながる在宅介護では、情報共有の質そのものがサービス品質に直結するため、非常に示唆の大きい事例です。
成果・今後の展望出典では、記録・情報共有にかかる時間が1件あたり15分削減、1か月合計300時間削減とされています。さらに、利用者理解の深まり、重要情報の検索性向上、現場記録の正確性向上が報告されています。KPIとしては、記録工数▲300時間/月、情報検索時間大幅減、ケア品質向上が主要成果です。地域連携型の介護では、この削減分を対人支援へ戻せることが最大の価値です。
補助金・助成金活用済:IT導入補助金。使途は、在宅医療情報共有システム導入、現場入力用タブレット、利用者情報データベース化です。採択の論点は、「多面的な利用者情報を安全かつ迅速に共有し、記録時間削減とケア品質向上を両立する」ことでした。
リンク先https://www.it-hojo.jp/r01/doc/pdf/r1_itkatsuyo.pdf

大阪の訪問介護併設型:多拠点運営を4事業所から段階導入した例

項目内容
会社名・個人事業主名I社
切り口補助金活用、ITツール活用(業務効率化、自動化)、標準化・マニュアル化、生産性向上、人材活用・採用・育成
会社概要大阪府を中心に住宅型有料老人ホーム等を20施設運営し、入居者に個別契約で訪問介護サービスを提供する事業者です。約700室を運営し、訪問介護スタッフは総勢400名超という多拠点・多人数型のモデルで、都市部の在宅・併設型訪問介護に近い運営課題を持っています。複数拠点を抱える場合、本部が日々の状況をどこまで把握できるかが利益管理の分水嶺になります。
当初の課題・挑戦紙の提出処理が多く、保管年数も長いため、段ボール単位での保管が発生していました。実績管理のチェックや入力はサービス提供責任者の大きな負担で、人材獲得も課題でした。また、外国人材が増える中で、細かなニュアンスをどう共有するかも運営上の論点になっていました。つまり、課題は単純な事務削減だけでなく、多様な人材が同じ基準で動ける仕組みづくりにありました。
取組み・成功のポイントスマートフォンでサービス実績を確認・記録できるクラウドを導入し、ICタグ読み取りで到着・退室を記録、請求ソフト連携までつなげました。全拠点一斉ではなく、IT導入補助金を活用して4事業所からスタートした段階導入がポイントです。訪問介護では、拠点数が増えるほど「まず小さく回して標準化してから横展開する」方が失敗しにくく、この事例はその型を示しています。
成果・今後の展望出典では、現場の業務負担を大幅に減らしつつ、リアルタイムで各施設の状況把握が可能になったとされています。KPIとしては、実績入力工数▲20〜40%、紙保管関連工数▲50%以上、情報共有の速度向上が主要成果です。今後は、各拠点の生産性比較や採用・育成の共通基盤づくりへ展開しやすい事例です。
補助金・助成金活用済:IT導入補助金。使途は、スマートフォン入力、ICタグ記録、請求連携、ペーパーレス化です。採択の論点は、「多拠点・多人数運営における実績管理と情報共有の非効率を減らし、労働生産性と運営標準化を進める」ことでした。
リンク先https://www.it-hojo.jp/r01/doc/pdf/r1_itkatsuyo.pdf

補足的な公式事例:スマホ記録と請求連携で月末作業を前倒しした訪問介護の例

項目内容
会社名・個人事業主名J社
切り口補助金活用、ITツール活用(業務効率化、自動化)、生産性向上、標準化・マニュアル化、接客・サービス
会社概要中小企業庁のミラサポplusで紹介されている訪問介護の事例です。地域は本文中で明示されていませんが、訪問介護実績の入力、サービス内容報告、請求システム連携を行う典型的な在宅介護モデルとして参考価値があります。個別企業の詳細よりも、「どういう改善が補助金対象になりやすいか」をつかむ補助線として有効です。
当初の課題・挑戦手書きの報告書作成、訪問介護実績の請求システムへの再入力、紙書類の分類・保管が重く、月末作業が集中していました。訪問介護では、記録と請求が分断していると、月末の短期間に事務負荷が一気に集まりやすく、現場時間や休暇取得にも影響します。
取組み・成功のポイントスマートフォンのタッチで出退勤時間を記録し、サービス内容報告をその場で完了させ、請求システム入力を不要化しました。ポイントは、ヘルパーの現場操作がシンプルであることと、日々データを確認できることで月末処理を前倒しできる点です。訪問介護で補助金申請する際は、この「再入力削減」と「月末集中の平準化」が最も書きやすい論点です。
成果・今後の展望出典では、手書き報告書作成作業がなくなり、月末作業が大きく削減、ペーパーレス化で分類・保管業務も不要になり、サービス提供責任者を事務作業から解放できたとされています。定量値は明示されていないため、目標例としては事務工数▲20〜50%、月末集中工数▲30〜50%が妥当です。
補助金・助成金活用済:IT導入補助金。使途は、スマホ記録、サービス報告、請求連携、ペーパーレス化です。採択の論点は、「現場の記録を請求までつなぎ、月末集中と紙運用を減らしてサービス時間を確保する」ことでした。
リンク先https://mirasapo-plus.go.jp/hint/20874/

補足・参考情報

関連補助金

  • デジタル化・AI導入補助金2026:介護記録、請求連携、情報共有、AI活用を含むIT導入に相性が良い制度です。 https://it-shien.smrj.go.jp/
  • 小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>:小規模な訪問介護事業者が、販路開拓や業務改善を伴う取り組みに使いやすい制度です。 https://www.jizokukanb.com/jizokuka_r6h/shinsei.html
  • 中小企業省力化投資補助金:汎用製品導入や個別の省力化投資に使える制度で、現場省力化・バックオフィス省力化の双方に検討余地があります。 https://shoryokuka.smrj.go.jp/
  • 東京都中小企業振興公社の助成金:東京都内事業者は、DX推進助成金や介護関連助成の確認価値があります。 https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/index.html

DX参考サイト

支援機関

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