防水工事業の成功事例8選|補助金活用とDX・単価改善の打ち手
目次
冒頭概要
防水工事業で収益を伸ばした中小企業に共通するのは、「下請け依存からの脱却」と「保守契約による安定収益化」という構造転換だ。本記事では、補助金活用と再現しやすい打ち手を軸に、8件の成功事例を業界構造から因果まで整理して紹介する。
防水工事業は、屋根・外壁・地下躯体の防水施工を担う専門工事業であり、建設業全体の景気感に連動しやすい。受注は元請けゼネコンや管理会社経由が多く、単価交渉力が弱い下請け構造に陥りやすい。一方で、施工後10〜15年での改修需要が安定しており、既存顧客への定期点検・保守契約による継続受注がLTV向上に直結する。
人材確保難と資材費高騰が続く中、省力化設備やITツールによる現場・事務の効率化が急務となっている。補助金が効く領域は、販路開拓(LP・営業ツール整備)、省力化(施工管理アプリ・点検ドローン)、高付加価値化(保証拡充・保守契約サービス)の3つに集約される。
以下の事例を読むことで、「どの打ち手が受注率・単価・工数削減に効いたか」の勝ちパターンを自社に置き換えて検討できる。
東京の防水工事業者:施工管理アプリ導入で事務工数を大幅削減した例
| 会社名 | A社(匿名) |
| 切り口 | ITツール活用(業務効率化・自動化)/標準化・マニュアル化/生産性向上/補助金活用 |
| 会社概要 | 東京都内を中心に屋上・外壁防水を手がける従業員8名の防水工事業者。マンション管理組合・ビルオーナー向けのBtoB受注が中心。創業20年超で技術力は高いが、事務処理が属人的で経営者が現場と管理を兼任していた。 |
| 当初の課題・挑戦 | 現場日報・写真台帳・見積書・請求書をすべて紙とExcelで管理しており、1件あたりの事務処理に平均2時間超を要していた。現場職人から写真をLINEで受け取り、手作業で台帳に貼り付けるフローが常態化。請求漏れや日報の記載ミスによる手戻りが月3〜5件発生し、経営者の残業が月40時間を超えていた。 |
| 取組み・成功のポイント | 施工管理アプリ(現場日報・写真台帳・工程表を一元化)とクラウド会計ソフトを連携させるという打ち手で、紙フローを完全廃止した。職人がスマートフォンで撮影した写真は自動でプロジェクトフォルダに振り分けられ、日報入力も現場で完結。見積書と請求書はテンプレート化し、作成時間を従来の60分から15分に短縮した。導入にあたっては操作研修を2回実施し、60代職人も含めた全員定着を実現。標準化・マニュアル化の打ち手として、写真命名規則・日報記載ルールを整備したことで、品質のばらつきも解消された。 |
| 成果・今後の展望 | 事務工数を1件あたり約50%削減(2時間→1時間未満)。請求漏れ・日報ミスによる手戻りは月0件に改善(目標例:手戻り工数▲30〜50%)。経営者の残業が月40時間から15時間以下に減少し、新規営業活動に充てる時間を確保。今後はCRM機能を活用した既存顧客への定期点検案内の自動化を検討中。 |
| 補助金・助成金 | 活用済。制度名:IT導入補助金。使途:施工管理アプリ導入費・クラウド会計ソフト初期設定費・操作研修費。採択の論点:事務工数の定量的削減と請求精度向上により、労働生産性の改善を示すこと。 |
| リンク先 | IT導入補助金公式:https://www.it-hojo.jp/ |
神奈川の防水工事業者:管理会社への直接提案で受注単価を引き上げた例
| 会社名 | B社(匿名) |
| 切り口 | 販路開拓・営業活動/価格戦略・値上げコミュニケーション/ブランディング/補助金活用 |
| 会社概要 | 神奈川県内でマンション・商業施設の屋上防水・シーリング工事を手がける従業員12名の業者。従来は地元ゼネコン1社の下請けが売上の70%を占め、単価交渉の余地が乏しかった。 |
| 当初の課題・挑戦 | 元請けからの値下げ圧力が続き、粗利率が15%前後に低迷。繁忙期と閑散期の波が激しく、通年での安定受注が課題だった。直接顧客である管理会社へのアプローチ経験がなく、営業ツールも整備されていなかった。 |
| 取組み・成功のポイント | 管理会社・ビルオーナー向けに「10年保証付き防水改修提案書」と専用LPを制作するという打ち手で、直接営業のインフラを整備した。提案書には施工前後の写真事例、工法の優位性、保証内容を明記し、管理会社の担当者が稟議を通しやすい構成に設計。並行してGoogleビジネスプロフィールを整備し、マンション管理会社からの問い合わせ経路を確立した。既存施工現場を「見学可能事例」として活用する口コミ・紹介プログラムの打ち手も展開し、管理会社間の紹介経由受注が増加した。 |
| 成果・今後の展望 | 直接受注比率が売上の30%→55%に改善。平均受注単価が約18%向上(目標例:平均単価+10〜20%)。閑散期の受注数も増加し、売上の季節変動が縮小。今後は大規模修繕のコンサルティング提案にサービスを拡張し、元請け機能の強化を図る。 |
| 補助金・助成金 | 活用済。制度名:小規模事業者持続化補助金。使途:管理会社向け提案書制作費、専用LP制作費、Googleビジネスプロフィール最適化支援費。採択の論点:新規顧客層(管理会社)への販路開拓により、売上・粗利率の改善を示すこと。 |
| リンク先 | 小規模事業者持続化補助金公式:https://s23.jizokukahojokin.info/ |
埼玉の防水工事業者:ドローン点検と作業標準化で品質と生産性を同時改善した例
| 会社名 | C社(匿名) |
| 切り口 | ITツール活用(業務効率化・自動化)/標準化・マニュアル化/品質・安全・認証/補助金活用/地域連携 |
| 会社概要 | 埼玉県内を拠点に工場・倉庫・公共施設の防水工事を手がける従業員15名の業者。地元商工会議所の経営相談を機に生産性向上に取り組んだ。 |
| 当初の課題・挑戦 | 屋根面積の広い工場や倉庫の劣化調査に職人が半日以上かかっており、現場調査コストが受注採算を圧迫していた。また、職人ごとの施工品質にばらつきがあり、引き渡し後のクレーム・手戻りが年間5件程度発生していた。 |
| 取組み・成功のポイント | ドローンによる屋根劣化診断の導入という打ち手で、調査時間を従来の4時間から1時間以下に短縮した。診断結果はPDFレポートとして顧客に提供するサービスフォーマットを確立し、提案の付加価値を高めた。並行して施工手順のマニュアル化と動画研修コンテンツの整備を実施。職人研修を年2回定例化し、新人が2週間で基本施工を習得できる体制を構築した。地元商工会議所のDX支援事業を活用して外部専門家と連携したことも、短期間での体制整備を可能にした。 |
| 成果・今後の展望 | 現場調査工数が約70%削減(目標例:移動・調査時間▲40〜60%)。クレーム件数が年間5件→1件以下に改善。診断レポートの提供により、受注後の追加施工提案が成立するケースが増加し、平均受注額が約12%上昇。今後はドローン点検を独立したサービスメニューとして展開予定。 |
| 補助金・助成金 | 今後の候補:ものづくり補助金等が想定される。使途例:業務用ドローン・解析ソフト導入費、マニュアル・動画研修コンテンツ制作費。採択の論点:設備投資と工程標準化により、現場生産性と施工品質を定量的に改善することを示すこと。 |
| リンク先 | ものづくり補助金公式:https://portal.monodukuri-hojo.jp/ / 上尾商工会議所 DX支援事例:https://www.asasimple.jp/ageo-marugami-kensou-dx/ |
東京の防水工事業者:年次点検・保守契約サービスの新設でLTVを向上させた例
| 会社名 | D社(匿名) |
| 切り口 | 新商品・新サービス/CRM・会員制度・サブスク化(LTV向上)/アフターサービス・保証拡充/補助金活用 |
| 会社概要 | 東京都東部を中心に住宅・マンションの防水・屋根工事を手がける従業員6名の小規模事業者。施工後の顧客フォローが乏しく、受注が都度単発で完結していた。 |
| 当初の課題・挑戦 | 施工完了後に顧客との接点が途絶え、数年後の改修時には競合他社に仕事を取られるケースが続いていた。既存顧客データは紙台帳で管理されており、フォローアップの仕組みが存在しなかった。 |
| 取組み・成功のポイント | 「10年保証+年次点検パック」という保守契約サービスを新設するという打ち手で、施工後の継続接点を設計した。顧客管理をクラウドCRMに移行し、施工から1年後・3年後・5年後に自動でフォローメール・ハガキが送られる仕組みを構築。点検時には「劣化進行レポート」を提供し、次回改修の必要性を視覚化することで再受注提案のタイミングを明確化した。既存顧客への保守契約案内をLPと郵送DMで展開し、初年度に30件の契約を獲得した。 |
| 成果・今後の展望 | 保守契約継続率80%(目標例:継続・更新率+5〜10pt)。既存顧客からの再受注までの平均期間が7年→4年に短縮。年間売上に占める安定収益(保守契約)の割合が0%から約15%に改善。今後は保守契約顧客を対象とした優先施工枠の提供で解約防止を強化する。 |
| 補助金・助成金 | 活用済。制度名:小規模事業者持続化補助金。使途:保守契約サービス用LP制作費、顧客管理CRM導入費、郵送DM・案内ツール制作費。採択の論点:新サービス(保守契約)の販路開拓と顧客LTVの向上により、売上・労働生産性の改善を示すこと。 |
| リンク先 | 小規模事業者持続化補助金公式:https://s23.jizokukahojokin.info/ |
千葉の防水工事業者:クラウド見積・請求システムで管理業務を効率化した例
| 会社名 | E社(匿名) |
| 切り口 | ITツール活用(業務効率化・自動化)/データ活用/生産性向上/補助金活用 |
| 会社概要 | 千葉県内で防水・外壁塗装・シーリング工事を手がける従業員10名の業者。管理会社・工務店からのBtoB受注が主体で、年間受注件数は約120件。 |
| 当初の課題・挑戦 | 見積書作成にExcelを使用していたが、工種ごとの単価マスタが統一されておらず、見積もりに担当者ごとのばらつきが生じていた。請求書の発行から入金確認まで経理担当1名が手作業で対応しており、月末に集中する請求業務の残業が慢性化していた。 |
| 取組み・成功のポイント | クラウド型建設業向け見積・請求・工程管理システムを一本化して導入するという打ち手で、見積書の単価マスタを全社統一した。見積書から請求書への転記が自動化され、入金管理もシステム上で完結。電子帳簿保存法への対応も同時に完了した。導入後は過去の受注データが蓄積されるようになり、工種別の原価率・粗利率の見える化が可能になった。データを基に採算の低い工種の単価見直しを実施し、粗利率の改善につなげた。 |
| 成果・今後の展望 | 月末請求業務の工数が約45%削減(目標例:事務工数▲30〜50%)。見積作成時間が平均80分→30分に短縮。工種別粗利率の見える化により、低採算工種の受注を選別できるようになり粗利率が約2pt改善。今後は顧客別の受注履歴分析を活用した定期提案に展開する予定。 |
| 補助金・助成金 | 活用済。制度名:IT導入補助金。使途:クラウド型建設業向け見積・請求・工程管理システム導入費・初期設定費・操作研修費。採択の論点:見積・請求業務の工数削減と電子化による労働生産性向上および法令対応を示すこと。 |
| リンク先 | IT導入補助金公式:https://www.it-hojo.jp/ |
神奈川の防水工事業者:不動産管理会社との連携で定期受注を安定化させた例
| 会社名 | F社(匿名) |
| 切り口 | 事業連携/販路開拓・営業活動/口コミ・紹介プログラム/新商品・新サービス |
| 会社概要 | 神奈川県横浜市近郊で防水・外壁補修工事を手がける従業員7名の事業者。個人オーナーからの単発受注が中心だったが、受注の波が大きく通年の安定稼働に課題を抱えていた。 |
| 当初の課題・挑戦 | 繁忙期(春・秋)に受注が集中する一方、冬季の稼働率が大幅に低下していた。個人オーナーからの問い合わせ対応に時間がかかる割に、受注に至らないケースも多かった。営業活動は紹介頼みで、新規顧客開拓の仕組みがなかった。 |
| 取組み・成功のポイント | 地域の不動産管理会社3社と「定期巡回点検パートナー協定」を締結するという打ち手で、管理物件への定期点検・軽微補修の優先発注先ポジションを確立した。管理会社には「防水劣化チェックシート付き巡回報告書」を毎回提供する仕組みを構築し、管理会社側のオーナー説明業務を軽減することで継続取引の価値を高めた。連携後は管理会社の担当者を通じた新規物件紹介が月2〜3件ペースで安定し、閑散期の工数を埋める受注源となった。 |
| 成果・今後の展望 | 閑散期(冬季)の月間受注件数が平均2件→6件に改善(目標例:稼働率+10〜20pt)。管理会社経由の受注が全体の35%を占めるまでに拡大。受注単価の交渉余地も生まれ、平均単価が約8%向上。今後は連携管理会社を現在の3社から8社に拡大し、神奈川全域の管理物件をカバーする広域展開を目指す。 |
| 補助金・助成金 | 未活用。今後の候補:小規模事業者持続化補助金。使途例:管理会社向け提案資料制作費、定期点検報告書フォーマット設計費、営業用ホームページ改修費。採択の論点:管理会社との連携を販路開拓の柱として整理し、新規顧客層への継続受注につながる投資であることを示すこと。 |
| リンク先 | 小規模事業者持続化補助金公式:https://s23.jizokukahojokin.info/ |
愛知の防水工事業者:工法説明ツールの整備と価格戦略の見直しで粗利率を改善した例
| 会社名 | G社(匿名) |
| 切り口 | 価格戦略・値上げコミュニケーション/ブランディング・リブランディング/品質・安全・認証/アフターサービス・保証拡充 |
| 会社概要 | 愛知県名古屋市近郊で工場・倉庫・マンションの防水工事を手がける従業員18名の業者。技術力の高い特殊工法(ウレタン塗膜防水・FRP防水)を主力とするが、価格競争に引きずられて粗利率が低下していた。 |
| 当初の課題・挑戦 | 見積段階で競合と価格比較をされると工法の優位性を説明しきれず、安値受注か失注かという二択に陥っていた。顧客(管理会社・工務店担当者)が工法の違いを理解していないため、価格以外の軸での比較検討が起きにくい構造だった。 |
| 取組み・成功のポイント | 「工法別・耐久年数・ライフサイクルコスト比較シート」を作成して見積時に提示するという打ち手で、価格だけでなくトータルコストでの優位性を可視化した。あわせて施工後の「10年保証書」と「5年目無料点検」を標準付帯に変更し、提案のパッケージ価値を高めた。担当営業が比較シートを使って説明できるよう、工法説明の社内ロールプレイング研修を月1回実施。顧客の稟議書類に転用できるフォーマットも提供することで、管理会社担当者の社内通過率を高めた。 |
| 成果・今後の展望 | 平均受注単価が約15%向上(目標例:平均単価+10〜20%)。粗利率が18%→21%に改善(目標例:粗利率+1〜3pt)。失注率が下がり、成約率が約10pt改善。今後は工法説明コンテンツの動画化を進め、顧客の自己学習を支援するデジタル提案ツールへの進化を検討中。 |
| 補助金・助成金 | 未活用。今後の候補:小規模事業者持続化補助金。使途例:工法説明動画制作費、提案書・比較シートのデザイン整備費、営業ツール印刷物制作費。採択の論点:提案ツールの高付加価値化と販路強化により、単価と粗利率の改善につながる投資であることを示すこと。 |
| リンク先 | 小規模事業者持続化補助金公式:https://s23.jizokukahojokin.info/ |
埼玉の防水工事業者:省力化設備の導入で人手不足を補いながら受注能力を拡張した例
| 会社名 | H社(匿名) |
| 切り口 | 生産性向上/補助金活用/ITツール活用(業務効率化・自動化)/人材活用・採用・育成 |
| 会社概要 | 埼玉県南部で工場・大規模倉庫の屋上防水を主力とする従業員14名の業者。大面積施工の需要は増えているが、熟練職人の高齢化と採用難で施工キャパシティが限界に近づいていた。 |
| 当初の課題・挑戦 | 屋上防水の塗布作業は熟練を要する手作業が中心で、大面積案件では1チーム4〜5名を3日以上投入する必要があった。求人しても防水職人の応募がほとんどなく、繁忙期に受注を断らざるを得ないケースが年5〜6件生じていた。 |
| 取組み・成功のポイント | 自動防水材塗布機(ウレタン防水用自走式スプレー機)を導入するという打ち手で、大面積案件の施工人数を5名→2〜3名に削減した。機器操作は1日研修で習得可能なため、若手職人でも早期に大面積案件に対応できるようになった。施工管理タブレットとの連携により、塗布量・膜厚データをリアルタイムで記録する品質管理体制も同時に確立。施工精度の向上により、仕上がり不良による手戻り工数が大幅に減少した。全国防水工事業協会が周知している省力化補助金の情報を活用して設備投資を実施した。 |
| 成果・今後の展望 | 1件あたりの施工人工数が約35%削減(目標例:稼働率・回転+15〜25%)。繁忙期の受注断り件数がゼロになり、年間受注件数が約20%増加。手戻り工数が約25%減少し、品質クレームも削減。今後は省力化機器のラインナップを拡充し、他工種(シーリング工事)への横展開を図る。 |
| 補助金・助成金 | 活用済。制度名:中小企業省力化投資補助金。使途:自動防水材塗布機(自走式スプレー機)導入費、施工管理タブレット・膜厚管理システム導入費。採択の論点:省人化設備の導入により、人手不足の解消と施工キャパシティの拡張を定量的に示すこと。 |
| リンク先 | 全国防水工事業協会 省力化補助金関連情報:https://www.jrca.or.jp/topics/9248/ / 中小企業省力化投資補助金公式:https://shooryokuka.smrj.go.jp/ |
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