デイサービス業界_成功事例レポート

デイサービス業界_成功事例レポート

目次

冒頭概要

デイサービス業界の成功事例は、補助金活用も含めて「選ばれる理由の言語化」「加算やサービス設計の見直し」「記録・請求・連携の省力化」を同時に進めた事業所ほど、収益改善につながりやすいのが特徴です。

本記事では、デイサービス業界の成功事例を9件取り上げ、補助金活用、再現しやすい打ち手、採択のポイント、収益改善の道筋まで整理します。

デイサービスは、売上が概ね「定員×稼働率×平均利用単価×継続率」で決まりやすい一方、人件費、送迎コスト、家賃、食材費、入浴設備や機能訓練設備の維持費が重く、稼働率の低下や記録・請求の非効率がそのまま利益を圧迫しやすい構造です。

さらに、地域内での競合増加、家族の比較行動、ケアマネジャーからの紹介競争、加算算定の運用難、人材不足によるサービス品質のばらつきが起こりやすく、単に「良い介護をしている」だけでは選ばれにくい局面が増えています。

そのため支援制度が効きやすいのは、販路強化では見学から成約への導線整備、省力化では記録・請求・情報共有の一気通貫化、高付加価値化では機能訓練・口腔機能・買い物支援・地域連携などの差別化設計です。

実際の事例を見ると、成功パターンは大きく3つあります。

  • 1つ目は、ターゲットと言語化を変えて稼働率や見学成約率を動かした型です。
  • 2つ目は、加算・専門プログラム・買い物支援などで平均単価や継続率を高めた型です。
  • 3つ目は、ICTや連携基盤で事務工数と移動・確認ロスを減らし、利用者対応時間と品質を改善した型です。

以下の事例を見ると、デイサービス業界では「何を変えたらKPIがどう動くか」が具体的に分かります。業界構造に合った再現パターンの見極めに役立ててください。デイサービスの稼働率改善やIT活用の方向性は中小企業庁・中小機構の事例でも確認できます。https://mirasapo-plus.go.jp/chinage/sales-expansion/

成功事例(A〜I、9件)

A社

項目内容
1. 会社名・個人事業主名A社
2. 切り口ブランディング/リブランディング、広告宣伝(リアル)、販路開拓・営業活動(EC・越境EC・卸・代理店)、接客・サービス
3. 会社概要地方都市でデイサービスを運営する中小事業者。コロナ影響下で稼働率が大きく落ち込み、既存の「介護サービスを提供する施設」という伝え方だけでは見込み利用者や家族に価値が届きにくい状態でした。
4. 当初の課題・挑戦課題は、需要そのものが消えたのではなく「誰の、どんな困りごとを解決するのか」が曖昧で、地域内での比較に埋もれていた点です。デイサービスは見学数だけでは足りず、見学後に“ここなら通わせたい”と感じてもらう訴求が必要ですが、当初は機能や設備の説明に寄り過ぎ、顧客が得る将来像を示せていませんでした。
5. 取組み・成功のポイントこの事例では、スタッフや保有機材の強み、利用者ニーズを掘り直し、「生涯寝たきりになりたくない人」というメッセージに再編集。地域広報誌やホームページで価値訴求を一本化した点が効いています。業界構造上、デイは“空き枠販売”ではなく“将来不安の解消提案”に近いため、機能説明よりも便益訴求に寄せたことが、新規獲得率と見学成約率の改善に結びついたと読めます。
6. 成果・今後の展望定量では稼働率が20%から約1年で90%超まで改善し、黒字化を達成。定性でも、ターゲット設定の明確化により紹介・問い合わせ時の会話がぶれにくくなったと考えられます。KPIで見ると、稼働率+70pt、見学成約率は目標例として+10〜15ptが狙いやすい型です。
7. 補助金・助成金未活用。補助金を使わず、訴求の再設計と販路表現の見直しで改善した事例。ただし同ページでは関連制度として小規模事業者持続化補助金等が案内されており、同種の販促投資には応用余地があります。
8. リンク先中小企業庁「売上拡大・生産性向上したい」内の株式会社福老の事例

B社

項目内容
1. 会社名・個人事業主名B社
2. 切り口補助金活用、店舗体験・動線/VMD、新商品・新サービス、接客・サービス
3. 会社概要都市部で運動特化型のデイサービスを運営する中小企業。運動プログラム自体には強みがある一方、見学はあるのに契約へ結び付きにくく、施設体験価値が十分に伝わっていない状況でした。
4. 当初の課題・挑戦デイサービスでは、家族や本人が「ここに通う姿を想像できるか」が重要です。にもかかわらず、設備・導線・空間の快適性が弱いと、機能訓練の価値があっても初回印象で競合に負けやすい構造があります。この事例では、運動プログラムの中身より前に、見学から成約までの体験設計がボトルネックになっていたと見られます。
5. 取組み・成功のポイント補助金を活用し、気持ちの良い空間づくりに投資した点が特徴です。単なる改装ではなく、「運動とおしゃべりを楽しめるデイサービス」という価値へ再編集し、見学時に感じる安心感・滞在快適性・通所後のイメージを高めました。デイサービスでは、利用継続は本人の心理的抵抗の低さにも左右されるため、体験品質の改善が成約率と継続率の双方に効きやすい打ち手です。
6. 成果・今後の展望出典本文では定量数値は明示されていませんが、定性では「見学はあるが成約しない」状況から、補助金活用で課題解決に着手したことが示されています。KPIは目標例として見学成約率+5〜15pt、継続率+5〜10pt、平均単価+10〜15%が妥当です。
7. 補助金・助成金活用済。制度名は小規模事業者持続化補助金の活用事例集として仙台市が掲載し、地域産業応援金の対象にも位置付けています。使途は空間改善・体験価値向上のための環境整備。採択の論点は、「見学→契約」の歩留まり改善に向けた前向き投資であることを説明しやすい点です。
8. リンク先仙台市「補助金活用事例集volume1:さくらヘルスケア株式会社」

C社

項目内容
1. 会社名・個人事業主名C社
2. 切り口補助金活用、ITツール活用(業務効率化、自動化)、標準化・マニュアル化、生産性向上
3. 会社概要首都圏で特養・養護老人ホーム・デイサービスなどを展開する社会福祉法人。デイサービスも含む介護現場全体で、旧来ソフトの継続利用による使い勝手の低下と、情報管理の更新が課題になっていました。
4. 当初の課題・挑戦デイサービスでは、記録、請求、申し送り、職員間共有が分断されると、現場の可処分時間が減り、利用者接点の質が下がります。この法人でも市場シェアの低い旧ソフトを長年使っており、サーバー更新のタイミングで乗り換えが必要でしたが、価格負担が導入障壁になっていました。
5. 取組み・成功のポイントIT導入補助金を使い、トップシェアの介護ソフトへ更新。オンライン完結型で、タブレット連携に対応し、文字や入力欄も大きくなったことで現場操作性が改善しました。単にシステムを入れ替えたのではなく、勉強会や継続サポートもセットで実施したため、標準化が進みやすかった点が重要です。介護業は“誰でも使えるUI”が定着率を左右するため、現場負担を減らす設計が効いています。
6. 成果・今後の展望作業工数は1人当たり10〜20分削減の実感が示されています。定性的にも、現場での使い勝手が改善し、今後はセンサー技術連携による見守り省力化も視野に入っています。KPIでは事務工数▲20〜30%、情報共有時間▲20〜40%が狙える型です。
7. 補助金・助成金活用済。制度名はIT導入補助金。使途は介護現場特化の管理・記録システムへの更新、タブレット連携、導入支援・勉強会。採択の論点は、「現場記録・請求・共有の効率化により職員負担を減らし、利用者対応時間を増やす」道筋が明確な点です。
8. リンク先IT導入補助金 活用事例「社会福祉法人三恵会」

D社

項目内容
1. 会社名・個人事業主名D社
2. 切り口補助金活用、ITツール活用(業務効率化、自動化)、データ活用、人材活用・採用・育成
3. 会社概要地域密着で居宅介護支援、訪問介護、通所介護などをワンストップ提供する介護事業者。デイサービスを含む在宅介護の需要が高い都市部で事業を広げる中、成長に合わせた業務基盤整備が必要になっていました。
4. 当初の課題・挑戦利用者数や提供サービスが増えるほど、手書き・属人的運用では限界が来ます。介護では“人手不足なのに事務が増える”構造が利益を圧迫しやすく、現場負担が重くなるとサービスの質や採用・定着にも影響します。この事例では、経営規模の拡大に合わせて、課題を見極めたうえで必要なITだけを入れることがテーマでした。
5. 取組み・成功のポイントIT導入補助金を活用し、課題に対して効果的なITツール導入を進めた点が中小機構の事例で示されています。ポイントは、他業界での知見を持ち込み、介護業界特有の慣行に合わせながらも“変えるべき事務”を特定したことです。デイサービスでは、事務効率化は単独目的ではなく、職員が利用者を見る時間を確保するための投資として位置付けると成功しやすいと読めます。
6. 成果・今後の展望出典は具体数値を示していませんが、定性では事業成長に合わせた課題抽出と、確実な効率化がポイントとして明示されています。KPIの目標例は、事務工数▲20〜40%、情報共有時間▲20〜30%、職員定着率+5〜10ptです。
7. 補助金・助成金活用済。制度名はIT導入補助金(現・デジタル化・AI導入補助金)。使途は業務効率化のためのITツール導入。採択の論点は、「成長に伴う事務負荷の増大を抑え、地域密着サービスの品質維持につなげる」筋道が描きやすい点です。
8. リンク先中小機構 補助金活用ナビ「有限会社鈴木在宅ケアサービス」

E社

項目内容
1. 会社名・個人事業主名E社
2. 切り口補助金活用、ITツール活用(業務効率化、自動化)、標準化・マニュアル化、生産性向上
3. 会社概要埼玉県の地域密着型通所介護事業所。職員数18人、利用者数46人規模で、連絡帳作成、月末集計、情報共有の効率化が現場課題でした。
4. 当初の課題・挑戦デイサービスでは、連絡帳・実績提出・申し送りが紙中心だと、管理者業務と現場業務の双方が圧迫されます。しかも職員のIT習熟度がばらつくと、導入しても定着しないリスクがあります。この事例でも、タブレット操作に不慣れな職員が多く、運用立ち上げ自体がボトルネックでした。
5. 取組み・成功のポイント埼玉県のICT導入支援モデルの中で、介護記録をアプリに入力すると連絡帳が自動出力される仕組みを採用。導入時には個別指導と、疑問点をホワイトボードで共有する運用を組み合わせ、現場への浸透を図っています。つまり成功要因は、ICTそのものより“導入後の標準化設計”にありました。
6. 成果・今後の展望月末集計・実績提出の時間を4時間短縮、連絡帳作成を1日30分削減、保管書類を1割削減。定性的にも、利用者と接する時間が増え、単純ミス減少と職員の心理的余裕が生まれています。KPIでは事務工数▲20〜50%、手戻り工数▲10〜25%の好例です。
7. 補助金・助成金活用済。制度名は埼玉県介護サービス事業所ICT導入支援モデル事業(補助・支援事業として掲載)。使途は介護記録アプリ、連絡帳自動出力、月末集計・実績提出の効率化。採択の論点は、「記録から請求までの一気通貫化で利用者対応時間を増やす」ことです。
8. リンク先埼玉県「デイサービスあおいそら ICT導入成果報告」

F社

項目内容
1. 会社名・個人事業主名F社
2. 切り口商品ミックス/メニューエンジニアリング、ITツール活用(業務効率化、自動化)、接客・サービス、生産性向上
3. 会社概要神奈川県内で複数のデイサービスを運営する事業者。マシン活用型の機能訓練や歩行練習などを提供しつつ、コロナ禍で利用休止・施設移行が増え、収入減と差別化不足が課題になっていました。
4. 当初の課題・挑戦デイサービスは定員商売である一方、加算を取れていないと単価が伸びず、同質競争にも陥りやすい業態です。この事例では、口腔機能訓練加算の要件は満たしていたのに、運用体制・帳票統一・現場理解が不足して未算定のままだった点が機会損失でした。
5. 取組み・成功のポイント1拠点で試行し、口腔機能向上加算算定支援システムを全8拠点へ展開。帳票作成とLIFE連携をシステム化し、未算定の多い地域で先行して差別化したことが強みです。デイでは、単に“良い訓練をする”だけでなく、“算定できる運用に落とす”ことで初めて売上が改善します。この事例はその典型です。
6. 成果・今後の展望口腔機能訓練加算の未算定状態から、最大87%まで実現。定性的には、収入増加と同業差別化、8拠点の運用統一が進みました。KPIでは平均単価+10〜20%、加算算定率+50pt以上のインパクトが見込める型です。
7. 補助金・助成金未活用。出典上は補助金記載なし。使途は自費導入または通常投資による口腔機能向上加算支援システム。補助金申請時に応用するなら、IT導入補助金や自治体系DX補助で「加算運用の標準化と単価改善」を論点化しやすい事例です。
8. リンク先ルネサンス導入事例「社会福祉法人伸こう福祉会」

G社

項目内容
1. 会社名・個人事業主名G社
2. 切り口事業連携、ITツール活用(業務効率化、自動化)、データ活用、接客・サービス
3. 会社概要湘南地域で福祉用具販売、運動系デイサービス、居宅介護支援を展開する事業者。藤沢市・茅ヶ崎市でデイサービスを複数展開し、地域内の連携強化を重視しています。
4. 当初の課題・挑戦デイサービスは、自事業所だけで完結せず、ケアマネジャーや周辺サービスとの連携速度が稼働率や紹介継続に影響します。この事例では、国保連との連携や周辺事業者とのデータ接続に課題があり、対応が遅れると紹介や情報更新の機会損失になりやすい状態でした。
5. 取組み・成功のポイントケアプランデータ連携システムを導入し、ケアマネジャーとの連携強化を狙った点が特徴です。地域内で導入事業者が少ない中、先行導入によって迅速対応の体制をつくったことが、差別化として機能しています。デイサービスでは、広告よりも“紹介元との接続品質”が強いケースが多く、ここを改善したのが効いています。
6. 成果・今後の展望出典では数値は示されていませんが、定性では3事業所で活用し、要望への迅速対応体制を構築したことが確認できます。KPIの目標例は、紹介対応時間▲20〜40%、新規獲得率+5〜10pt、継続率+5ptです。地域連携を軸にした成長事例として再現性があります。
7. 補助金・助成金未活用。出典上は補助金記載なし。使途はケアプランデータ連携システムの導入と運用。補助金申請へ転用するなら、IT導入補助金や自治体系業務改善補助の対象テーマとして組み立てやすい事例です。
8. リンク先神奈川県「藤沢市 好事例集」内の株式会社ニッショウ事例

H社

項目内容
1. 会社名・個人事業主名H社
2. 切り口ITツール活用(業務効率化、自動化)、標準化・マニュアル化、生産性向上、人材活用・採用・育成
3. 会社概要埼玉県で通所介護、訪問看護、居宅介護支援を運営する機能訓練特化型デイサービス事業者。現場負担軽減と請求業務効率化を目的にタブレット活用を進めた事例です。
4. 当初の課題・挑戦通所介護では、記録や請求が手作業のままだと、利用者1人増えるごとに現場事務も増加します。機能訓練特化型は回転や記録精度が重要なため、事務負担が積み上がると現場品質にも影響します。課題は、IT導入の効果を現場が実感できる運用へ落とし込むことでした。
5. 取組み・成功のポイントデイタブレットアプリを導入し、職員への操作指導方法や請求業務の効率化を含めて改善を進めています。成功要因は、システム導入を“本部都合”で終わらせず、現場職員の負担軽減を主目的に置いたことです。デイサービスでは、1人当たり業務削減がそのまま利用者対応時間の創出につながるため、現場にメリットが見える導入は定着しやすいです。
6. 成果・今後の展望出典タイトルで「利用者1人当たり30分の業務削減!?」が示されており、定性的にも職員負担軽減と業務効率化を実現したと整理されています。KPIでは事務工数▲20〜50%、請求関連工数▲20〜40%、利用者対応時間増加が見込めます。
7. 補助金・助成金未活用。出典上は補助金記載なし。使途はデイタブレットアプリの導入と運用設計。補助金申請時には、IT導入補助金の通常枠や自治体系DX支援と相性が良いテーマです。
8. リンク先カイポケ導入事例「早稲田イーライフむさし藤沢」

I社

項目内容
1. 会社名・個人事業主名I社
2. 切り口補助金活用、ITツール活用(業務効率化、自動化)、データ活用、生産性向上
3. 会社概要千葉県のデイサービス事業所。県のICT使用状況報告書に掲載された事例で、記録、情報共有、請求までを一気通貫で行う介護ソフトとタブレットを導入しています。
4. 当初の課題・挑戦デイサービスでは、紙記録と請求が分かれていると、月末に事務負担が集中し、誤記・確認漏れ・残業が発生しやすくなります。特に少人数事業所では、請求担当者が固定化しやすく、属人化が収益のボトルネックになります。
5. 取組み・成功のポイントワイズマンシステムSP、すごろくTablet、MeLL+を導入し、記録・情報共有・請求を一気通貫化。音声入力やLIFE申請も活用している点が特徴です。成功要因は、単なる電子化ではなく、日々の現場記録から請求までを同一基盤に乗せたことにあります。
6. 成果・今後の展望報告書では、1人当たり平均作業時間が20分/日から2分/日、作業人数が3人/日から1人/日へ減少し、作業日数は3日/日あたりから5日へ変化しています。定性的には、紙記録からPC化したことで記録時間が大幅に減り、請求業務の作業人数も削減、残業時間の縮小や紙使用量の削減につながったと読めます。KPIでは事務工数▲50%超の強い改善事例です。
7. 補助金・助成金活用済。制度名は千葉県介護サービス事業所のICT導入支援事業系の報告事例(要確認)。使途は介護ソフト、タブレット、LIFE申請対応、記録〜請求の一気通貫化。採択の論点は、「紙運用の削減と請求効率化により現場時間を創出する」ことです。
8. リンク先千葉県「ICT使用状況報告書」

補足・参考情報

関連補助金

※本記事で主対象とした補助金範囲は、経済産業省系補助金・東京都中小企業振興公社助成金・首都圏自治体系補助金を中心とする前提です。

DX参考サイト

支援機関

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