アパート・マンション経営業界_成功事例レポート

アパート・マンション経営業界_成功事例レポート

目次

1. 冒頭概要

アパート・マンション経営の売上上限は、概ね「総戸数 × 稼働率 × 実効賃料(賃料−募集時インセンティブ等)+付帯収入」で決まります。築年の経過とともに競争相手は新築だけでなく、同じ築古でも「きちんと選ばれる理由を作った物件」へ広がるため、単なる原状回復では稼働率も賃料も守りにくくなります。

固定費は、修繕・原状回復・清掃・共用部電気代・管理委託費・募集費・借入返済が中心です。人手不足や資材高騰で修繕費が上がる一方、入居者ニーズは在宅ワーク対応、断熱・防音、防犯、子育て対応、EV・ネット等へ細分化しており、「どこに投資して、どのKPIを上げるか」の設計が経営差になります。

支援制度が効きやすいのは、①空室対策と高付加価値化を両立する改修、②管理工数を減らすDX、③省エネ・防災・子育て対応など政策目的と一致する投資です。成功パターンを要約すると、第一に「間取り再設計や設備更新で成約率・賃料を上げる」、第二に「管理や連絡をデジタル化して工数を削減し、空室営業に時間を振り向ける」、第三に「補助金で自己負担を圧縮し、競争力の高い改修を先に打つ」の3点です。

  • 間取り再設計や設備更新で成約率・賃料を上げる
  • 管理や連絡をデジタル化して工数を削減し、空室営業に時間を振り向ける
  • 補助金で自己負担を圧縮し、競争力の高い改修を先に打つ

2. 成功事例(A〜H)

成功事例 A社(東京都新宿区・投資系法人オーナー)

1. 会社名・個人事業主名A社(匿名・東京都新宿区の投資系法人オーナー)
2. 切り口新商品・新サービス/店舗体験・動線/価格戦略・値上げコミュニケーション/ブランディング/店舗体験・動線
3. 会社概要都心部で賃貸住宅を保有し、保有収益だけでなく将来的な売却価値も重視する法人オーナー。対象住戸は22㎡の1Kで、都心立地ではあるものの、古い水回りと1Kのままでは競合物件との差別化が弱く、賃料の伸びしろが限定されていた。
4. 当初の課題・挑戦都心の単身向け市場は供給が多く、築古1Kは「駅距離が同程度なら、より新しい・より使いやすい部屋」と比較されやすい。単にクロスを張り替えるだけでは成約率が上がらず、賃料を下げると売却時利回りにも悪影響が出る。限られた予算で、賃料上昇と出口価値の両方に効く改修が必要だった。
5. 取組み・成功のポイントトイレと独立洗面台を同室化して居室を広げ、1Kから1DKへ変更。キッチン・ユニットバスも交換し、「狭いが我慢する部屋」から「都心で機能的に暮らせる部屋」へ再定義した。効いたのは、面積を増やさず使い勝手を上げたこと。募集時に間取りの意味が伝わり、内見時の印象改善から成約率と単価の両方を押し上げやすい。
6. 成果・今後の展望(定性+定量)賃料は3.2万円アップし、入居申込みを獲得。定性的にも、保有中の収益改善だけでなく、将来売却時の物件価値向上に資する改修として位置づけやすい。今後は同種の狭小住戸でも「面積拡張より動線再設計」を標準手法にできる。
7. 補助金・助成金の活用未活用。都心立地の競争では、申請待ちより早期着工が優先される局面もある。ただし今後は省エネ開口部改修や子育て対応改修と組み合わせれば、同様の高付加価値化でも自己負担圧縮の余地はある。
8. リンク先(出典)https://www.haptic.co.jp/works/306_nishishinjuku/

成功事例 B社(東京都墨田区・木造アパートオーナー)

1. 会社名・個人事業主名B社(匿名・東京都墨田区の個人オーナー家族)
2. 切り口補助金活用/新商品・新サービス/価格戦略・値上げコミュニケーション/リスク管理・BCP(事業継続力強化計画)/事業連携
3. 会社概要築55年の木造アパートを保有するオーナー。1室22㎡の小規模住戸で、風呂なし・古い間取りのままでは一般賃貸市場での競争が難しかった。一方で、2018年に建物全体の耐震補強を済ませており、改修して使い続ける前提は整っていた。
4. 当初の課題・挑戦築古・小規模・設備不足の三重苦で、通常募集では空室リスクが高い。浴槽を無理に入れると居住性が下がり、狭さがさらに目立つ構造だった。課題は「誰に貸すか」を先に決め、そのターゲットに合う設備へ振り切ること。単なる設備更新でなく、需要を定義し直す必要があった。
5. 取組み・成功のポイント東京ささエール住宅の専用住宅として登録し、高齢者向けに2Kから1Kへ変更、シャワーユニット新設、内装・トイレ・キッチン・エアコン交換を実施。ポイントは、狭小住戸で一般賃貸を目指さず、高齢者が使いやすい小さな住まいへ企画を転換したこと。さらに自治体の募集導線と居住支援がつき、空室期間を短縮しやすくなった。
6. 成果・今後の展望(定性+定量)墨田区の改修費補助で自己負担を抑えつつ、家賃低廉化補助を活用でき、入居者は区の公募でスムーズに決定。定性的には、空室解消と社会的受容性の両立が実現。長期入居が見込みやすい高齢者向け住宅として、稼働率安定化が期待できる。
7. 補助金・助成金の活用活用済。制度名:東京ささエール住宅(住宅セーフティネット制度)+墨田区改修費補助金+家賃低廉化補助。使途:1K化、シャワーユニット、内装・トイレ・キッチン・エアコン交換。採択の論点:住宅確保要配慮者の受け皿整備と、改修後に安定入居が見込める運用設計が明確だった点。
8. リンク先(出典)https://www.city.sumida.lg.jp/kurashi/zyuutaku/yanushi/kashitai.files/ownersstyle2024.pdf

成功事例 C社(千葉県市川市・賃貸マンションオーナー)

1. 会社名・個人事業主名C社(匿名・千葉県市川市の賃貸オーナー)
2. 切り口新商品・新サービス/店舗体験・動線/接客・サービス/価格戦略・値上げコミュニケーション/ブランディング
3. 会社概要築41年・59㎡のRC造賃貸住宅を保有。長期入居の退去後、フルリノベーションが前提となる状態だった。単身にもファミリーにも中途半端な間取りがネックで、従来の2DKでは募集競争で弱かった。
4. 当初の課題・挑戦長く住んだ入居者の退去後は、設備更新費が避けられない。ならば原状回復で戻すより、同じ支出を「成約率と家賃に返る改修」へ振り向けるべきだが、築古物件ではやみくもな投資が回収できない。課題は、誰に選ばれる部屋に変えるかを明確にし、間取りの意味を再設計することだった。
5. 取組み・成功のポイント2LDK化し、居室の広さに差をつけて使い方の選択肢を持たせ、採光の弱い居室はリビングと一体化。家族でも在宅ワーク世帯でも使える設計に寄せた。効いたのは、単なる内装更新ではなく、ターゲットの生活像に合う可変性を出したこと。これにより、内見段階での納得感が高まり、成約率改善に結びついた。
6. 成果・今後の展望(定性+定量)従前賃料8.5万円から成約賃料12.5万円へ、4万円アップ。しかも完工前に入居申込みを獲得した。定性的には、築古でも「間取りの再定義」で賃料帯を一段引き上げられることを示した事例。今後は同規模帯の築古2DKで横展開しやすい。
7. 補助金・助成金の活用未活用。スピード重視のリノベ案件では、補助金要件が投資判断に合わないこともある。ただし断熱窓・給湯・子育て対応を組み合わせれば、次回以降は補助金併用余地がある。
8. リンク先(出典)https://www.haptic.co.jp/works/235_minamigyotoku/

成功事例 D社(兵庫県尼崎市・自主管理オーナー)

1. 会社名・個人事業主名D社(匿名・兵庫県尼崎市の自主管理オーナー)
2. 切り口ITツール活用(業務効率化、自動化)/AI活用/情報セキュリティ・プライバシー/接客・サービス/標準化・マニュアル化
3. 会社概要4棟40戸を自主管理する専業大家。築古から築浅まで複数棟を持ち、DIY原状回復や設備対応まで自ら関与する運営スタイル。管理委託料を抑えられる反面、連絡や現地対応が属人的になりやすい構造を抱えていた。
4. 当初の課題・挑戦自主管理では、入居者対応のスピードと記録性がそのまま満足度と再募集効率に直結する。SMSや個人LINEでは、私用と業務が混ざり、対応漏れ・検索性・共有性に課題が出やすい。さらに設備点検時の現地開錠や案内資料の紙配布も、戸数が増えるほど時間コストになる。
5. 取組み・成功のポイント2022年からLINE公式アカウントを導入し、「入居のしおり」「不具合フォーム」「通話リクエスト」をメニュー化。資料はクラウドに集約し、二次元コードで配布。さらに遠隔操作可能なオートロックや防犯カメラも活用し、現地訪問を減らした。お知らせ文は対話型AIサービスで作成し、文章作成工数も圧縮。効いたのは、問い合わせ導線を標準化したことで、対応品質と速度を両立できた点。
6. 成果・今後の展望(定性+定量)記事では「大幅な効率アップ」とされ、紙削減、現地対応負担の軽減、入居満足度向上が示されている。定量面の目標例としては、連絡対応時間▲20〜40%、現地訪問回数▲20〜30%、更新率+5〜10ptが妥当。自主管理でも、デジタル窓口化でLTVを守れる好例。
7. 補助金・助成金の活用未活用。導入ツール自体は小規模でも始めやすいが、今後は業務一元化SaaSや電子契約、入居者アプリへ広げる際にIT補助金の検討余地がある。
8. リンク先(出典)https://owners-style.net/article/detail/189539/

成功事例 E社(神奈川県・低層ZEH-M賃貸オーナー)

1. 会社名・個人事業主名E社(匿名・神奈川県の個人賃貸オーナー)
2. 切り口補助金活用/脱炭素/サステナビリティ/新商品・新サービス/ブランディング
3. 会社概要神奈川県で低層共同住宅を新設した個人オーナー。単なる賃貸供給ではなく、長期保有を前提に競争力とレジリエンスの高い物件づくりを志向した。延床270.81㎡規模で、設備仕様そのものを差別化要素にした事例。
4. 当初の課題・挑戦新築賃貸は建築費上昇で初期投資回収の見通しが難しく、設備を盛るほど利回りが下がりやすい。一方で、将来の入居付けや賃料維持を考えると、断熱・再エネ・高効率設備は無視しにくい。課題は、高付加価値化の投資を「入居需要」「光熱費低減」「災害時価値」へどう結びつけるかだった。
5. 取組み・成功のポイント低層ZEH-M促進事業を活用し、太陽光発電、断熱材、LED、個別エアコン、ガス潜熱回収型給湯器、第3種ダクト等を導入。効いたのは、快適性と省エネを一体で訴求したこと。入居者にとっては居住コストと快適性、オーナーにとっては差別化と災害対応力が価値となり、単なる環境配慮で終わらない収益ロジックを作れた。
6. 成果・今後の展望(定性+定量)補助金額は200万円、エネルギーコスト削減額は約21.7万円/年、CO2削減量は約3.5t-CO2/年。加えて、ZEH-M仕様により入居希望の問い合わせ増加と入居率維持につながった。定性的には、賃料だけでなく募集競争力を守る物件ブランド形成に寄与。
7. 補助金・助成金の活用活用済。制度名:低層ZEH-M促進事業(住宅の脱炭素化推進事業/集合住宅の省CO2化促進事業)。使途:太陽光、断熱材、LED、給湯器、換気設備等。採択の論点:省エネ性能向上が定量効果(光熱費・CO2削減)と入居競争力の向上に接続している点。
8. リンク先(出典)https://www.env.go.jp/earth/earth/ondanka/enetoku/case/pdf/2024/enetoku-jirei-2024-08-jyuutaku.pdf

成功事例 F社(東京都中央区・独立系管理会社)

1. 会社名・個人事業主名F社(匿名・東京都中央区の独立系管理会社)
2. 切り口ITツール活用(業務効率化、自動化)/データ活用/標準化・マニュアル化/生産性向上/補助金活用
3. 会社概要アパート・マンションのサブリース・管理運営、再生販売を手掛ける独立系管理会社。34人規模で、オーナー向けの収支管理や家賃管理を扱うため、情報の正確性と横断共有が収益性に直結する業態。
4. 当初の課題・挑戦各担当がデータを属人的に保持し、情報集約の負担が増加。本来注力すべきオーナー対応や空室対策、収益改善提案に時間が回りにくかった。不動産管理では、経理・会計の遅れがそのまま報告品質の低下につながるため、単なる事務効率化ではなく、経営の見える化が必要だった。
5. 取組み・成功のポイントIT導入補助金2022を活用し、クラウド型会計ソフトを導入。情報の一元化とリアルタイムな予実管理、ペーパーレス化を進めた。効いたのは、会計だけを置き換えたのではなく、基幹情報との連携前提で誰が見ても同じ数字が見える状態を作ったこと。これにより、管理実務の再現性が高まり、営業・提案へ人を振り向けやすくなる。
6. 成果・今後の展望(定性+定量)家賃管理業務にかかる工数は1/7へ削減見込み。情報連携がシームレスになり、本来の業務に時間を割けるため売上増加に注力可能とされる。定性的にも、属人管理から脱して、オーナー報告品質と意思決定速度を上げる基盤を整えた。
7. 補助金・助成金の活用活用済。制度名:IT導入補助金2022(デジタル化基盤導入類型)。使途:freee会計プロフェッショナルプラン導入、会計・予実管理のクラウド化。採択の論点:家賃管理や報告に関わるバックオフィス生産性向上が、収益改善提案や顧客対応強化に波及する道筋が明確だった点。
8. リンク先(出典)https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/article/jirei-taunkanrisabisu.pdf

成功事例 G社(東京都豊島区・ファミリー向け住戸オーナー)

1. 会社名・個人事業主名G社(匿名・東京都豊島区の賃貸オーナー)
2. 切り口補助金活用/新商品・新サービス/店舗体験・動線/接客・サービス/価格戦略・値上げコミュニケーション
3. 会社概要東京都豊島区で56.73㎡・2LDK住戸を保有するオーナー。築16年で設備は一定水準だったが、子育て世帯を狙うには見守り導線や安全性の設計が弱く、差別化が難しかった。
4. 当初の課題・挑戦都市部ファミリー向け賃貸は、広さだけでは選ばれにくい。特に子育て世帯では、事故防止・見守り・在宅ワーク両立の要素が意思決定に入りやすい。一般的な2LDKのままでは競合が多く、賃料を維持するには「子育てで暮らしやすい理由」を構造的に作る必要があった。
5. 取組み・成功のポイント子育て支援型共同住宅推進事業を使い、2LDKから1SLDKへ変更。キッチンの視認性向上、防犯フィルム、ドアクローザー付き建具、火傷防止カバー等を導入し、さらに在宅ワーク用スペースを新設。効いたのは、補助金対象工事をただ満たすのでなく、子育て世帯の生活導線と募集訴求を一致させたこと。
6. 成果・今後の展望(定性+定量)補助金100万円を活用し、約500万円の工事で家賃6万円アップ、入居申込みも獲得。定性的には、「安全・見守り・仕事の両立」を打ち出せるため、単なる間取り変更以上に訴求力が高い。今後は都心ファミリー向け住戸の再商品化モデルとして横展開しやすい。
7. 補助金・助成金の活用活用済。制度名:子育て支援型共同住宅推進事業。使途:間取り変更、対面キッチン、防犯フィルム、建具交換、火傷防止設備、ワークスペース新設。採択の論点:子どもの安全・見守りに資する改修が、成約率と実効賃料の改善へつながる設計になっていた点。
8. リンク先(出典)https://www.haptic.co.jp/column/support-payment_for_family/

成功事例 H社(愛知県豊橋市・既築賃貸マンションオーナー)

1. 会社名・個人事業主名H社(匿名・愛知県豊橋市の賃貸マンションオーナー)
2. 切り口補助金活用/新商品・新サービス/脱炭素/接客・サービス/事業連携
3. 会社概要88区画の駐車場を備える既築賃貸マンションのオーナー。住戸内設備よりも駐車場付加価値が入居決定を左右しやすい物件で、EV普及を見据えて先行投資を検討した。
4. 当初の課題・挑戦EVユーザーが増える中、充電器がないこと自体が候補落ち要因になりうる一方、利用者数がまだ少ない段階では、オーナー単独では投資回収が読みにくい。課題は、管理負担を増やさず、低コストで物件価値向上に効く導入スキームを作ることだった。
5. 取組み・成功のポイント平面駐車場に6kW普通充電器2基を設置。配電しやすい区画を選び、料金徴収や問い合わせは充電サービス提供会社が担う形にした。オーナーは場所・台数・出力の設計に集中し、運用は外部サービスと分担。効いたのは、設備導入を管理の追加業務にしなかったこと。付加価値を作りつつ、管理コストを増やさない構造が重要。
6. 成果・今後の展望(定性+定量)設置費約153万円に対し、国約112万円・県約7万円の補助を活用。オーナーコメントでも「低コストで住宅価値の長期的向上を実現する手段」と評価されている。定量目標例としては、入居率+3〜5pt、長期継続率+5pt、募集反響率+10〜15%が妥当。
7. 補助金・助成金の活用活用済。制度名:国・県のEV充電設備導入補助(事例集記載)。使途:6kW普通充電器2基と設置工事。採択の論点:脱炭素推進と集合住宅の基礎充電整備を通じ、入居者利便性と住宅価値向上の両立を図る点。
8. リンク先(出典)https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/567053.pdf

3. 補足・参考情報

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