【そのまま使える】経営課題の書き方テンプレ|「困っている」を「採択される根拠」に変える3ステップ翻訳術
なぜ「困っている」と書くと不採択になりやすいのか:経営課題の正体
補助金申請で評価されるのは感情ではなく構造です。「困っている」は現象や愚痴に見えやすく、原因・影響・根拠・優先度が読めません。審査員が判断できる部品を揃え、経営課題として説明できる形に変換しましょう。
経営課題は「理想と現状のギャップ」から生まれる
経営課題は、現状が悪いという嘆きではありません。理想の姿(To-Be)と現状(As-Is)の差が、どこで、どれくらい、なぜ起きているのか。そのギャップが「課題」です。たとえば「売上が落ちた」は結果で、課題は「顧客が離れる導線になっている」「提案が刺さっていない」など、原因側にあります。
「困っている」が弱く見える3つの典型
よくある減点パターンは次の3つです。自社の文章が当てはまらないか、先に把握しておくと修正が速くなります。
- 主語が曖昧:誰の何が困っているのか不明
- 具体がない:どの工程、どの顧客、どの数値が問題か不明
- 手段先行:設備やIT導入を先に書き、課題が後付けになる
保存版:思考を整理する3ステップ経営課題変換フレームワーク
文章をうまく書く前に、部品を箱に分けるのが近道です。3ステップで「目標」「現状」「真因」を揃えると、課題文は自然に書けます。難しい分析を完璧にする必要はなく、審査員が納得できる順序で整理するのが目的です。
ステップ1:理想の状態(To-Be)を数値で定義する:ゴール設定
まずは目的と目標を言い切ります。「売上を上げたい」だと曖昧なので、期間と数値に落とします。
取得方法:社内で達成したい姿を経営会議メモや現場ヒアリングで集める
計算式:目標売上=目標客数×客単価、目標工数=現行工数−削減工数
結果例:月商を現状比15%上げる、月40時間の入力作業を半減、納期遅延を月3件から0件へ
ここが定まると、以降の「何が課題か」がブレません。
ステップ2:現状(As-Is)を「冷徹な事実」で直視する
次に感想を捨て、事実を並べます。「最近忙しい」では伝わりません。
取得方法:売上台帳、作業日報、見積件数、問い合わせ数、ミス記録、顧客アンケートなどを確認
計算式:前年差=今年−昨年、作業時間合計=1回あたり時間×回数
結果例:前年比売上が12%減、月間入力作業が40時間、ミスが月8件、見積回答に平均3日
企業として把握できている感が出ると、説得力が一気に上がります。
ステップ3:ギャップを生んでいる真因を特定する:それが課題
「機械が古い」「人が足りない」は表層です。真因は「どこがボトルネックで、何が機会損失を生むか」です。
方法:なぜを3回だけ繰り返す、工程を分解して詰まり箇所を特定する、顧客の離脱点を追う
例:忙しい→入力が多い→二重入力が発生→受注と在庫の連携がない→業務プロセスの分断が課題
真因まで行くと、活用したい補助金の取組内容と自然に接続します。
説得力が10倍になる根拠の書き方とデータの見つけ方
経営課題は正しそうに見えるだけでは弱く、根拠が必要です。ただし大企業レベルの統計は不要で、現場の事実と自社データで十分戦えます。根拠を示すほど、計画の実現性と企業の信頼性が上がり、審査の不安が減ります。
データがないときの武器になる4つの根拠
- 自社実績値:売上台帳、受注件数、粗利、作業時間、残業時間
- 現場の事実:写真、ストップウォッチ計測、ミスの記録、チェックシート
- 外部環境:業界団体の動向、公的統計の概要、地域の需要変化
- 仮説推計:ヒアリング結果を割合にして「約〇%と推計」と記載
ポイントは、根拠の種類を混ぜることです。数値が弱くても、事実が強いと通ります。
やってはいけないNG根拠
避けたいのは、一般論だけで終わる書き方です。
- ニュースで見たから、世の中がそうだから
- みんな言っている、昔からそう思っている
- 競合が強い気がする、顧客が減った気がする
反論として「市場環境は事実では?」と思うでしょう。もちろん環境の記載は有効です。ただし、環境は前提に置き、最後は自社の課題に着地させるのがコツです。
補助金タイプ別:そのまま使える翻訳ビフォーアフター実例集
同じ悩みでも、補助金によって刺さる名詞が変わります。持続化は顧客や販路、ものづくりは生産性や品質、IT導入や省力化は業務プロセスが中心です。ここでは、愚痴から経営課題へ翻訳する例を並べ、読者が自社に近い型を真似できるようにします。
持続化補助金:飲食・小売の集客を「販路開拓の課題」へ
Before:客が減ったのでチラシを撒きたい。
After:来店客数が前年同月比で15%減少している。新規顧客の獲得よりも既存顧客の再来店が弱く、顧客導線の設計と認知の不足がボトルネックである。したがって、顧客の再訪を促す情報発信と導線整備が経営課題だ。
ものづくり補助金:設備の悩みを「生産性と競争力の課題」へ
Before:機械が古くて仕事が遅い。
After:段取り替えに1回あたり90分を要し、月20回で合計30時間の機会損失が発生している。多品種少量の受注増という環境変化に対し、工程のボトルネックが解消できていない。ゆえに、段取り時間を短縮しリードタイムを改善することが経営課題である。
IT導入・省力化:忙しさを「業務プロセスと労働生産性の課題」へ
Before:手書きが面倒でミスが多い。採用もできない。
After:受発注と請求が分断され、二重入力が月40時間発生し、入力ミスが月8件起きている。顧客対応に回すべき時間が奪われ、売上機会にも影響している。したがって、業務プロセスを統合し工数とミスを削減する体制構築が経営課題だ。
創業・新事業:実績不足を「参入障壁の課題」へ
Before:新しいことをやりたいが実績も資金もない。
After:自社の強みを活用して新市場へ参入する計画だが、顧客への認知獲得と初期の販路構築ノウハウが不足している。ここが立ち上げの障壁となり、計画の実現可能性を下げている。よって、認知と販路の獲得を最短で実現することが経営課題である。
一瞬でプロっぽく見える:審査員の心を掴むキラーフレーズと接続詞
経営課題はロジックが主役ですが、文章の見え方も侮れません。文末を締める定型文と、論理をつなぐ接続詞を少し使うだけで、読み手の理解が滑らかになります。テンプレートに“少量だけ”混ぜるのがコツでしょう。
文末を締める課題定型文リスト
- 〇〇がボトルネックとなっている
- 〇〇による機会損失が発生している
- 〇〇の改善が急務である
- 〇〇の体制構築が不可欠である
使いすぎると不自然なので、段落に1回程度で十分です。
論理をつなぐ魔法の接続詞
- しかしながら:課題を際立たせる
- その背景には:真因に入る合図
- したがって:解決方針へ橋渡し
- つまり:要点を短くまとめる
読む人の頭の中で、因果がつながる音がカチッと鳴る感覚を作れます。
書き終わったら3分チェック:提出前の不採択回避リスト
最後に、課題文が「読める状態」かを自己点検します。感情ではなく事実、抽象ではなく具体、手段ではなく課題になっているか。短時間で見直すだけで、減点の多くは回避できます。提出直前ほど焦るので、チェック項目を固定化しておきましょう。
- 困っているではなく、原因と影響が書けている
- 現状と目標が、数値か頻度で表現されている
- 課題が大きすぎず、今回の取組で解決できる範囲に収まっている
- 根拠が最低1つ以上ある(自社データ、現場事実、外部環境など)
- 取組内容へ「したがって」で自然に接続できる
- 顧客、環境、目的が読み手に伝わる
- 自社の強みや制約が把握されている
まとめ:まずは「目標と現状」を書き出すところから始めよう
経営課題は文才よりも型で作成できます。目標、現状、真因の順に部品を揃えれば、「困っている」は根拠ある課題へ変わります。今日できる一歩は、目標を数値で置き、現状を事実で並べることです。小さく始めても、未来の計画は動き出します。さて、あなたの課題文も今ここで形にしていきませんか。
- 次に進みたい方:課題が固まったら、取組内容と効果指標へつなげて整合性を強化しましょう。
- まだ不安な方:課題の1〜2文ができた段階で、第三者レビューを受けると修正が一気に速くなります。
