はつり・解体工事業の成功事例8選|補助金活用とDX・単価改善の打ち手
目次
冒頭概要
受注ルートの固定化と人手不足という二重の壁を突き破った事業者に共通するのは、「補助金活用」と「再現しやすい打ち手」を組み合わせた収益改善の実行です。本記事では、首都圏を中心に8件の成功事例を整理し、採択のポイントや施策ごとのKPI変化を具体的に示します。
はつり・解体工事業は、老朽建築物の増加・再開発需要の拡大を追い風に市場規模が伸長している一方で、職人不足・重機維持費・廃材処理コストが粗利を圧迫しやすい構造にあります。また、元請けからの単価交渉圧力・同業者との価格競争・職人採用難が重なり、中小事業者ほど利益率の改善が困難な状況が続いています。
こうした課題に対して、省力化投資補助金・IT導入補助金・小規模事業者持続化補助金・新事業進出補助金は、それぞれ「設備投資」「業務効率化」「販路開拓」「事業多角化」という4つの軸で有効な支援手段となります。以下の事例を通読すると、①デジタル化による事務工数削減、②アスベスト等専門対応による高単価受注、③新規販路構築による受注ルートの分散という3つの勝ち筋が浮かび上がります。
成功事例
東京の解体工事業:施工管理アプリ導入で現場報告工数を削減した例
| 項目 | 内容 |
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| 会社名 | A社(匿名) |
| 会社概要 | 東京都内を拠点とする従業員15名の解体工事業者。内装解体・はつり工事を主力とし、都心の改装・スケルトン工事を中心に受注。現場担当と事務担当がそれぞれ少人数で回す体制で、紙の日報・写真管理・請求書作成に多大な工数がかかっていた。 |
| 当初の課題・挑戦 | 現場ごとに紙の日報と写真をPDF化して本社に送付し、事務担当が手入力で請求書を作成するフローが定着していた。1件の請求処理に平均90分を要しており、月末の事務処理が集中してミスや支払い遅延を招いていた。現場写真の保管も属人的で、クレーム対応時に証拠写真を探し出すのに時間がかかるケースもあった。 |
| 取組み・成功のポイント | 施工管理アプリ(写真台帳・日報・工程管理一体型)の導入という打ち手で、現場からスマートフォンで写真・作業記録を直接入力し、本社の請求処理に自動連携する仕組みを構築した。事務担当が紙を受け取って手入力するステップを廃止したことで、請求処理時間を大幅に短縮。また、写真台帳のクラウド化により、過去工事の証拠データへの即時アクセスが可能になり、クレーム対応スピードも向上した。 |
| 成果・今後の展望 | 請求処理工数を平均90分/件→約40分/件(▲56%)に削減。月末の残業時間も月15時間から5時間に圧縮。写真管理の標準化により手戻り・再確認工数も減少し、現場担当の負荷軽減につながった。今後は原価管理機能の活用により、案件別粗利率の可視化を進める方針。 |
| 補助金・助成金 | 活用済。制度名:IT導入補助金。使途:施工管理アプリ(写真台帳・日報・請求連携機能)の導入・初期設定費。採択の論点:事務工数削減と請求処理の正確性向上により、労働生産性の改善と売上機会損失の低減につながることを示すこと。 |
| リンク先 | IT導入補助金公式:https://www.it-hojo.jp/ / 参考(建設業DX事例):https://www.kendweb.net/tip/433241/ |
神奈川の解体工事業:省力化投資補助金でコンクリート解体機を導入し稼働効率を向上させた例
埼玉の解体工事業:ホームページ刷新と地域向けWeb集客で個人・法人の問い合わせを増やした例
| 項目 | 内容 |
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| 会社名 | C社(匿名) |
| 会社概要 | 埼玉県内を拠点とする従業員8名の解体工事業者。住宅解体・外構撤去を主力とし、地域工務店からの紹介受注に依存していた。紹介が途絶えると受注が激減するリスクを抱えており、直接問い合わせの窓口を持てていなかった。 |
| 当初の課題・挑戦 | 売上の約80%が特定工務店3社からの紹介案件に依存しており、紹介元の方針変化や繁忙期の紹介量変動に収益が直結していた。自社のWebサイトは更新されておらず、Googleマップ上の情報も最低限にとどまっており、個人・法人からの直接問い合わせはほぼゼロの状態だった。 |
| 取組み・成功のポイント | ホームページのリニューアル(施工事例・料金目安ページの整備)とGoogleビジネスプロフィールの充実化・口コミ促進という打ち手を組み合わせた。地域名+解体工事のキーワードで上位表示を狙いつつ、問い合わせフォームをスマートフォン最適化し、離脱率を低下させた。施工写真の掲載と丁寧な説明文で信頼性を高め、価格比較で決めない顧客層へのアプローチを強化した。 |
| 成果・今後の展望 | Web経由の問い合わせ件数が月0〜1件から月5〜8件に増加(目標例)。紹介依存比率が80%から55%程度に低下し、受注の安定性が向上した。今後はLINE公式アカウントを活用し、問い合わせから見積もりまでの対応スピード改善を進める方針。 |
| 補助金・助成金 | 活用済。制度名:小規模事業者持続化補助金。使途:ホームページリニューアル制作費・施工事例ページ制作・問い合わせフォーム整備。採択の論点:自社サイトを通じた直接問い合わせ獲得により、紹介依存からの脱却と新規顧客数の増加を示すこと。 |
| リンク先 | 参考(建設業と持続化補助金):https://so-labo.co.jp/hojyokin/jizokuka/basic/351/ / https://office-noside.com/2025-3-25/ |
千葉の解体工事業:新事業進出補助金を活用し産廃リサイクル事業へ参入した例
| 項目 | 内容 |
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| 会社名 | D社(匿名) |
| 会社概要 | 千葉県内を拠点とする従業員18名の解体工事業者。建物解体・コンクリートガラ処分を主力とし、廃材を外部の産廃業者に委託処分していた。処分費用の上昇が原価を圧迫しており、リサイクル化によるコスト低減と新収益源の確保を検討していた。 |
| 当初の課題・挑戦 | 解体現場から発生するコンクリートガラ・廃材の処分費が年々上昇し、粗利率を1〜2pt押し下げていた。環境規制の強化・再資源化率の要件が厳しくなる中、外部委託依存では対応コストが膨らむ構造にあった。自社での分別・リサイクル処理を検討していたが、設備投資費用が高く踏み出せていなかった。 |
| 取組み・成功のポイント | 新事業進出補助金を活用し、コンクリートガラの破砕・選別設備の一部を導入するという打ち手で、廃材の自社処理・再資源化事業に参入した。産業廃棄物収集運搬・処理業許可の取得と並行して、地域内の小規模解体業者へ廃材受入サービスを提供するBtoBモデルも構築。解体工事の粗利改善と新収益源の両立を実現した。 |
| 成果・今後の展望 | 廃材処分費の自社コスト削減で原価率が約2pt改善(目標例)。他社廃材の受入収益も加わり、新事業売上が全体の10〜15%を占める水準を目標に進捗している。今後は地域内の解体業者との連携を深め、共同処理ネットワークの形成を視野に入れている。 |
| 補助金・助成金 | 活用済。制度名:新事業進出補助金。使途:コンクリートガラ破砕・選別設備の導入費・産廃処理業許可取得関連コスト。採択の論点:既存の解体工事業をベースに廃材リサイクル事業へ新規参入し、粗利率改善と新規事業売上の創出を示すこと。 |
| リンク先 | 参考(新事業進出補助金と解体業):https://inu-llc.co.jp/shinjigyoshinsyutu-demolition/ |
東京のはつり・解体工事業:工事原価管理システムで案件別粗利を可視化し収益構造を改善した例
| 項目 | 内容 |
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| 会社名 | E社(匿名) |
| 会社概要 | 東京都内を拠点とする従業員20名のはつり・解体工事業者。大型改修工事・スケルトン案件を中心に受注するが、案件ごとの利益率が担当者の感覚に依存しており、赤字案件の発生が経営上の課題となっていた。 |
| 当初の課題・挑戦 | 工事台帳はExcelで管理していたが、現場の進捗・労務費・外注費・廃材費のリアルタイム集計ができておらず、案件終了後に初めて赤字と気づくケースが繰り返されていた。見積段階での原価精度も低く、受注後に追加費用が発生して利益が消える構造が定着していた。 |
| 取組み・成功のポイント | 工事原価管理システムの導入という打ち手で、見積・発注・実績の三段階を一元管理できる体制を構築した。現場担当がスマートフォンで労務・外注費を日次入力し、管理職がリアルタイムで原価進捗を確認できるようにしたことで、赤字転落前の早期介入が可能になった。見積精度の向上により、利益率の低い案件への入札判断基準も明文化した。 |
| 成果・今後の展望 | 案件別粗利率の可視化により、赤字案件発生率が導入前比で約40%減少(目標例)。全体の粗利率が平均で約1.5pt改善。今後は月次の損益予測レポートを経営判断に活用し、受注ポートフォリオの最適化を進める方針。 |
| 補助金・助成金 | 活用済。制度名:IT導入補助金。使途:工事原価管理システム(見積・発注・実績管理機能)の導入・クラウドライセンス費。採択の論点:案件別原価管理の精度向上により、赤字案件を減少させ労働生産性と粗利率を改善することを示すこと。 |
| リンク先 | IT導入補助金公式:https://www.it-hojo.jp/ / 参考(建設業DX・原価管理):https://kensetsu-kaikei.com/lab/work/construction_dx_casestudy |
埼玉のはつり・解体工事業:地域工務店との連携強化で元請受注ルートを多角化した例
| 項目 | 内容 |
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| 会社名 | F社(匿名) |
| 会社概要 | 埼玉県内を拠点とする従業員10名の解体工事業者。住宅解体・内装解体を主力とし、これまで単一の元請け建設会社からの下請け受注に依存した体制だった。元請けの方針変化や繁忙期の変動に受注量が左右されやすく、受注ルートの多角化が急務だった。 |
| 当初の課題・挑戦 | 売上の約70%が1社の元請けに集中しており、その元請けが繁忙期でない時期には自社の稼働率も大幅に低下していた。地域内の他工務店・リフォーム会社へのアプローチを試みたものの、既存関係のない相手への飛び込み営業が成立しにくく、関係構築に至らなかった。 |
| 取組み・成功のポイント | 地域商工会の異業種交流会・建設業部会への継続参加という打ち手で、地域内の工務店・リフォーム会社と定期的な接点を構築した。施工事例集(写真・工程・費用目安を記載したA4冊子)を制作して渡すことで、初見の相手への信頼形成を加速。対応速度と丁寧な近隣対策報告を差別化要素として強調し、口コミ紹介につながる関係を複数社と構築した。 |
| 成果・今後の展望 | 取引先工務店数が1社から7社に増加(目標例:+5〜8社)。受注集中度が低下し、売上の安定性が向上した。繁忙期・閑散期の差が縮小し、稼働率が通年で改善傾向にある。今後は定期メンテナンス・クリーニング工事の紹介ルートとしても活用する予定。 |
| 補助金・助成金 | 未活用。今後の候補として小規模事業者持続化補助金等が想定される。使途例:施工事例集の制作・印刷費、チラシ・パンフレット作成費、地域向け広告配信費。採択の論点:取引先の多角化と直接問い合わせルートの構築により、受注の安定化と売上増加を示すこと。 |
| リンク先 | 参考(建設業と持続化補助金):https://hojokin-shinsei.co.jp/kensetsu-subsidy/information-subsidy/construction-industry-subsidies/建設業で小規模事業者持続化補助金を使うなら| |
神奈川のはつり・解体工事業:アスベスト対応の専門化と資格整備で高付加価値受注を確立した例
| 項目 | 内容 |
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| 会社名 | G社(匿名) |
| 会社概要 | 神奈川県内を拠点とする従業員14名の解体工事業者。一般解体工事に加え、アスベスト含有建材の除去工事にも対応する体制を持つ。改正大気汚染防止法の施行強化を受け、アスベスト対応の専門性を収益改善の軸に据えた。 |
| 当初の課題・挑戦 | 一般解体工事は価格競争が激しく、同規模の競合他社との差別化が困難だった。アスベスト除去の問い合わせはあるものの、有資格者の確保が不十分で受注を断るケースが続き、高付加価値案件を取り逃がしていた。法規制の強化でアスベスト調査・除去の需要が増している一方、対応できる業者が地域内で限られていた。 |
| 取組み・成功のポイント | 既存職人を対象に石綿作業主任者・石綿含有建材調査者の資格取得を計画的に進めるという打ち手で、社内の有資格者を複数名確保した。アスベスト対応工事の専門ページをホームページに追加し、調査から除去・廃棄まで一括対応できる窓口として訴求。単純な価格比較ではなく、法令遵守・安全管理の実績を前面に出した提案書をもとに、工務店・管理会社への営業活動を強化した。 |
| 成果・今後の展望 | アスベスト対応案件の受注単価が一般解体案件に比べて20〜30%高い水準で推移(目標例)。全受注に占めるアスベスト関連工事の比率が15%から35%に上昇し、全体の平均単価が改善。今後は建物調査の一次診断サービスを有料化し、継続的な調査受注モデルの構築を検討中。 |
| 補助金・助成金 | 未活用。今後の候補として小規模事業者持続化補助金、東京都・神奈川県の中小企業向け人材育成助成金等が想定される。使途例:石綿関連資格取得のための研修受講費・教材費、アスベスト対応工事紹介ページの制作費。採択の論点:専門資格の取得と販路開拓により、高付加価値案件の受注比率を高め売上・粗利率を改善することを示すこと。 |
| リンク先 | 参考(アスベスト対応と解体業の価値):https://www.kensetsu-shoukei.com/case-study/demolition-succession.html |
千葉のはつり・解体工事業:標準化・マニュアル整備と人材育成で職人定着率と品質を改善した例
| 項目 | 内容 |
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| 会社名 | H社(匿名) |
| 会社概要 | 千葉県内を拠点とする従業員16名の解体工事業者。一般解体・はつり工事・内装解体を手がける。現場の作業手順が熟練職人の経験則に依存しており、新入職人の育成に時間がかかる体制が長年続いていた。 |
| 当初の課題・挑戦 | 新入職人が独り立ちするまでに2〜3年かかる慣行が定着しており、採用しても早期離職するケースが繰り返されていた。現場ごとに手順や品質のばらつきが生じ、元請けからの指摘も増加。ベテラン職人の引退が近づく中で、技術の伝承と品質の均一化が経営上の急務となっていた。 |
| 取組み・成功のポイント | 主要工程(はつり・内装解体・廃材分別)ごとに写真付きマニュアルを整備し、新入職人が自走して学べる仕組みをつくるという打ち手を実施した。マニュアルはタブレット端末でいつでも参照できるクラウド共有型とし、更新・追記もベテラン職人が直接入力できる形にした。OJTの評価基準も明文化し、習熟度に応じた役割分担を導入することで、新入職人の達成感とモチベーション維持を図った。 |
| 成果・今後の展望 | 入職後1年以内の離職率が以前の約40%から15%程度に低下(目標例)。現場品質のばらつきが減少し、元請けからのクレーム件数も改善傾向にある。新入職人が独り立ちするまでの期間が2〜3年から約1.5年に短縮。今後は有資格者の計画的育成に標準カリキュラムを組み込む方針。 |
| 補助金・助成金 | 未活用。今後の候補として小規模事業者持続化補助金(生産性向上枠)等が想定される。使途例:タブレット端末・クラウドストレージの導入費、マニュアル制作・写真撮影費用。採択の論点:作業標準化と人材育成の仕組み化により、早期離職の防止と現場品質の向上を通じた生産性改善を示すこと。 |
| リンク先 | 参考(建設業の標準化・DX事例):https://process.uchida-it.co.jp/itnavi/info/20220110/ |
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