訪問看護ステーション業界_成功事例レポート
目次
1. 冒頭概要
訪問看護ステーションは、売上が「訪問件数×提供単位(時間・加算)」で上限に当たりやすい一方、人件費(看護師・療法士)が固定費化しやすく、採用難がそのまま成長制約になります。移動が多く直行直帰が前提になりやすいため、記録・申し送り・計画書/報告書・レセプト請求が分断されると、事務工数と手戻りが増えて稼働率が下がり、残業・離職に波及します。
支援制度が効きやすいのは、(1)省力化/DX(電子カルテ、請求、勤怠、連絡の一元化)で「事務工数・移動のムダ」を減らし訪問枠を増やす領域、(2)紹介導線/連携の整備(ケアマネ・病院MSW・クリニック向けの情報提供)で「成約率・稼働率のブレ」を抑える領域、(3)保険外や複合モデルなど新サービスで「平均単価・粗利・継続」を伸ばす領域です。
成功パターン総括:
- 現場入力を前提に記録テンプレと日次チェックを設計すると、事務工数が▲20〜50%→訪問時間が+5〜10%伸び、受入枠が増える。
- 紹介元別に“空き枠/対応領域”を定期共有し、問い合わせ案件を台帳管理すると、成約率が+5〜15pt、稼働率のブレが縮む。
- 保険内×保険外(自費リハ等)を設計し料金/同意/説明を標準化すると、平均単価+10〜20%、継続月数+1〜3か月を狙える。
2. 成功事例(A〜H)
事例 A
| 1. 会社名・個人事業主名 | A社(訪問看護ステーション/東京都) |
| 2. 切り口 | ITツール活用(業務効率化、自動化)/標準化・マニュアル化/接客・サービス/人材活用・採用・育成 |
| 3. 会社概要 | 東京都内で在宅療養者向けに24時間対応を含む訪問看護とリハビリを提供。看護師・療法士の直行直帰が多く、記録・計画書・報告書・請求が分断されやすい業態。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 訪問看護は『訪問件数×提供単位』が売上の上限になりやすく、増員できない局面では“1件あたりの事務負担”が稼働率を直接押し下げる。A社は紙記録と事務所PC入力の二重作業で、(1)記録の後追い入力→残業増、(2)情報共有の遅れ→緊急対応の判断材料不足、(3)月末レセプト前に入力が集中→請求ミス/差戻しリスク、が顕在化していた。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | タブレットでの電子カルテ運用に統一し、訪問先で『記録→計画書/報告書→共有→請求』が流れる導線を作った。ポイントは導入より“運用設計”。①テンプレ(SOAP/評価項目)を標準化し入力項目を削る、②音声入力を許可し“現場で完結”を徹底、③管理者が毎日ダッシュボードで未入力/差異を確認し月末の山をなくす、④緊急訪問では直近記録を即参照できる状態にして判断時間を短縮。結果として『移動の合間に入力できる』働き方になり、稼働率に効く。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 定性:残業とヒヤリハットが減り、オンコール時の判断が早くなった。定量:記録時間が紙の5分の1、職員1人当たりの訪問時間が8〜10%増(=受入可能枠の拡大)。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 活用済:IT導入補助金(要確認)。使途:訪問看護向け電子カルテ/請求クラウド、タブレット端末、初期設定・操作研修。採択論点:『事務工数削減→訪問時間増→受入件数増』のKPI連鎖を、導入後の運用(毎日チェック・テンプレ化)まで示す。 |
| 8. リンク先(出典) | https://houkan.kaipoke.biz/voc/e-karte-1.html |
事例 B
| 1. 会社名・個人事業主名 | B社(訪問看護ステーション/神奈川県) |
| 2. 切り口 | CRM・会員制度・サブスク化(LTV向上)/口コミ・紹介プログラム/広告宣伝(デジタル)/接客・サービス |
| 3. 会社概要 | 川崎市で訪問看護を運営。利用者紹介の多くがケアマネ・医療機関・家族からの“紹介”で決まり、獲得は広告より紹介導線の整備が効きやすい。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 紹介が主導線の業界は、(1)紹介元の体験(連携のしやすさ)と(2)初回面談の説明品質が“成約率”を左右する。一方で、紹介の状況が属人化すると『空き枠があるのに紹介が来ない』or『紹介が集中して断る』が起こり、稼働率がブレる。B社は開業初期に売上が急落した局面で、紹介元への情報提供と案件管理の遅れがボトルネックになっていた。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | “紹介を増やす”ではなく“紹介が回る仕組み”を作った。①紹介元(居宅・病院MSW・クリニック)別に、対応可能領域/空き枠/オンコール体制を1枚にして定期共有、②問い合わせ→初回訪問→契約までを案件台帳で見える化し、停滞案件は24時間以内に必ず次アクション、③初回説明のトークと資料(料金・保険適用・緊急時フロー)を標準化し、家族の不安を“判断材料”に変える、④紹介元へのフィードバック(開始後の状況共有)をルール化して信頼を積む。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 定性:紹介元との連携が安定し、空き枠のブレが減った。定量(目標例):成約率+5〜15pt、稼働率+5〜10pt、継続月数+1〜2か月(紹介元の質が上がるほどLTVが伸びる)。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 活用済:小規模事業者持続化補助金(要確認)。使途:紹介元向けの説明資料・パンフ、連携用のミニLP/問い合わせ導線、Googleビジネスプロフィール整備。採択論点:『紹介導線の整備→成約率/稼働率改善』を、運用ルール(定期共有・24h内対応)とセットで説明。 |
| 8. リンク先(出典) | https://houkan.kaipoke.biz/voc/consulting-1.html |
事例 C
| 1. 会社名・個人事業主名 | C社(訪問看護ステーション/千葉県) |
| 2. 切り口 | 人材活用・採用・育成/ブランディング/標準化・マニュアル化/リスク管理・BCP(事業継続力強化計画) |
| 3. 会社概要 | 佐倉市で開業。小規模でスタートし、看護師/療法士の採用と定着が成長の上限を決めるフェーズ。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 訪問看護は固定費(人件費)が大きく、採用が遅れると売上の上限が低いまま。逆に採用が先行すると稼働率が落ち赤字化する。C社は開業準備で『制度・指定申請・運営ルール』と『採用/教育』が同時並行になり、現場が回る標準手順(記録、連絡、オンコール)を早期に作らないと品質事故・離職リスクが高かった。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | 開業初期に“現場の再現性”へ投資。①訪問前後のチェックリスト、申し送りテンプレ、緊急時フローを整備し新人でも迷わない導線に、②採用は『働き方(直行直帰/時短)』を先に設計し求人票に明記、③オンコール負担を分散する当番設計と、マニュアルに沿った判断基準を用意、④地域のケアマネ向けに“受入条件/対応領域”を明確化してミスマッチ紹介を減らす。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 定性:開業直後の混乱を抑え、離職・クレームの芽を早期に潰せた。定量(目標例):事務工数▲20〜40%、手戻り工数▲10〜20%、定着率+5〜10pt(初年度)。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 未活用(記事出典上は確認できず)。※活用候補:創業助成金(東京都中小企業振興公社は都内限定のため、千葉では県・市の創業支援を要確認)。 |
| 8. リンク先(出典) | https://houkan.kaipoke.biz/voc/opening-2.html |
事例 D
| 1. 会社名・個人事業主名 | D社(訪問看護ステーション/埼玉県) |
| 2. 切り口 | ITツール活用(業務効率化、自動化)/データ活用/人材活用・採用・育成/接客・サービス |
| 3. 会社概要 | 所沢市で地域密着。ICT導入を『働きやすさ』の訴求材料にして採用競争を勝ちにいくタイプ。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 採用難の中で“求人媒体に出す”だけでは差がつきにくい。訪問看護は移動が多く、記録や勤怠が事務所依存だと『帰社→入力』が増え、離職要因になる。D社は働きやすさを担保しつつ、記録の質(監査・加算)を落とさない両立が課題だった。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | 電子カルテを前提に、①直行直帰でも記録・共有・勤怠が完結、②管理者は入力状況を日次で確認し、加算要件(計画/報告)の抜けを早期検知、③記録テンプレを教育ツールとして使い、OJTを短縮。ICTを“採用の約束”として求人に組み込み、採用→稼働率の上限を押し上げた。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 定性:直行直帰の運用が安定し、採用応募での訴求点が明確になった。定量(目標例):事務工数▲20〜50%、稼働率+5〜10pt、教育期間▲10〜20%。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 活用済:IT導入補助金(要確認)。使途:訪問看護向け電子カルテ/勤怠、端末、導入支援。採択論点:『採用定着×事務削減×監査対応』を同時に満たす運用設計(テンプレ/日次チェック)を示す。 |
| 8. リンク先(出典) | https://fuga-station.jp/ |
事例 E
| 1. 会社名・個人事業主名 | E社(訪問看護ステーション/東京都) |
| 2. 切り口 | ITツール活用(業務効率化、自動化)/カイゼン・5S/標準化・マニュアル化/品質・安全・認証(HACCP/ISO等) |
| 3. 会社概要 | 多職種(看護師・PT/OT/ST)が在籍し、計画書・報告書・医師/ケアマネ連携書類が多い中規模ステーション。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 書類が多い業態は“紙運用”だと、(1)どこに最新版があるか分からない、(2)転記ミス、(3)監査対応の証跡が弱い、が起きやすい。E社は残業削減が急務だったが、単にITを入れると入力が増えるリスクもあり、業務棚卸し(捨てる/統一する)が必要だった。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | 電子カルテ導入と同時に、①紙で残すべきもの/残さないものを分類、②帳票を統一し“二重入力”を禁止、③計画書・報告書はコピー/再利用のルールを作り作成時間を圧縮、④管理者が週次でKPI(未入力件数、残業、訪問枠)をモニタして運用を微修正。IT+カイゼンのセットで、工数を“継続的に”削った。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 定性:計画書・報告書作成のストレスが減り、監査の不安が軽くなった。定量(目標例):事務工数▲20〜40%、手戻り工数▲10〜25%、稼働率+5〜10pt。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 活用済:IT導入補助金(要確認)。使途:電子カルテ/請求のクラウド、帳票テンプレ整備、運用研修。採択論点:『削減する事務(捨てる)を先に決め、導入後の運用指標で改善を回す』を記載。 |
| 8. リンク先(出典) | https://houkan.kaipoke.biz/voc/e-karte-3.html |
事例 F
| 1. 会社名・個人事業主名 | F社(在宅系複合事業/千葉県) |
| 2. 切り口 | 新商品・新サービス/新規事業・多角化/価格戦略・値上げコミュニケーション/販路開拓・営業活動(EC・越境EC・卸・代理店) |
| 3. 会社概要 | 在宅系サービスを基盤に、訪問看護を含む領域で事業を展開。保険内サービスだけだと単価と回数が制度で縛られ、売上上限が早い。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 訪問看護は“ニーズはあるのに提供制約が強い”市場。特にリハビリ領域は、保険内だと提供回数や単位に制約があり、家族の『もっとやってほしい』が満たせない。F社は保険外ニーズを取り込みつつ、制度の枠内(指定/届出)も守る設計が必要だった。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | 『機能訓練型デイ×自費リハビリ』の複合モデルを設計し、①保険内(デイ)で入口を作り、②保険外(自費リハ)で高付加価値メニューを用意、③契約導線(説明資料・同意書・料金表)を整備しクレームリスクを下げ、④訪問看護側は“医療保険・介護保険”の適用判断を明確にして混在を防いだ。売上上限を“単価×継続”で拡張した。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 定性:保険内だけでは拾えない層を獲得し、事業の伸び代が増えた。定量:開設4か月で月売上600万円超(出典記載)。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 活用済(要確認):ものづくり補助金 もしくは 新事業進出補助金。使途例:複合拠点の設備・リハ機器、予約/顧客管理、説明資料整備。採択論点:『保険内×保険外の組み合わせで売上上限を拡張し、稼働率と粗利を同時に上げる』を数値計画で示す。 |
| 8. リンク先(出典) | https://www.funaisoken.co.jp/voice/inage-houkan |
事例 G
| 1. 会社名・個人事業主名 | G社(訪問看護ステーション等/地方都市) |
| 2. 切り口 | ITツール活用(業務効率化、自動化)/接客・サービス/標準化・マニュアル化/情報セキュリティ・プライバシー |
| 3. 会社概要 | 複数職種・複数拠点で訪問看護を運営。申し送りと緊急対応の連絡が品質を左右する。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 訪問看護は『情報の遅れ=医療リスク』になりやすい。電話・個人LINE・紙メモが混在すると、(1)重要情報が抜ける、(2)引継ぎが遅れる、(3)記録と連絡の分断で責任が曖昧、が起こる。G社は緊急訪問の人員確保と多職種連携を“速く確実に”する必要があった。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | 業務連絡をビジネスチャット/グループウェアに集約し、①患者別/職種別のグループで申し送りを標準化、②写真・動画で状態共有し判断精度を上げる、③訪問予定はカレンダー共有して変更に強い運用へ、④権限管理と端末ルールで個人SNS依存を脱却。コミュニケーションの設計変更が、品質KPIに直結した。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 定性:緊急時の連絡と応援要請が迅速になり、情報の取りこぼしが減った。定量(目標例):移動/巡回時間▲10〜20%、手戻り工数▲10〜20%、クレーム件数▲10〜20%。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 活用済:IT導入補助金(要確認)。使途:ビジネスチャット/グループウェア、端末管理、運用設計。採択論点:『連絡の標準化→手戻り/品質事故の抑制→稼働率維持』を説明。 |
| 8. リンク先(出典) | https://line-works.com/cases/matsu-h/ |
事例 H
| 1. 会社名・個人事業主名 | H社(訪問看護/地方) |
| 2. 切り口 | 新商品・新サービス/ITツール活用(業務効率化、自動化)/リスク管理・BCP(事業継続力強化計画)/品質・安全・認証(HACCP/ISO等) |
| 3. 会社概要 | 医師不足・夜間対応の負担が大きい地域で訪問看護を運営。医療判断のサポート体制が競争力になる。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 地域によっては“医師にすぐ相談できない”ことが、緊急搬送や不安コールの増加につながる。訪問看護はオンコールが固定費化しやすく、対応が増えるほど離職リスクが上がる。H社は医療相談の即時性を上げつつ、看護師の心理的負担を下げる必要があった。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | オンライン医療相談サービスを導入し、①判断に迷うケースを即時相談→不要な緊急対応を抑制、②相談ログをナレッジ化して新人教育に転用、③夜間の対応基準を明確にしてコールを“判断→行動”へ短縮。品質・安全の底上げが、結果として工数と離職リスクを下げた。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 定性:現場の安心感が増え、判断のばらつきが減った。定量(目標例):オンコール対応回数▲10〜20%、手戻り工数▲10〜20%、継続率+5〜10pt。※詳細数値は記事に依存。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 未活用(記事出典上は確認できず)。※活用候補:IT導入補助金(オンライン相談/ナレッジ共有)、事業継続力強化計画に絡めたBCP整備。 |
| 8. リンク先(出典) | https://doctormate.co.jp/case/nasunozaitakuseikatsushiencenter |
3. 補足・参考情報
3-1. 関連補助金(公式・mirasapo+優先)
3-2. DX参考サイト(公式・導入事例)
3-3. 支援機関(首都圏)