民泊業界_成功事例レポート
目次
冒頭概要
- 民泊(住宅宿泊・簡易宿所・一棟貸し等)は、稼働率(予約数)×客単価が売上上限になりやすく、清掃・鍵管理・問い合わせ対応など“部屋数に比例して増える変動作業”が粗利を削ります。
- 一方、物件の家賃/ローン、光熱費、OTA手数料、清掃外注費など固定・準固定費が重く、繁忙/閑散の波で利益が振れやすい構造です。さらに人手不足で運営が属人化し、レビュー低下→予約減の悪循環が起きやすいのが典型課題です。
- 支援制度が効く領域は大きく3つ。①販路(自社予約導線・インバウンド対応)②省力化(セルフチェックイン、PMS/宿帳、清掃DX)③高付加価値化(体験・長期滞在・地域連携)です。
- 成功パターンは、(1) “受付〜本人確認〜鍵〜宿帳”をデジタルに繋げて事務工数を削り、浮いた時間を接客/レビュー対策へ再配分→稼働率とクレーム率が改善、(2) OTA依存を下げて直販比率を上げる→手数料が粗利に転換、(3) 地域連携や長期滞在設計で単価・LTVを上げ、閑散期の稼働を底上げ、の3点に整理できます。
成功事例(A〜H)
事例A(東京都)
| 1. 会社名・個人事業主名 | A社(匿名) |
| 2. 切り口 | ITツール活用(業務効率化、自動化)/標準化・マニュアル化/接客・サービス/インバウンド対応/補助金活用 |
| 3. 会社概要 | 【想定属性】都市部の小規模ゲストハウス(簡易宿所/民泊に近い運営)。客室は10〜30室規模、スタッフは日中1〜2名+清掃外注を組み合わせた省人運営。集客はOTA(旅行予約サイト)比率が高く、予約前後の問い合わせ(到着導線、荷物、アメニティ、近隣ルール等)と、滞在中のトラブル対応が日々発生する。顧客は国内個人に加えインバウンド比率が高く、多言語対応が必須。レビュー評価が稼働率を左右するため、返信速度と案内品質が売上の先行指標になる。販売は『宿泊単価×稼働率』に加え、ドミトリー/個室のミックスや連泊割引で単価が動く。固定費は家賃・光熱費・リネン/清掃・OTA手数料が中心で、オーナー/現場責任者が運用を兼務しがち。そのため“問い合わせ処理に時間を取られるほど、改善活動(直販・レビュー対策・近隣対応)が後回しになる”という構造的ボトルネックを抱える。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 民泊・小規模宿は“部屋数が少ない=売上上限が低い”一方で、チェックイン案内、本人確認、館内ルール説明、周辺の騒音/ゴミ出し注意など、予約ごとに発生する事務作業が多い。特にインバウンドでは、深夜帯の問い合わせや多言語対応が増え、返信遅れがキャンセル・低評価に直結しやすい。当該施設では、フロントのピーク(到着集中)と問い合わせ対応が重なり、スタッフが“処理作業”に追われて接客品質が落ちるリスクが顕在化。採用で解決しようとすると固定費が増え、閑散期の赤字が拡大する。そこで『人を増やさず、応答速度と品質を同時に上げる』ことが挑戦テーマとなった。また、本人確認や宿帳管理など法令対応も必要で、漏れがあると行政対応や掲載停止リスクにもつながる。繁忙期はチェックインが集中し、対面案内の質が下がると『ルール理解不足→騒音/ゴミ→近隣クレーム』が起き、レビュー低下で翌週の予約が落ちる。逆に閑散期はスタッフが減り、1人当たりの問い合わせ負荷が増えて応答が遅れる。この“需給の波”がある業態で、品質と省人化を両立させる仕組み化が課題だった。周辺には同価格帯の宿が多く、差別化が難しいため、返信速度と案内品質そのものが“商品”になっていた点も重要。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | 取組みは、AIコンシェルジュ(チャット)を導入し、問い合わせの一次対応を自動化した点。ポイントはツール導入より“運用設計”で、①問い合わせを“予約前/滞在中/緊急”に分類、②緊急(鍵・安全・体調等)は人へ即時エスカレーション、③FAQを多言語化して常に更新、④回答ログを週次で分析して新しい質問を追加、というPDCAを回した。また、チェックイン手順・館内ルール・近隣配慮をテンプレート化し、スタッフが介入する場合も回答品質がブレないよう標準化。結果、スタッフは“判断が必要な案件”に集中でき、空いた時間を到着時の案内・清掃点検・レビュー返信など品質業務へ再配分できたことが、稼働率とクレーム抑制に効いた。実装面では、よくある質問を“短い回答で完結する形”に再編集し、画像・地図リンク・チェックイン動画などを組み合わせて自己解決率を上げた。さらに、問い合わせの窓口を一本化し(チャット/メール/OTAメッセージの導線整理)、誰が見ても同じ回答ができるように担当表とテンプレを整備。AIが回答できないケースは『例外チケット』として担当者に通知し、対応後はFAQに反映することで例外を減らしていった。この“例外を減らす設計”が、単発の省力化に終わらず、継続的に工数が落ち続ける仕組みになった。 |
| 6. 成果・今後の展望 | 定性:多言語問い合わせの即時応答が増え、スタッフがフロントと接客に集中できる体制に近づいた。定量:出典では、ピーク時に“2名分相当の人員を別業務へ回せた”旨や、最大で1日180分の業務削減が示されている。民泊スケールでは、問い合わせ対応工数(分/件)▲20〜50%・クレーム件数▲10〜25%(目標例)が現実的。今後はFAQを『予約前の不安解消』へ拡張し、成約率+5〜15pt(目標例)に接続する余地がある。加えて、スタッフの再配置で“到着時の案内”や“館内巡回”に時間を使えるようになり、手戻り(鍵・設備問い合わせ)やクレームの予防にも効く。KPIとしては、応答時間(分)・自己解決率・クレーム率・レビュー評価を追い、週次で改善する運用が今後の伸びしろ。 |
| 7. 補助金・助成金 | 【活用済】観光庁「観光地・観光産業における人材不足対策事業(宿泊業の人材不足の解消に向けた設備投資等)」 使途:AIコンシェルジュ(多言語チャット)導入+FAQ整備。 採択の論点:問い合わせ一次対応を自動化し、削減した工数を接客/品質へ再配分してクレーム抑制と稼働率維持(ひいては売上確保)に繋げる道筋。 |
| 8. リンク先 | https://kanko-jinzai.go.jp/cases/2521/(詳しく見る)/PDF:https://kanko-jinzai.go.jp/cases/2521/?download=pdf 出典:https://kanko-jinzai.go.jp/cases/2521/(詳しく見る)/PDF:https://kanko-jinzai.go.jp/cases/2521/?download=pdf |
事例B(群馬県)
| 1. 会社名・個人事業主名 | B社(匿名) |
| 2. 切り口 | ITツール活用(業務効率化、自動化)/標準化・マニュアル化/接客・サービス/人材活用・採用・育成/補助金活用 |
| 3. 会社概要 | 【想定属性】温泉地の中規模旅館だが、業務構造は“多拠点・多部屋を少人数で回す”民泊運営と共通する。客室は約90室規模、フロントは複数シフトで回しつつ、宿帳入力・館内オーダー連携などバックオフィス作業も抱える。予約情報はOTA・電話・団体など複線で、チェックイン時に宿泊カード情報をデータ化し、会計や厨房システムへ連携する運用。人手不足下でも対面サービスの質を落とさず、見えない作業(入力・転記)を削る必要があった。民泊に置き換えると、本人確認・宿帳・鍵・決済を一連で処理する“受付工程”がボトルネックになるタイプ。固定費は人件費に加えて、リネン・清掃・光熱費が大きく、稼働が増えるほど外注費も増えるため“省人化=利益率改善”に直結する。一方、宿泊の体験価値はフロント対応や案内の丁寧さで決まり、機械化で不満が出るとレビューで即座に返ってくる。そのため、デジタル化は『工数削減』と『接客時間の確保』を同時に満たす必要がある。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 業界構造として、宿泊業は稼働率が上がるほどチェックイン処理が集中し、ピーク時の待ち行列が体験価値を下げます。一方で、宿帳や顧客情報の入力・転記は“お客さまに見えないが必ず発生する固定作業”で、部屋数に比例して増える。当該施設では、紙の宿泊カードをスキャンして保管する一方、データベースへの入力が手作業として残っており、フロント専任スタッフの負担が大きかった。入力を終えないとバックオフィス(会計)や厨房のオーダーシステムに情報が連携できず、後工程も詰まる。採用で補うと固定費増で閑散期が苦しくなるため、『紙→データ化→連携』の工程そのものを短縮し、ピーク時の処理能力を上げることが挑戦だった。さらに“効率化してもサービス品質は下げない”という方針のため、単なる無人化ではなく、スタッフの時間を“接客に戻す”設計が求められた。特に民泊は“鍵の受け渡し・本人確認・宿帳”が一連で詰まりやすく、チェックイン対応が遅いと到着直後の満足度が下がり、レビュー評価が落ちて稼働率に波及する。また、データ連携が弱いと、清掃や備品補充の指示が遅れ、手戻り(清掃漏れ・備品不足)が増えて品質コストが上がる。当該施設の課題は、まさに『入力→連携』の前工程がボトルネックになって後工程全体の生産性を落としていた点にある。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | 取組みは、自動チェックイン機と電子宿帳システムの導入。施策の因果は、①お客さま自身が情報入力/確認を行い、②スタッフは誤り訂正とサポートに専念、③データが即時に後工程へ連携、という流れに変えた点です。運用面では、設置場所をフロントから見え、すぐフォローできる位置に置き“詰まり”を防止。導入初期は不安が出やすいので、若手を中心に操作習熟を進め、全スタッフへ段階的に展開した。また、どこまで機械に任せ、どこを人が担うか(高齢者対応、特別要望、トラブル時)を明確化して、サービス品質を落とさないルールを作った。結果として、入力という非付加価値作業を減らし、空いた時間を館内点検・周辺案内・次客準備に回せるようにしたことが、稼働率とレビュー維持に効いた。さらに、電子宿帳のデータは、顧客属性の把握(国籍、来訪目的、連泊傾向)にも使えるため、運用を回すほど“次の打ち手”が増える。例えば、連泊率が高い層にはレイトチェックアウトや周辺体験の提案を入れる、繁忙日だけ多言語スタッフを配置する等、需要に合わせた運用最適化が可能になる。このように、DXが単なる省力化で終わらず、稼働率・単価の改善へつながる設計になっている点が再現可能な型。 |
| 6. 成果・今後の展望 | 定性:ペーパーレス化で入力負担が減り、スタッフが『動きやすくなった』ことで対面サービスに集中できるようになった。定量:出典では、フロント業務で1日6〜7時間、月210時間程度の作業負担削減が示されている。民泊規模でも、チェックイン/本人確認/宿帳の事務工数(分/件)▲20〜50%(目標例)に相当し、ピーク時の待ち時間短縮→クレーム率▲10〜25%(目標例)に波及し得る。今後は、空いた時間を直販対応やレビュー返信に充て、稼働率+5〜15pt(目標例)へつなげる打ち手が取りやすい。KPIは、チェックイン処理時間(分/組)、待ち時間、入力ミス件数、クレーム件数、レビュー評価、そして浮いた時間の再配分先(接客/巡回/清掃点検)をセットで追うと因果が崩れにくい。 |
| 7. 補助金・助成金 | 【活用済】観光庁「観光地・観光産業における人材不足対策事業(宿泊業の人材不足の解消に向けた設備投資等)」 使途:自動チェックイン機+電子宿帳の導入(紙→データ化→後工程連携)。 採択の論点:チェックイン/宿帳の事務工数を削減し、ピーク処理能力を上げて待ち時間・クレームを抑え、稼働率とレビューを維持する道筋。 |
| 8. リンク先 | https://kanko-jinzai.go.jp/cases/2187/(詳しく見る) 出典:https://kanko-jinzai.go.jp/cases/2187/(詳しく見る) |
事例C(新潟県)
| 1. 会社名・個人事業主名 | C社(匿名) |
| 2. 切り口 | 生産性向上/ITツール活用(業務効率化、自動化)/標準化・マニュアル化/人材活用・採用・育成/補助金活用 |
| 3. 会社概要 | 【想定属性】大型温泉宿(多層階・大部屋)で、清掃・配膳の移動距離が長いタイプ。民泊で言えば“複数物件・複数フロアを少人数で回す運営代行”に近い。館内は広く、エレベーター移動や備品搬送が多い。清掃スタッフは高齢化・採用難で、繁忙期に人を増やしにくい。売上は稼働率に連動するが、清掃が回らないと販売可能室数が減り、機会損失が出る。一方で、清掃品質が落ちるとレビュー低下→予約減となるため、単なる省人化ではなく品質維持を伴う省力化が必要。そのため“移動と単純作業”を機械に任せ、人は点検・仕上げに集中する運用が現実解になる。施設は観光需要の波が大きく、週末・連休に稼働が寄るため、短期で人員増をするより“仕組みでピークを捌く”方が再現性が高い。特に民泊運営代行では、清掃スタッフの確保が案件拡大の上限になるため、清掃工程の省人化は“売上上限の引き上げ”に直結する。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 民泊業界でも同様に、清掃は変動費でありながら運営のボトルネックになりやすい。繁忙期はチェックアウト後の短時間で仕上げる必要があり、遅れると当日販売ができず稼働率が下がる。当該施設は規模が大きく多層階のため、清掃スタッフの移動負荷が大きく、体力的負担が離職・採用難を加速させていた。さらに、配膳や備品搬送も人手に依存しており、少人数で回すほど“走り回る時間”が増えて、本来の品質チェックに時間を割けない。そこで、移動を伴う単純作業をロボットに置き換え、清掃の生産性を上げつつ、人的リソースを点検・顧客対応へ回すことが挑戦となった。狙いは『稼働率を上げても、清掃がボトルネックにならない体制』を作ること。加えて、ロボット導入は初期投資が必要だが、清掃外注単価の上昇や採用難が続く環境では、固定費化しても中長期で優位になりやすい。しかし、導入だけで解決せず、現場が使いこなせないと稼働が落ちる。そのため、導入前に『どの作業を何分削るか』『削れた時間を何に再配分するか』をKPIで設計することが課題だった。民泊は物件が増えるほど移動が増え、スタッフの拘束時間が伸びるため、移動削減は“実質時給の引き上げ”にもなる。清掃が回らない日は販売停止や価格下げで対応しがちで、粗利を削る。この悪循環を断つには、工程の自動化と動線設計をセットで行う必要がある。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | 取組みは、清掃ロボットや配膳ロボット等を導入し、館内移動と反復作業を機械化した点。運用で重要なのは、ロボット任せにできる工程(床清掃、搬送)と、人が担う工程(衛生点検、アメニティ補充、最終チェック)を切り分け、標準手順に落とし込むことです。また、多層階では“ロボットの移動・充電・稼働スケジュール”が詰まりやすいので、チェックアウト集中時間帯の前後で稼働計画を作り、清掃チームの動線も合わせて再設計する。これにより、スタッフは移動時間を減らし、仕上げ品質に集中できる。結果として、清掃の回転力が上がり販売可能室数が増える→稼働率が上がる、という因果が成立する。清掃ロボットは“完璧に仕上げる”より『下地を作る』役割に置き、スタッフは仕上げとチェックに集中する。配膳・搬送ロボットも同様に、重い荷物や往復回数を減らすことで、結果的に人の疲労とミスを減らす。この切り分けをマニュアル化し、誰が入っても同品質になるよう教育することで、属人化を崩し、採用面でも回しやすくなる。民泊に置き換えると、清掃チェックリストと写真台帳を標準化し、外注・内製混在でも品質を担保する“運用の型”に相当する。さらに、ロボット導入後の“例外対応”(段差、濡れ床、混雑時間帯)を洗い出し、例外を減らすために床材・導線・備品配置を微調整するのが定着のコツ。ここまで踏み込むことで、ロボットが『使える日だけ使う道具』ではなく、毎日稼働する“基盤”になり、投資回収が進む。 |
| 6. 成果・今後の展望 | 定性:移動負荷が減り、清掃スタッフの身体的負担が軽減。品質点検に時間を回せるため、手戻りやクレーム予防にもつながる。定量:出典に具体値がないため目標例として、移動/巡回時間▲20〜40%、清掃関連の事務・連絡工数▲20〜50%、清掃手戻り▲10〜25%、稼働率(販売可能室数)+5〜15ptを設定すると管理しやすい。今後は、清掃ログ(部屋別所要時間・不備)を蓄積し、外注先の品質管理や動線改善に使うことで、粗利率+1〜3pt(目標例)まで狙える。KPI運用としては、清掃完了までのリードタイム、部屋別所要時間、再清掃率、レビューの清潔感スコアを週次で追い、ロボット稼働率(稼働時間/日)と合わせて改善する。 |
| 7. 補助金・助成金 | 【活用済】観光庁「観光地・観光産業における人材不足対策事業(宿泊業の人材不足の解消に向けた設備投資等)」 使途:清掃ロボット/配膳ロボット等の導入+清掃工程の標準化。 採択の論点:移動・反復作業を機械化し、人的リソースを点検・仕上げに集中させて品質を落とさず稼働率(販売可能室数)を確保する道筋。 |
| 8. リンク先 | https://kanko-jinzai.go.jp/cases/1938/(詳しく見る) 出典:https://kanko-jinzai.go.jp/cases/1938/(詳しく見る) |
事例D(福岡県)
| 1. 会社名・個人事業主名 | D社(匿名) |
| 2. 切り口 | ITツール活用(業務効率化、自動化)/標準化・マニュアル化/接客・サービス/人材活用・採用・育成/補助金活用 |
| 3. 会社概要 | 【想定属性】都市部のカプセル/簡易宿所型で、深夜帯も含めてチェックイン・精算が発生する。民泊で言えば“無人運営に近い都市型物件”に相当。利用者は短期滞在が中心で回転が速く、フロントは少人数で回すため、精算・入退館管理・問い合わせ対応が同時多発すると破綻しやすい。設備(浴場等)がある場合は保守・巡回が必要で、スタッフの動きが分散しがち。売上は稼働率と回転に依存する一方、夜間の人員配置は固定費化しやすく、採用難も重なる。したがって、フロント作業の自動化と、設備管理の省人化を組み合わせて“夜間も回る運営”を作ることが重要になる。客単価を上げにくい業態では、処理能力(回転)を落とさずに稼働を取り切ることが収益の前提になる。そのため、受付・精算・案内の“詰まり”をなくし、スタッフが清掃品質や安全確認へ時間を割ける状態を作る必要がある。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 宿泊・民泊は、チェックイン/精算が詰まると行列が発生し、体験価値が一気に下がる。一方で、浴場や共用部がある施設では、ろ過装置の管理や巡回が必須で、限られた人数で安全と快適性を両立させる必要がある。当該施設では、ろ過装置の管理に関わるスタッフ負担が大きく、フロントもベテランのみが対応できる状態で属人化していた。属人化が進むと、欠勤が出た瞬間に回らなくなり、営業時間短縮や受入制限で売上上限が下がる。そこで、(1)精算・受付を機械化して新人でも回せる状態にし、(2)設備管理を自動化して巡回負荷を下げる、という二段構えでボトルネックを潰すことが挑戦となった。狙いは『夜間の最少人数運営でも安全・品質を落とさない』体制づくり。また、機械導入は初期投資が必要だが、夜間帯の人件費や、属人化による教育コスト・残業コストが積み上がる施設では投資回収が見込みやすい。逆に、導入しても運用が決まっていないとトラブル時に余計に手間が増えるため、例外対応を含めた運用設計が必須だった。民泊でも、チェックイン遅延や決済トラブルはレビューで強いマイナスになり、以後の予約単価・稼働に影響する。このため、フロント系のDXは『工数削減』だけでなく『失敗しにくさ(失敗しても復旧できる)』を設計することが課題だった。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | 取組みは、自動精算機の導入により会計・受付の処理を標準化し、全自動ろ過装置や防犯カメラ、AIチャットボットを組み合わせて運営負荷を下げた点。因果は、①精算・手続きの“手順”を機械に寄せて新人でも対応できるようにし、②設備は自動化/監視で巡回回数を減らし、③問い合わせはチャットで一次対応して例外のみ人が見る、という役割分担にある。運用面では、AIチャットボットの回答をFAQ化し、設備トラブル時の連絡フローを定義することで、夜間対応でも判断がブレないようにした。結果として、スタッフは“判断・安全・例外対応”に集中でき、回転を落とさずに稼働率を確保できる。民泊で再現するなら、無人チェックイン+自動決済+遠隔監視+FAQの組合せで、現地立会いを最小化する型になる。具体的には、精算機の案内文や画面遷移を“迷わない順序”に整え、館内ルール・利用手順の掲示とセットで整備。ろ過装置やカメラのアラートを誰がどのタイミングで確認し、どう記録するかを決め、緊急時の連絡先と判断基準をマニュアル化した。これにより、夜間でも『安全→最低限の復旧→翌日の恒久対応』が回る。民泊に置き換えると、遠隔監視のアラート運用(通知先、一次対応、現地駆け付けの手配)を標準化することに相当する。 |
| 6. 成果・今後の展望 | 定性:フロント業務が標準化され、ベテラン依存が下がることでシフトが組みやすくなり、設備管理の負担も軽減。定量:出典に具体値がないため目標例として、フロント事務工数(分/件)▲20〜50%、夜間巡回時間▲20〜40%、クレーム▲10〜25%、稼働率+5〜15ptを設定。今後は、チャットのログから“離脱理由(不安点)”を抽出し、予約前FAQへ反映することで成約率+5〜15pt(目標例)まで伸ばせる。KPIは、精算/チェックインの処理時間、夜間トラブル対応回数、設備アラートの一次対応時間、レビューの“安心・清潔”関連スコアをセットで追うと因果が見える。加えて、受付が詰まらないことで回転が上がり、稼働率を落とさずに単価を維持しやすくなる。 |
| 7. 補助金・助成金 | 【活用済】観光庁「観光地・観光産業における人材不足対策事業(宿泊業の人材不足の解消に向けた設備投資等)」 使途:自動精算機+全自動ろ過装置+防犯カメラ+AIチャットボット等の導入。 採択の論点:夜間を含む受付・設備管理を標準化/自動化し、最少人数でも安全と回転(稼働率)を維持する道筋。 |
| 8. リンク先 | https://kanko-jinzai.go.jp/cases/2031/(詳しく見る) 出典:https://kanko-jinzai.go.jp/cases/2031/(詳しく見る) |
事例E(大分県)
| 1. 会社名・個人事業主名 | E社(匿名) |
| 2. 切り口 | ITツール活用(業務効率化、自動化)/標準化・マニュアル化/生産性向上/接客・サービス/補助金活用 |
| 3. 会社概要 | 【想定属性】地方都市の中規模ホテルで、フロント・厨房・清掃など部門が分かれ、情報連携がオペレーション品質を左右する。民泊運営代行で言えば、予約担当・現地対応・清掃外注・オーナー報告が分断されている状態に近い。予約はOTA/電話など複数チャネルから入り、部門ごとに手書きや転記が残ると、指示漏れや二重対応が増える。顧客接点はフロントだが、裏側の連携(清掃タイミング、食事準備、請求)が崩れるとクレームになる。したがって、予約情報を“単一の正”に集約し、全員が同じ情報を見て動ける基盤づくりが、少人数運営の前提となる。顧客は観光客・ビジネス客が混在し、チェックイン時間が集中する日も多い。予約変更・延泊・人数変更が頻繁に起きるため、更新が追いつかないとすぐ現場が混乱する。この“変化の多さ”がある業態では、情報を紙で回すほどロスが増える。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 宿泊業の固定費は人件費・光熱費・清掃費が中心で、稼働率が上がるほど現場は忙しくなる。にもかかわらず、手書きや転記が多いと、忙しい日に限ってミスが増え、手戻り(清掃漏れ、食事数の誤り、請求ミス)が発生する。当該施設では、フロントや厨房など各部門で手書き作業が多く、作業効率が低下し、部門間の連携が取りづらかった。結果として、確認の電話・メモの受け渡しが増え、全体の生産性が落ちる。民泊でも、予約変更が清掃へ伝わらずダブルブッキングや鍵不達になるとレビューが一気に落ちるため、情報連携の弱さは売上リスクそのもの。そこで、情報を一元化し、部門間の“見えないコミュニケーションコスト”を削ることが挑戦となった。狙いは、繁忙日にこそ強いオペレーションを作り、稼働率を上げても品質が崩れない状態。さらに、電話での確認が増えるほど現場は中断され、集中力が切れてミスが増える。ミスが起きると追加清掃や返金対応が発生し、粗利を直接削る。つまり、情報連携の改善は『工数削減』と同時に『品質コスト(クレーム対応)削減』に効く。この二重効果を狙える点が、補助金申請でも採択されやすい論点になる。繁忙期でも同じ品質を保てる仕組みは、レビュー評価の下支えになり、結果的に価格競争から抜けやすくなる。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | 取組みは、新しいPMS(ホテル管理システム)を導入し、予約情報・顧客情報・部門指示を一元化した点。因果は、①各部門が同じ画面で最新情報を確認できる→確認連絡が減る、②手書き・転記が減る→ミスが減る、③指示が早くなる→手戻りが減る、の連鎖にある。運用面では、紙で回していた帳票(到着リスト、食事数、清掃指示)をPMSから出力/共有する形に統一し、例外(団体、特別要望)は入力ルールを決めて漏れを防止。また、導入直後は“入力が面倒”になりがちなので、最低限入れる項目を決め、現場の負担と情報量のバランスを取る。このように、PMSを“全員が使う基盤”として定着させたことが、生産性向上と品質維持に効いた。民泊に置き換えると、PMS/チャネルマネージャーと清掃・鍵・会計をつなぐことで、運営代行の拡張性が上がる型。実際の導入では、現場に合わせて画面や帳票の見せ方を調整し、部門ごとに“見るべき情報”を固定化することが重要。例えば、清掃は『チェックアウト時刻・次のチェックイン時刻・特別要望』だけが即時に見えれば良い。厨房は『食事数・アレルギー・提供時間』が正しく出れば良い。このように必要十分に絞ることで入力負担を抑えつつ、連携精度を上げられる。 |
| 6. 成果・今後の展望 | 定性:部署間の連携がスムーズになり、作業効率が改善。繁忙日でも情報共有が崩れにくくなった。定量:出典に数値がないため目標例として、事務工数(分/件)▲20〜50%、手戻り(清掃漏れ・指示漏れ)▲10〜25%、クレーム▲10〜25%を設定。情報の一元化により、稼働率+5〜15pt(目標例)を狙えるのは“販売可能室数が増える/販売停止が減る”ため。今後は、データを使って繁忙日の人員配置を最適化し、粗利率+1〜3pt(目標例)へ接続する余地がある。KPIは、確認連絡回数、入力/転記時間、部門間の指示漏れ件数、クレーム内容の内訳(清掃/食事/請求)を追うと改善点が特定しやすい。また、データが揃うと、直販/OTA別の粗利比較もでき、価格戦略(値上げコミュニケーション)に踏み込める。 |
| 7. 補助金・助成金 | 【活用済】観光庁「観光地・観光産業における人材不足対策事業(宿泊業の人材不足の解消に向けた設備投資等)」 使途:PMS(ホテル管理システム)導入による予約・顧客・部門指示の一元化。 採択の論点:手書き/転記を削減し、部門間の連携ミスを抑えてクレームと手戻りを減らし、繁忙期でも稼働率と品質を両立する道筋。 |
| 8. リンク先 | https://kanko-jinzai.go.jp/cases/1783/(詳しく見る) 出典:https://kanko-jinzai.go.jp/cases/1783/(詳しく見る) |
事例F(埼玉県)
| 1. 会社名・個人事業主名 | F社(匿名) |
| 2. 切り口 | 事業連携/コミュニティ形成・UGC/レビュー・SNS運用/ブランディング/リブランディング/新商品・新サービス/販路開拓・営業活動(EC・越境EC・卸・代理店) |
| 3. 会社概要 | 【想定属性】首都圏近郊(埼玉県秩父エリア想定)の小規模宿(古民家一棟貸し/簡易宿所)。客室数は少ないが、地域の観光資源に依存するため“体験価値の見せ方”が単価と稼働率を左右する。運営はオーナー兼任で、清掃・案内・SNS発信まで少人数で担うことが多い。OTAに頼ると手数料が重く、差別化が難しい一方、直販を増やすには地域の魅力(食・体験・季節イベント)を一緒に届ける必要がある。そこで、宿単体ではなく地域事業者と連携し、宿泊を“目的化”する設計が重要になる。本事例は、宿泊プランを地域連携で作り、SNS/口コミを梃子に集客の質を上げたタイプ。固定費は物件維持(修繕、光熱、清掃)で、稼働が低い月は一気に利益が消える。反対に繁忙月は清掃・近隣対応が増え、オーナーの稼働が限界になるため、無理な販売拡大は品質低下につながる。そのため、単に予約数を増やすより『単価を上げて同じ稼働で利益を増やす』設計が適している。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 民泊の価格競争は、同じエリア内で物件が増えるほど激化し、OTA上では設備差が小さいと比較されやすい。また、閑散期は広告費をかけても稼働が読めず、個社だけで販促を回すと費用対効果が悪化する。当該宿も、予約が『週末・連休に偏る』『平日が埋まらない』という典型課題を抱え、稼働率の底上げが必要だった。一方で、人員や時間が限られ、毎回新しい企画を作るのは難しい。そこで、地域の飲食店・体験事業者と組み、宿泊とセットで価値を上げることで、単価と稼働率を同時に上げる挑戦を行った。狙いは、広告ではなく“体験価値”で選ばれ、レビュー/UGCで自然流入を増やすこと。観光地の宿は『何をして過ごすか』が決まっていないと比較検討で負けやすく、特に平日は目的が弱い。また、地域の飲食や体験が分散していると、初めて来る旅行者は計画負荷が高く、結果として近場・定番エリアへ流れる。この計画負荷を下げ、滞在を“予約しやすい商品”に組み替える必要があった。さらに、地域側も個店単位では集客が難しく、相互送客の仕組みがないと広告費が積み上がる。宿がハブになって体験を束ねることで、地域全体の売上を上げながら自社の稼働も底上げする、という地域連携型の課題設定になった。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | 取組みの核は、地域事業者と共同で『宿泊+体験(食/アクティビティ/文化)』のパッケージを設計し、SNSで発信した点。運用では、①体験内容を季節で入れ替え、平日向けの動機(学び/癒し/ワーケーション)を作る、②体験事業者側にも告知素材を提供し相互送客、③宿のレビュー返信で体験導線を必ず案内、という“連携の型”を回した。さらに、投稿を単発で終わらせず、UGC(お客さま投稿)を促す撮影スポットやハッシュタグを整備し、口コミが増える仕組みを作った。結果、広告費を大きく増やさずに“指名検索・紹介”が増え、予約の質(キャンセル率低下、連泊増)にも効く。民泊で再現するなら、近隣の体験事業者・飲食店と提携し、予約ページに体験を同梱して単価と稼働を引き上げる型。具体的には、予約ページに『おすすめ行程』を入れ、到着前にLINE等で案内を送ることで、当日の現地説明工数も削減。体験事業者との連絡はテンプレ化し、予約が入ったら自動で通知が飛ぶように運用を整えると、連携が属人化しにくい。また、体験の満足度がレビューに反映されるため、体験事業者の品質(対応時間、キャンセル規定)も事前に合意しておくのが重要。こうした“連携の作法”があるほど、提携先を増やしても運用が崩れず、商品ラインナップが増えるほど成約率が上がる。 |
| 6. 成果・今後の展望 | 定性:宿単体では伝えにくい地域の魅力が可視化され、SNSや口コミでの拡散が起点になりやすくなった。定量:出典に数値がないため目標例として、平均単価+10〜20%、稼働率+5〜15pt、成約率+5〜15pt(直販導線)、キャンセル率低下(クレーム▲10〜25%)を設定。今後は、体験を“季節の定番商品”として継続販売し、リピーター化(継続月数+1〜3か月相当=年次リピート)を狙うとLTVが伸びる。KPIは、直販比率、指名検索数、UGC投稿数、平均単価、平日稼働率をセットで追い、体験追加がどこに効いたか(単価か稼働か)を分解すると再現性が上がる。季節別にヒットした体験を残し、毎年の“定番”にすることでLTV(再訪)を作りやすい。 |
| 7. 補助金・助成金 | 【未活用】(補助金を使うなら)小規模事業者持続化補助金:LP/予約導線改善、撮影・SNS運用設計、地域連携商品の販促(チラシ/広告)など。 採択の論点例:直販比率を高めて手数料を粗利に転換し、平日稼働率を底上げするKPI設計。 |
| 8. リンク先 | https://mirasapo-plus.go.jp/hint/19429/(企業間連携の事例:地域と宿の共同企画) 出典:https://mirasapo-plus.go.jp/hint/19429/(企業間連携の事例:地域と宿の共同企画) |
事例G(神奈川県)
| 1. 会社名・個人事業主名 | G社(匿名) |
| 2. 切り口 | 新商品・新サービス/ITツール活用(集客、広告宣伝)/ITツール活用(業務効率化、自動化)/CRM・会員制度・サブスク化(LTV向上)/価格戦略・値上げコミュニケーション |
| 3. 会社概要 | 【想定属性】横浜エリアのサービスアパートメント/長期滞在型宿(民泊の長期利用を取り込むモデル)。短期観光だけでなく、出張・研修・家族の一時滞在など“30日以上の長期”を主戦場にし、法人需要も取り込む。予約チャネルは自社サイト、代理店、OTAが混在し、長期は問い合わせ〜見積〜契約の要素が増えるため、オペレーションが複雑化しやすい。一方で長期はLTVが大きく、成約できれば稼働の安定化に効く。そのため、直販導線と在庫・料金の一元管理を整え、手数料と工数を同時に圧縮することが利益の鍵になる。本事例は、予約エンジン/サイトコントローラー導入で“直販比率と業務効率”を同時に上げる型。客単価は月額換算で大きいが、空室が続くと機会損失も大きい。また長期は契約前の検討期間が長く、比較検討の段階で離脱しやすい。だからこそ、予約サイト上で“見える化”して即決できる状態が重要になる。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 民泊はOTA依存が強いほど手数料が粗利を削り、価格競争に巻き込まれやすい。しかし直販を増やすには、予約導線(空室検索、料金提示、決済、キャンセル規定)を整え、問い合わせ対応を減らす必要がある。長期滞在はさらに、入居条件や付帯サービス(清掃頻度、光熱費、駐車場等)の説明が必要で、対応が属人化しやすい。当該施設では、複数チャネルの在庫・料金調整が手作業になり、更新漏れが機会損失や二重販売リスクを生んでいた。加えて、直販を増やしたくても『サイトが弱い・空室が見えない』と問い合わせが増え、現場の負担が上がってしまう。そこで、直販を増やしながら現場工数を減らす=“売上を伸ばしても回る仕組み”を作ることが挑戦となった。さらに、価格の出し方が不透明だと『まず問い合わせ』になり、返信遅れが失注につながる。民泊でも、連泊・長期の問い合わせは単価が大きい反面、対応が重い。この高単価案件を逃さず、かつ現場を疲弊させないために、商品・導線・在庫管理をセットで整える必要があった。競合はホテルだけでなくマンスリーマンション等も含むため、比較検討で負けない情報提示(設備、立地、生活導線)も課題だった。結果として『直販を増やす=問い合わせが増える』という逆効果を避け、販路強化と省力化を同時に成立させることがポイントだった。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | 取組みは、公式サイトに予約エンジンを実装し、サイトコントローラーで在庫・料金を一元管理した点。因果は、①直販導線が強化される→OTA手数料が粗利に転換、②在庫・料金更新が自動化される→更新漏れ/二重販売が減る、③問い合わせが減る→スタッフは法人対応や顧客体験に集中、の連鎖。運用面では、長期向けプランを“条件が一目で分かる”形に商品化し(清掃頻度、設備、キャンセル条件を明記)、見積・確認の往復を減らした。また、直販で獲得した顧客に対し、リピート時の簡易予約(同条件で再予約)を用意するとLTVが伸びる。結果、販路(直販)と省力化(自動更新)を両輪で回し、稼働の安定化と粗利改善に効いた。予約エンジン導入時は、スマホで完結するUI、決済手段、キャンセル規定の明確化が離脱率を左右する。また、OTAと価格差が大きいと不信感につながるため、直販特典(長期割、清掃回数、レイトチェックアウト等)で価値を付けて価格を守る設計が有効。サイトコントローラー側では、料金改定のルール(繁忙期/閑散期、最低宿泊数)をあらかじめ設定し、運用担当が変わってもブレないよう標準化した。この標準化があるほど、物件数が増えても管理が破綻せず、運営代行のスケールにも耐える。 |
| 6. 成果・今後の展望 | 定性:直販導線が整うことで、長期滞在の問い合わせ対応が整理され、在庫・料金管理の負担が軽減。定量:出典に具体値がないため目標例として、直販比率+5〜15pt、OTA手数料の粗利率改善+1〜3pt、問い合わせ対応工数(分/件)▲20〜50%を設定。長期比率が上がると稼働のブレが減り、稼働率+5〜15pt(目標例)にも波及しやすい。今後は、法人向けに請求書払い・契約書テンプレを整備し、成約率+5〜15pt(目標例)へつなげると再現性が高い。KPIは、直販比率、問い合わせ件数/成約率、長期比率、OTA手数料率、更新漏れ・二重販売件数をセットで追うと、粗利改善の因果が見える。直販の改善は、粗利率だけでなく“値付けの主導権”にも効くため、価格戦略の自由度が上がる。 |
| 7. 補助金・助成金 | 【未活用】(補助金を使うなら)IT導入補助金:予約エンジン/サイトコントローラー/PMS連携の導入。持続化補助金:直販LP/広告・撮影。 採択の論点例:直販比率と自動更新率を高め、手数料・工数を削減して粗利率と稼働率を改善するKPI設計。 |
| 8. リンク先 | https://www.temairazu.com/case/yokohama-midtown/(予約エンジン+サイトコントローラー導入事例) 出典:https://www.temairazu.com/case/yokohama-midtown/(予約エンジン+サイトコントローラー導入事例) |
事例H(千葉県)
| 1. 会社名・個人事業主名 | H社(匿名) |
| 2. 切り口 | ITツール活用(業務効率化、自動化)/標準化・マニュアル化/接客・サービス/新商品・新サービス/インバウンド対応 |
| 3. 会社概要 | 【想定属性】千葉県の海・里山エリアの一棟貸しヴィラ(民泊/簡易宿所)。チェックインは現地対応が難しく、少人数運営だと移動時間が固定費化しやすい。一方で、一棟貸しは単価が取りやすい反面、清掃・本人確認・鍵管理の品質が崩れるとレビューが落ち、稼働率が直撃する。顧客はファミリーやグループが中心で、到着時間が読めず夜間対応も起きる。そのため、無人チェックインと本人確認、案内を一気通貫で仕組み化し、例外だけ人が対応する運営が適している。本事例は、スマホ手続き(本人確認/キー連携)で現地立会いを減らし、運営のスケールを作った型。固定費は物件維持(光熱・修繕・リネン)に加え、鍵管理・緊急駆け付けなどが発生し、現地対応が多いほど利益が圧迫される。一棟貸しはチェックインの体験(迷わない、安心)が評価に直結し、レビューが稼働率の先行指標になる。そのため、無人化は“便利さ”だけでなく、迷いにくさ・失敗しにくさを含めた体験設計が重要になる。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 民泊は物件が分散するほど“移動時間”が積み上がり、運営代行でも現地対応が増えると利益が出にくい。特に一棟貸しは、チェックインが遅れると近隣対応や騒音クレームに直結し、レビュー低下で稼働率が落ちやすい。一方で、本人確認・宿帳など法令対応があり、手順が複雑だとスタッフ教育コストが上がる。当該施設でも、現地での鍵受け渡しや説明に時間が取られ、繁忙期の受入上限になっていた。また、到着時間がばらつくため待機が発生し、実働が少ないのに拘束時間が長くなる。そこで、チェックイン工程をスマホで完結させ、遠隔でも品質が担保できる仕組みを作ることが挑戦となった。さらに、本人確認の不備や手続きの遅れは、掲載プラットフォームのルール違反や行政対応リスクにもつながる。一方、無人化が進むほど『困ったときに誰もいない』不安が増え、問い合わせが増えると逆に工数が増える。したがって、無人化は“問い合わせを減らす設計(案内の質)”とセットでないと効果が出ない。当該施設は、この両立を実現するために、手続き・案内・例外対応の運用まで含めて整える必要があった。特に繁忙期は到着が集中し、有人立会いだと待機が増えて回らない。無人化でピークを捌けるかが、稼働率(回転)の上限を決める要素になる。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | 取組みは、オンライン本人確認とスマートキー連携を含む無人チェックインの仕組みを導入した点。因果は、①到着前に本人確認と情報取得を済ませる→現地待機が減る、②チェックイン手順を標準化→説明工数が減る、③ログが残る→トラブル時の原因特定が速い、の連鎖。運用面では、予約後の案内をテンプレ化し、チェックイン前日に自動送信。うまく進まない場合だけ有人サポートに切り替える“例外対応”を設計した。また、近隣ルールやゴミ出し等の注意を“動画・画像”で伝え、到着後の問い合わせを減らす。結果として、移動/待機という非付加価値時間を減らし、清掃品質やレビュー対応など価値業務へ時間を振り向けられるようにしたことが成功要因。導入時には、本人確認の失敗パターン(撮影環境、通信、入力ミス)を想定し、再試行の導線と問い合わせ窓口を明確化。また、緊急時の連絡(設備故障、騒音、近隣からの指摘)に備え、遠隔で状況確認できるログと、現地駆け付けの手配手順を定義した。これにより、無人でも『復旧できる』安心感が出て、レビュー悪化を防げる。民泊運営代行でも、同様に“例外を減らす運用”がスケールの鍵になる。さらに、案内を“動画+チェックリスト”にすると、利用者の理解が揃い、騒音・ゴミなど近隣クレームの予防にも効く。これは民泊特有のリスク(近隣トラブル)をコストに変えないための重要ポイント。 |
| 6. 成果・今後の展望 | 定性:現地立会いが減り、運営の柔軟性が上がる。夜間到着でも手続きが進み、顧客のストレスが減る。定量:出典に数値がないため目標例として、移動/巡回時間▲20〜40%、チェックイン対応工数(分/件)▲20〜50%、クレーム▲10〜25%、稼働率+5〜15ptを設定。無人化により物件数を増やしても回りやすく、売上上限(販売可能室数)を引き上げられる。今後は、直販導線と組み合わせて成約率+5〜15pt(目標例)を狙うと、手数料削減と両立しやすい。KPIは、現地立会い回数、移動/待機時間、チェックイン完了率、問い合わせ件数、クレーム率、レビューの“到着・鍵”関連スコアをセットで追うと因果が崩れにくい。数値化しにくいが、レビュー改善は検索順位にも影響し、稼働率の底上げに波及する。 |
| 7. 補助金・助成金 | 【未活用】(補助金を使うなら)IT導入補助金:オンライン本人確認、スマートロック、PMS/宿帳連携。持続化補助金:無人運営でも迷わない案内導線の整備(動画/多言語)。 採択の論点例:移動/待機工数を減らし、クレーム率と稼働率を改善する道筋を数値で示す。 |
| 8. リンク先 | https://aipass.jp/case/daichi-isumi/(無人チェックイン運用の導入事例) 出典:https://aipass.jp/case/daichi-isumi/(無人チェックイン運用の導入事例) |
補足・参考情報欄
関連補助金
- 小規模事業者持続化補助金(販路開拓・広報・導線改善、予約/顧客対応の一部DXなど)
- IT導入補助金(PMS/チャネルマネージャー/電子宿帳/決済/本人確認/スマートロック連携等)
- ものづくり補助金(省人化設備、清掃・搬送の自動化、設備更新による生産性向上)
- 事業再構築補助金(宿泊×体験、長期滞在、ワーケーションなど新サービスへの業態転換)
- 観光庁の宿泊業省人化・受入環境整備系(年度ごとに事業名が変動)
- 自治体の観光・空き家活用・インバウンド対応支援(東京/神奈川/千葉/埼玉にも各種あり)
DX参考サイト(予約/CRM/見積・請求/現場管理/LINE運用等)
- LINE公式アカウント(顧客連絡・自動応答・リピート導線)
- 観光庁/国交省/中小企業庁の公募要領・手引き(制度要件の確認)
- 予約エンジン・PMS・電子宿帳・本人確認・スマートロック各社の公式導入事例(自社規模に近い事例を参照)
支援機関
- 商工会・商工会議所(持続化補助金の相談窓口になりやすい)
- よろず支援拠点(販路・DX・資金繰りの無料相談)
- 自治体の創業・観光支援窓口(地域連携・空き家活用・条例対応)
