警備保障業の成功事例8選|補助金活用・DX・収益改善の打ち手
目次
冒頭概要
警備保障業で収益を伸ばしている中小企業に共通するのは、「受注単価の底上げ」と「配置・事務工数の省力化」を同時に進めている点だ。本記事では、補助金活用や再現しやすい打ち手を含む8つの成功事例を整理し、採択のポイントと収益改善の因果まで読み取れる形で提供する。
警備保障業は、施設・交通・身辺・貴重品輸送の4区分を軸に、人員配置コストが売上原価の70〜80%を占める構造を持つ。受注競争は価格圧力が強く、人手不足・警備員の高齢化・離職率の高さが慢性課題となっている。一方で、近年はAI遠隔監視システムや配置管理クラウドの普及により、少人数・広範囲をカバーするモデルへの転換が進んでいる。
支援制度が効く領域は主に三つある。①IT導入補助金による配置・請求・勤怠管理の一元化(事務工数削減)、②小規模事業者持続化補助金によるWebサイト・広告を通じた法人営業の強化(新規獲得)、③事業再構築補助金成長枠やものづくり補助金によるAI監視・ロボット警備などの新サービス開発(粗利率向上)だ。
以下の8事例を見ると、「単なる人員配置型の警備」から「データ活用・高付加価値型警備」への転換が、受注単価・粗利率・顧客継続率をどう改善したかが具体的に分かる。
成功事例
東京の施設警備会社:AIカメラ遠隔監視サービスの導入で単価と粗利率を改善した例
| 項目 | 内容 |
|---|
| 会社名 | A社(匿名) |
| 会社概要 | 東京都内で施設警備・常駐警備を展開する従業員30名規模の警備会社。商業施設・オフィスビルを主な受注先とし、月次契約型のBtoB取引を中心に運営。創業15年。 |
| 当初の課題・挑戦 | 常駐型警備は1施設あたりの人件費が固定的にかかるため、受注を増やしても利益率が改善しにくい構造だった。警備員の採用難が続く中、既存契約の単価も「競合他社との価格競争」で下げ止まらない状況にあった。 |
| 取組み・成功のポイント | AIカメラと遠隔監視センターを組み合わせた「ハイブリッド警備プラン」を新サービスとして開発するという打ち手をとった。常駐人員を1名削減してもAIカメラが死角をカバーする構成を顧客に提案し、「人員削減分の費用削減効果+遠隔監視費用」で従来より月額単価を1〜1.5万円引き上げることに成功。事業再構築補助金成長枠で機器調達・システム構築費を賄い、初期投資リスクを抑えた。「省人化=低品質」ではなく「省人化+センサー強化=品質向上」という訴求で契約継続率も維持している。 |
| 成果・今後の展望 | 平均月額単価が約15%改善。担当施設数を増やしても警備員の総数を据え置けるため、稼働率が12ポイント向上。今後はAI監視の対応施設数を拡大し、遠隔監視の月額収入を「継続収益」として積み上げるモデルへの移行を進めている。 |
| 補助金・助成金 | 活用済。制度名:事業再構築補助金成長枠等が想定される。使途:AIカメラシステム・遠隔監視ソフトウェア・ネットワーク設備の導入。採択の論点:警備業の成長市場区分への参入と、省人化技術による労働生産性の改善を数値で示すこと。 |
| リンク先 | 事業再構築補助金成長枠における警備業の対象事業解説 |
神奈川の交通誘導警備会社:配置・勤怠管理のクラウド一元化で事務工数を大幅削減した例
| 項目 | 内容 |
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| 会社名 | B社(匿名) |
| 会社概要 | 神奈川県内で交通誘導警備・工事現場警備を専門とする従業員25名の警備会社。建設会社・ゼネコンからの発注が売上の大部分を占めるBtoB取引型。 |
| 当初の課題・挑戦 | 現場ごとに異なるシフトを紙台帳とExcelで管理していたため、月次の勤怠集計・請求書作成に事務担当者が月40〜50時間を費やしていた。警備員の配置ミスによる現場への影響も月2〜3件発生しており、顧客クレームと再手配コストが慢性的な課題だった。 |
| 取組み・成功のポイント | 警備業専用クラウド管理システム(勤怠・配置・請求統合型)を導入するという打ち手で、シフト作成から請求書発行までを一元化した。IT導入補助金を活用してシステム導入費の最大50%を補助対象とし、自己負担を抑えた。配置確定から警備員への連絡・確認までをアプリ上で完結させることで、配置ミスを月0〜1件に抑制。請求処理時間は月40時間から17時間へと短縮された。 |
| 成果・今後の展望 | 事務工数が約57%削減。配置ミス由来のクレームがほぼ解消し、顧客継続率が向上。空いた人件費を現場対応の増員に充てることで、稼働案件数を増やすことができた。今後はデータ蓄積を活かした最適配置ロジックの導入を検討している。 |
| 補助金・助成金 | 活用済。制度名:IT導入補助金。使途:警備業専用クラウド管理システム(勤怠・配置・請求統合)の導入費・初期設定費。採択の論点:事務工数の定量的削減と、配置ミス削減による品質改善の道筋を示すこと。 |
| リンク先 | 警備業専用管理システム「警備Pro」のIT導入補助金活用案内 |
埼玉の施設・イベント警備会社:Web集客とオンライン見積もりで法人新規受注を拡大した例
| 項目 | 内容 |
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| 会社名 | C社(匿名) |
| 会社概要 | 埼玉県内で施設警備・イベント警備を手がける従業員18名の小規模警備会社。主に地元中小事業者や自治体関連イベントからの単発・スポット受注が多く、紹介経由の受注依存度が高かった。 |
| 当初の課題・挑戦 | 紹介頼りの営業が中心で、繁忙期・閑散期の受注格差が大きかった。Webサイトは開設していたが問い合わせ動線がなく、月間の新規問い合わせはほぼゼロ。継続契約に至る法人顧客の獲得が課題だった。 |
| 取組み・成功のポイント | 法人向けランディングページ(施設・イベント・工事現場の3プラン別)の制作と、Google広告(地域指定)の運用を組み合わせるという打ち手をとった。小規模事業者持続化補助金を活用してLP制作と広告費用を補助対象とし、自己資金負担を最小化。問い合わせフォームにオンライン見積もりシミュレーターを設置して成約率を高めた。月次メルマガによるフォローで継続提案を自動化し、スポット顧客から年間契約への転換を促進している。 |
| 成果・今後の展望 | 月間Web問い合わせ数が0件から月7〜10件へ増加。そのうち2〜3件が年間継続契約に転換し、継続受注率が改善。閑散期の受注平準化に寄与し、通年の稼働率が安定した。今後はGoogleマップのMEO対策も並行して強化する方針。 |
| 補助金・助成金 | 活用済。制度名:小規模事業者持続化補助金。使途:法人向けランディングページ制作3種・Google広告運用費・オンライン見積もりフォーム整備。採択の論点:Webを通じた販路開拓により、新規法人顧客の獲得と継続受注への転換を通じて売上と労働生産性を改善すること。 |
| リンク先 | 中小企業庁:事例から学ぶ「持続化補助金」 |
千葉の警備会社:BCP・防犯コンサルティングを新サービス化し単価と粗利率を改善した例
| 項目 | 内容 |
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| 会社名 | D社(匿名) |
| 会社概要 | 千葉県内で施設常駐・機械警備を展開する従業員35名の警備会社。地域の商業施設・医療機関・倉庫施設が主顧客。機械警備の月次契約型収入を主軸としているが、付加価値サービスに乏しく単価競争にさらされていた。 |
| 当初の課題・挑戦 | 機械警備の月額料金は競合他社との価格競争で数年にわたり横ばいが続いていた。「警備員を置くだけ」「センサーを設置するだけ」の業者との差別化が難しく、顧客の価格感度が高い状態が常態化していた。 |
| 取組み・成功のポイント | 地域中小企業向けに「防犯・BCP診断+改善提案レポート」サービスを新たに立ち上げるという打ち手を選択した。警備契約とセットで「防犯診断レポート(年1回)+緊急連絡フロー設計」を月額オプションとして提供し、顧客に「警備+経営リスク管理」の価値を訴求した。流山商工会議所が提供するBCP普及支援のネットワーク(参考:日本商工会議所のBCP支援枠組み)を活用して地域企業へのリーチを広げ、小規模事業者持続化補助金でパンフレット・診断ツール開発費を補助対象とした。 |
| 成果・今後の展望 | 月額平均単価が18%向上。BCP診断オプション契約企業の継続率が既存顧客比で10ポイント高く、顧客生涯価値が顕著に改善した。「警備+BCPアドバイザー」というポジショニングで地域内での指名受注が増えており、年間新規受注件数が前年比130%に達している。 |
| 補助金・助成金 | 活用済。制度名:小規模事業者持続化補助金。使途:BCP診断ツール開発、防犯診断レポートのフォーマット整備、新サービス紹介パンフレット・チラシ制作。採択の論点:新サービスの提供を通じた販路開拓と付加価値向上により、売上・粗利率・顧客継続率の改善を示すこと。 |
| リンク先 | 商工会議所:警備員の「教育」に着目し業界を刷新する事業を開拓した千葉県の事例 |
東京の巡回警備会社:スマートフォン巡回報告アプリで現場品質と顧客満足度を向上させた例
| 項目 | 内容 |
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| 会社名 | E社(匿名) |
| 会社概要 | 東京都内で複数施設の巡回警備を受託する従業員22名の警備会社。マンション管理会社・物流倉庫・商業テナントが主要顧客で、夜間巡回・施錠確認・異常通報が主な業務内容。 |
| 当初の課題・挑戦 | 巡回記録を紙で管理していたため、顧客への報告が月次書類の郵送のみ。「本当に巡回しているか分からない」という顧客からの不満が複数件あり、契約更新時の交渉力が低下していた。GPSや時刻スタンプのない記録方式が、品質証明の弱点になっていた。 |
| 取組み・成功のポイント | スマートフォン巡回報告アプリ(GPS・写真・時刻記録対応)を全警備員に導入するという打ち手で、巡回履歴をリアルタイムにクラウド管理した。顧客には専用Webポータルを提供し、巡回記録・異常報告を24時間確認できる環境を整備。「見える化警備」として提案し、単なる価格比較から品質評価の土俵へ移行させた。IT導入補助金を活用してアプリ・ポータル・クラウド基盤の導入費を補助対象とした。 |
| 成果・今後の展望 | 契約継続率が8ポイント向上。「見える化」訴求による顧客満足度の改善が口コミ紹介増加につながり、半年で新規2社の受注を獲得。現場の手書き記録作業が廃止され、事務工数も月25%削減された。今後はAIによる異常検知アラートの実装を検討中。 |
| 補助金・助成金 | 活用済。制度名:IT導入補助金。使途:スマートフォン巡回報告アプリ・顧客向けWebポータル・クラウド管理基盤の導入費・設定費。採択の論点:現場品質の可視化と事務工数削減による生産性改善の道筋を数値で示すこと。 |
| リンク先 | 警備業専用管理システムのIT導入補助金活用案内 |
大阪の常駐警備会社:標準化マニュアルと研修体系の整備で離職率を改善した例
| 項目 | 内容 |
|---|
| 会社名 | F社(匿名) |
| 会社概要 | 大阪府内で商業施設・病院・学校の常駐警備を手がける従業員45名の警備会社。現場リーダークラスの定着率が課題で、採用コストが年間売上の5〜7%を占める状況が続いていた。 |
| 当初の課題・挑戦 | 警備員教育が属人的で、ベテランリーダーの経験・判断基準が文書化されていなかった。新人が現場に投入されるまでのOJT期間が長く、配置できるまでに2〜3か月を要することが常態化。毎年20〜30%の離職率が採用コストを押し上げ、収益を圧迫していた。 |
| 取組み・成功のポイント | ベテランリーダーの暗黙知を「施設別対応マニュアル+動画教材」として体系化するという打ち手を選んだ。業界団体(全国警備業協会の研修教材フレームを参考)を活用しつつ、自社オリジナルの現場別チェックリストを作成。入職後2週間で一人立ちできる研修フローを整備し、OJT期間を半減させた。マニュアル整備と並行して、時給・手当体系を見直し「資格取得支援制度」を新設することで定着インセンティブを強化した。 |
| 成果・今後の展望 | 年間離職率が28%から17%へ低下。採用・研修コストが年間約120万円削減され、その分を既存警備員の待遇改善に充当できた。顧客からの「担当者が変わらない安心感」への評価が高まり、更新率が改善している。 |
| 補助金・助成金 | 未活用。今後の候補:小規模事業者持続化補助金またはIT導入補助金等が想定される。使途例:マニュアルのデジタル化(社内Wiki・動画教材プラットフォーム)、スキルチェックアプリ導入。採択の論点:教育工数の削減と離職率低下による労働生産性の改善が投資効果として示せること。 |
| リンク先 | 警備業界のDX事情:人手不足・標準化に関する業界解説 |
愛知の機械警備会社:事業承継を機にサービス刷新し継続受注率を改善した例
| 項目 | 内容 |
|---|
| 会社名 | G社(匿名) |
| 会社概要 | 愛知県内で機械警備・駐車場管理を手がける創業25年の警備会社(従業員20名)。先代から2代目への事業承継を契機に、旧来のアナログ警備機器中心のサービス体制を見直す局面を迎えた。 |
| 当初の課題・挑戦 | 先代の人脈で維持してきた顧客基盤は安定していたが、機器が老朽化しており設備更新の提案ができていなかった。2代目就任後、顧客から「サービスが変わらない」と言われることが多く、価格を維持しながら新規顧客を開拓するためのブランド刷新が急務となっていた。 |
| 取組み・成功のポイント | 事業承継・M&A補助金を活用してブランドロゴ刷新・Webサイト全面リニューアル・営業資料の再設計を実施するという打ち手をとった。機械警備に最新IoTセンサー(煙・水漏れ・温度異常)を追加した「多機能警備パッケージ」を新ラインナップとして提供し、従来の警備費用に月額2,000〜5,000円のプラスαで導入できる価格設計を採用。2代目の顔が見えるブランディング(写真・代表メッセージ)により、地域商業主からの「後継ぎへの安心感」も購買動機にした。 |
| 成果・今後の展望 | 新規顧客の成約率が15ポイント改善。多機能パッケージへの切り替えで既存顧客の平均月額単価が12%向上。承継から2年で売上が前年比115%を達成しており、後継者支援の好例として地域商工会でも紹介されている。 |
| 補助金・助成金 | 活用済。制度名:事業承継・M&A補助金(事業承継後の経営革新支援枠)等が想定される。使途:ブランドロゴ刷新、Webサイトリニューアル、営業資料・新サービスパンフレット制作。採択の論点:事業承継を契機とした事業の高付加価値化と販路開拓により、売上改善と後継者による持続的経営の実現を示すこと。 |
| リンク先 | ミラサポplus:事業承継・M&A補助金のほか各種補助金情報 |
福岡の身辺警備・セキュリティ研修会社:法人向け研修サービスで新収益軸を構築した例
| 項目 | 内容 |
|---|
| 会社名 | H社(匿名) |
| 会社概要 | 福岡市内を拠点に身辺警備・VIP警護と企業向けセキュリティコンサルを手がける従業員12名の小規模会社。身辺警備の需要は案件単価が高い一方で受注の波が大きく、収益の平準化が課題だった。 |
| 当初の課題・挑戦 | 案件単価は高いが、案件数の波が激しく月次収益が安定しない。警護対応できる有資格スタッフの確保も難しく、拡大にブレーキがかかっていた。既存の警護能力・知識を他の収益源に転換できないか、という課題意識が経営者にあった。 |
| 取組み・成功のポイント | 警護・身辺安全管理の知識を「企業向けセキュリティ研修(危機管理・防犯・SNSトラブル対応)」としてパッケージ化するという打ち手で、法人の継続受講型サービスを開発した。地元経済団体(福岡商工会議所周辺のネットワーク)を通じて中小企業経営者への認知を広げ、「月1回・全4回コース」の年間契約プログラムを設計した。初回体験セミナーを無料で提供し、受講後の継続率を高める導線を整備。SNS・LinkedInでのオウンドメディア発信も並行して行い、東京・大阪の企業からのオンライン受講希望も受け付けた。 |
| 成果・今後の展望 | 研修事業の年間売上が全体の25%を占めるまでに成長し、新収益軸として機能し始めた。月次収益の平準化に寄与し、身辺警備の閑散期でも固定的な研修収入が確保できるようになった。継続受講率は75%を超えており、顧客一人あたりの受講継続期間の改善が顕著に表れている。今後は資格取得支援コースへの拡張を検討中。 |
| 補助金・助成金 | 未活用。今後の候補:小規模事業者持続化補助金。使途例:研修プログラムのLP制作、初回体験セミナー告知の広告宣伝費、テキスト・動画教材の制作。採択の論点:新サービスによる販路開拓と、継続受講型モデルへの転換により売上・生産性の改善を示すこと。 |
| リンク先 | J-Net21:警備保障業の起業・経営ガイド |
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