給食業界_成功事例レポート
目次
1. 冒頭概要
給食業界は、売上上限が「食数(提供数)×稼働日」に縛られ、ピーク(早朝〜昼)に合わせた人員・設備が固定費化しやすい構造です。
単価は入札・契約で固定されがちで、食材高騰の局面では粗利が崩れやすく、利益は“工数・ロス・クレーム”の削減で守る比率が高くなります。
さらに、衛生(HACCP相当)・アレルギー・トレーサビリティ要求が強く、品質事故は契約解除や減額に直結し、回収(入金)にも影響します。
この構造に対して支援制度が効きやすいのは、①受発注・在庫・帳票のDXで事務/現場工数を削る、②省力化設備でピーク処理能力を上げ“売上上限”を動かす、③衛生・配慮食など高付加価値化で価格競争から距離を取る、の3領域です。
成功パターン総括:
- ①事務ボトルネック(FAX/転記/集計)を潰すと工数が減り、回転・稼働率が上がる/②設備×運用標準化でピーク処理能力が上がると受託・食数を増やせる/③衛生・配慮食の“安心”を仕組み化するとクレームが減り継続(LTV)と単価が上がる。
2. 成功事例(A〜H)
A社(東京都)
| 1. 会社名・個人事業主名 | A社(東京都/幼稚園・保育関連施設向けの給食弁当・配食を受託。セントラルキッチン型) |
| 2. 切り口 | 新しいサービス・商品開発/カテゴリー特化/業務フロー見直し/外部企業との連携/協業先の開拓/衛生管理の高度化 |
| 3. 会社概要 | 幼稚園・保育関連施設向けに日々の給食(弁当)を提供する中小の給食事業者。主要業務は、①施設ごとの献立条件(栄養基準、アレルギー、宗教・嗜好、盛付仕様)の取りまとめ、②調達(食材・資材)、③調理・盛付、④配送・受け渡し、⑤請求・回収という流れで、朝の短時間に生産と配送が集中する。売上は「受託施設数×提供日数×食数×単価」で決まり、単価は契約・入札で固定されやすい一方、厨房設備・車両・衛生設備・管理栄養士/調理人材などが固定費になりやすい。繁忙期(新年度・行事)と通常期の波が大きく、稼働平準化と品質再現性が利益を左右するモデル。顧客は園・施設というBtoBで、個人向けの宅配よりも「安定供給」「トラブル時の対応」「請求処理の簡便さ」が重視される。食材原価は市況変動を受け、急騰時は粗利が一気に削られるため、歩留まり・ロス・代替食材設計まで含めた管理が必要になる。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 給食は価格転嫁が難しく、契約更新時の見積競争で粗利が削られやすい。にもかかわらず、衛生管理(HACCP相当の記録、異物混入対策、温度管理、交差汚染防止)やアレルギー対応は年々厳格化し、ミスが起きた瞬間に信用が失墜する「ハイリスク・薄利」構造になりがち。現場は早朝〜午前にピークが集中し、調理・盛付・積込・配送が同時多発するため、採用難がそのまま供給上限(受託施設数の上限)になる。さらに、施設ごとに禁止食材・盛付ルール・納品導線が異なり、紙や口頭の引き継ぎだと伝達ミス→作り直し→配送遅延→クレームの連鎖が起きやすい。小規模キッチンのまま増客をすると、保管容量不足・動線の交錯・加熱/冷却の待ち行列がボトルネック化し、「売上を伸ばすほど事故確率が上がる」状態に陥っていた。加えて、回収は月末締め翌月入金などが多く、運転資金の負担も増えやすい。食材価格の変動局面では、献立を変えずに原価だけが上がると粗利が崩れる。にもかかわらず、発注・在庫・仕込み量の管理がアナログだと、欠品(代替購入)と廃棄(作り過ぎ)の両方が起き、原価率が乱高下する。さらに、配送は渋滞や駐車制約で遅延リスクがあり、温度逸脱が起きると廃棄・再製造が必要になるため、“現場の混乱=即コスト”という性質が強い。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | 利益を伸ばす鍵は、受託を増やす前に“処理能力と品質再現性”を上げ、事故確率を下げること。A社は(1)調理・盛付の標準化がしやすいセントラルキッチン体制へ移行し、ゾーニング(原材料・下処理・加熱後・包装)と衛生動線を先に設計。これによりピーク時の渋滞(待ち行列)を減らし、同じ人数でも回転数を上げられる土台を作った。(2)外部パートナー(料理人・製造委託先等)と連携し、メニュー開発や一部製造を分担。自社は“施設要件の把握・品質管理・配送設計”に集中し、属人的だった献立/盛付の解釈を共通仕様書に落とし込んだ。(3)施設側の発注・変更連絡をテンプレート化し、アレルギー情報を工程表・ラベルに直結させる運用へ。変更が入った瞬間に「どの工程を、誰が、何分で差し替えるか」が見えるため、手戻りを最小化できる。結果として、業界の典型課題である“採用難=売上上限”を、標準化と外部連携で突破する設計になっている。また、標準化の実装として、盛付単位(グラム・個数)を先に定義し、ラベル(アレルゲン・提供先・製造時刻)を統一。教育はOJT任せにせずチェックリスト化し、ピーク時間帯でも新人が最低限の品質を出せる状態を作った。これらは補助金審査でも『投資→省力化/品質→継続売上』の道筋として説明しやすい論点になる。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 定性では、衛生・アレルギー対応の説明責任が強化され、施設側の安心感が増したことで契約継続(LTV)に効く。セントラルキッチン化でピーク処理能力が上がると、受託施設数の増加が「品質事故の増加」に直結しにくくなる。定量は記事に明示がないため目標例として、①稼働率(1日当たりの製造回転)+5〜15pt、②手戻り工数▲10〜25%、③事務工数(変更連絡/伝達の分/件)▲20〜50%、④継続率+5〜10ptを設定。運用の型(標準化→分担→連絡テンプレ)を持つことで、拠点拡張・別エリア展開にも再現可能な成長パターンになった。特にBtoB給食は、1施設の解約が食数のまとまった減少につながるため、クレームを抑えつつ継続率を上げることが最重要KPIになる。A社は“供給上限を上げる投資”を先に行ったことで、売上増を確度高く取りに行ける状態を作った点が成功要因。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 活用済:活用済:東京都中小企業振興公社「新しい日常対応型サービス創出支援事業」/使途:セントラルキッチン体制(衛生動線・設備)整備+施設向け提供体制の構築(詳細は事例ページ要確認)/採択の論点:供給上限(稼働率)と品質(クレーム)を同時に改善し継続売上を伸ばす道筋。 |
| 8. リンク先(出典) | https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/nichijo/jirei/11.html(事例ページ) https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/nichijo/(制度ページ) |
B社(千葉県)
| 1. 会社名・個人事業主名 | B社(千葉県/給食用のパン・ご飯等を製造し、小中学校・病院・福祉施設等へ納品。工場併設型) |
| 2. 切り口 | DX(業務デジタル化)/ITツール(SaaS等)導入/業務フロー見直し/業務自動化/在庫削減 |
| 3. 会社概要 | 給食向けの主食(パン・ご飯)を中心に製造し、近隣の小学校・中学校・病院・福祉施設などへ納品する食品製造系の給食事業者。発注は献立に連動して日々変動し、締切が短い。欠品すると代替調達や作り直しが発生し、配送遅延や温度逸脱にもつながるため、現場は安全側(多め)に仕込みがちでロスが出やすい。消耗品(梱包フィルム、資材、調味料、冷凍具材など)は点数が多く、現場での棚卸と事務側の発注判断が分断されやすい。食品工場は入室に帽子・衛生装備などの手順が必要で、事務担当が『在庫確認のためだけに現場へ行く』コストが大きい。また、給食向けは納品先が多岐にわたり、学校休暇や行事で食数が上下するため、在庫と生産の“振れ”が大きい。特に包装資材はSKUが多く、誤出荷がクレームに直結する。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | B社では、給食用食材や梱包用品など常時100点以上の在庫を、工場スタッフが週2回棚卸し(1回約1時間)していた。点数が多く、記入・集計・確認の手間がかかるうえ、似た外箱が多いため置き間違いで棚卸差異が発生しやすい。棚卸表が紙中心だと、①実施者以外が結果を追えない、②数字がズレても原因(置き間違い/入出庫の記録漏れ)が分からない、③発注判断が“勘と経験”になる、という問題が起きる。実際に、棚卸結果を見て『最近発注していないのに在庫が多い』などの違和感が出ると、発注担当が衛生装備をして工場に入り、箱を開けて中身を確認する必要があり、本来業務が中断された。結果として、欠品を恐れて過剰在庫になりやすく、保管スペース・冷凍庫の稼働、資金繰り(資材の先払い)まで圧迫。繁忙期ほど“棚卸のための停止時間”が痛手になっていた。さらに、冷凍庫内の棚卸は低温環境での作業負担が大きく、回数が多いほど労務コストが増える。棚卸のために現場を止めると、仕込み・焼成・炊飯など連続工程が後ろ倒しになり、結果的に配送にしわ寄せが来る。『確認のためだけに工場に入る』行為が頻発すると、衛生面でも入退室回数が増え、管理負荷が上がる。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | 給食は単価が急に上げにくいので、利益改善は『ムダな工数と在庫』を削って捻出するのが王道。B社はIoT計測とクラウドで在庫を見える化する仕組みを導入し、よく使う食材・資材を重点管理した。冷蔵庫・冷凍庫など目視棚卸が負担になる場所にも計測機器を置き、事務担当は管理画面から在庫を確認できるようにして“現場に行かない発注判断”へ切り替えた。運用面の肝は、①重点品目の選定(消費変動が大きい具材・資材から)、②しきい値(安全在庫)設定、③アラート後の発注ルール(誰が/いつ/何を/どこに発注)を決め、棚卸を『数える作業』から『発注判断の自動トリガー』に変換すること。さらに、置き場ルール(同一資材の定位置、似た箱の識別)を標準化し、棚卸差異が出たときに原因を追える状態を作った。これにより、ピーク時でも現場の生産を止めず、欠品と過剰在庫の両方を抑える設計になった。補助金審査で通りやすい論点としては、『棚卸→発注→欠品/過剰在庫→原価・工数』の因果を数字で示し、削減時間を“追加受注や品質管理に振り替える”計画にすること。B社のように重点品目からスモールスタートし、運用ルールを固めたうえで対象品目を広げる進め方は、現場抵抗を減らし定着率を高める。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 出典には、週2回×1時間の棚卸負担が課題であったこと、導入後に棚卸省力化と在庫の見える化が実現し、発注担当が工場へ在庫確認に行く回数が減ったことが明記されている。定量KPIとしては、①棚卸工数:週2時間(=月約8時間)を基準に▲20〜50%(目標例)、②発注担当の工場移動・衛生準備時間:▲20〜40%(目標例)、③欠品による緊急購入・作り直し:▲10〜25%(目標例)、④資材在庫(平均金額):▲5〜15%(目標例)を設定できる。定性では、担当者依存が下がり、引き継ぎが容易になって“採用難で回らない”リスク低減にも効く。給食業界では『欠品は信用低下』『過剰在庫は粗利圧迫』の両面があるため、見える化の価値は単なる省力化以上に大きい。B社の型は、同業の工場(パン/惣菜/弁当)にも横展開しやすい。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 未活用:未活用:自費でIoT在庫管理を導入した事例(補助金活用の記載なし)。 |
| 8. リンク先(出典) | https://smartmat.io/case/schoollunch-company/(導入事例ページ) |
C社(神奈川県)
| 1. 会社名・個人事業主名 | C社(神奈川県/病院・介護施設等向けの治療食・介護食の受託給食。多拠点配送・大量調理) |
| 2. 切り口 | 既存顧客のリピート率向上/DX(業務デジタル化)/AIの導入/工数削減/品質向上 |
| 3. 会社概要 | 病院・介護施設向けの治療食・介護食を中心に、1日あたり大量の食事を製造し、短時間で多拠点へ配送する受託給食事業者。提供価値は『栄養基準』『形態(刻み/ミキサー等)』『禁食材・アレルギー』『嚥下・とろみ』など高度な個別要件への対応で、一般の社員食堂よりも医療・介護の品質要件が厳しい。契約は年次更新・複数年が多く、売上は契約単価×食数で上限が決まる一方、厨房ライン・配送車両・衛生設備・栄養士/調理人材が固定費になり、稼働が落ちると一気に利益が崩れる。監査(衛生・記録・トレーサビリティ)に耐える運用が前提で、品質事故は契約解除・行政対応に直結するため、継続(LTV)とクレーム率、手戻り工数が重要KPIになる。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | この領域は人手不足が慢性的で、調理・盛付・検品・配送の各工程に専門性が必要なうえ、個別対応(食札・禁食材・形態)が増えるほど確認作業が増大する。紙の食札や口頭連絡が残ると、確認ミスが『誤配膳』『禁食材混入』『形態違い』につながり、重大事故になる可能性がある。しかも、ダブルチェックを増やすほど工数が増え、人が足りないほど品質が下がる“負の循環”に陥りやすい。一方で委託費の削減要求は強く、単価アップは容易ではない。つまり『品質を落とさずに工数を削る』以外に利益を上げる道が少ない。さらに、配送は2時間以内など時間制約があり、遅延が発生すると施設側オペレーション(配膳・投薬・介助)全体に影響が出る。欠員や手戻りが起きた日のダメージが大きく、現場は“繁忙ピーク”の火消しに追われ、改善に時間を割けない構造だった。また、食材費の上昇局面では原価率が悪化するが、治療食は代替が難しくメニュー変更の自由度が低い。結果として、原価上昇を吸収するために現場が更に逼迫し、ミス確率が上がる。監査対応の記録(温度・工程・異物混入対策)も増え、紙で回すと入力・保管・検索が負担になる。こうした構造課題を放置すると、受託量を増やしても利益が出ず、離職が進み、結果的に契約維持すら危うくなる。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | C社は、現場の確認・連絡を“データ駆動”に置き換えることで、品質と省力化を両立させた。具体的には、①製造・配送の状況をリアルタイムで共有できるネットワーク/業務基盤を整備し、拠点間・現場間の情報断絶を減らす。②帳票・指示・食札情報をデジタル化し、変更(禁食材追加、形態変更、食数増減)が入った瞬間に、工程表・ラベル・検品手順へ自動反映されるようにする。③さらに生成AI等の技術を、問い合わせ対応・マニュアル検索・過去事例参照に使い、現場が“探す時間”を削る。運用設計の肝は、誰が見ても同じ判断になる標準作業(チェックポイント、例外処理、責任分界)を先に作り、ITはその運用を回す『レール』として導入すること。これにより、増食=チェック工数の線形増加、という構造を崩し、供給上限を押し上げる狙いになる。特に給食は『例外処理』が多い(急な入退院、食形態変更、アレルギー判明、行事食)。この例外を、口頭・紙で処理すると確認工数が爆発するため、例外フローをあらかじめデジタルのワークフローに落とし、承認・履歴を残す設計が効く。さらに、生成AIを“判断”に使うのではなく、“検索・要約・参照”に限定して現場の安全性を担保する点も重要。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 出典では、1日あたり約23,000食を製造し、2時間以内の配送が求められる規模で運営していること、生成AIを活用したシステム整備で『情報検索や問い合わせ対応の負荷軽減』を狙っていることが示されている。定量成果が記事内で明示されていないため目標例として、①事務・間接工数(照会/確認/帳票作成)▲20〜50%、②手戻り工数▲10〜25%、③クレーム率(誤配膳・形態違い等)▲10〜25%、④配送遅延(発生件数)▲10〜25%を設定。定性では、品質担保の説明責任が強化され、契約更新時の評価(乗換抑止)と現場の心理的負担低減に効く。再現可能な型としては、(1)情報の一元化→(2)例外処理のワークフロー化→(3)検索負荷の低減(AI/ナレッジ)→(4)品質KPIの見える化、の順に積み上げること。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 未活用:未活用:大規模DX/AI活用(補助金活用の記載なし)。 |
| 8. リンク先(出典) | https://industry.ricoh.com/ja/case/hood/(導入事例ページ) |
D社(神奈川県)
| 1. 会社名・個人事業主名 | D社(神奈川県/学校給食・病院・介護施設向け食材の卸・納品。HACCP等の衛生要求が高いBtoB) |
| 2. 切り口 | 高品質・高付加価値化/品質向上/クレーム削減/マニュアル整備/衛生管理の高度化 |
| 3. 会社概要 | 学校給食や病院・介護施設向けに、食材(例:水産物・加工品等)を仕入れ・加工・保管し、納品する中小の食材供給事業者。給食は“安全・安定”が最優先で、納品の遅延や品質不良は即クレーム・取引停止につながる。取引はBtoBで、単価は入札・見積で抑えられがちだが、衛生管理(HACCP相当)、温度管理、異物混入対策、トレーサビリティ、帳票整備の要求は年々上がる。現場は早朝対応や突発の追加発注が多く、欠員が出るとオペレーションが崩れやすい。利益は、クレーム・返品・廃棄を減らし、監査対応のムダ時間を削ることで守る構造になりやすい。回収は月次の後払いが一般的で、クレームがあると減額・支払遅延が起きるため、品質は売上だけでなくキャッシュフローにも直結する。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 衛生・品質要求が上がるほど、現場は『記録する仕事』が増える。HACCPの考え方やISOの要求事項に沿った手順書・記録様式が整っていないと、監査や取引先チェックで指摘が増え、その都度“場当たり”で直すことになる。さらに給食は、少しの異物や温度逸脱でも許容されにくく、クレーム対応コスト(返品、再納品、原因調査、再発防止、社内説明)が大きい。にもかかわらず価格交渉は難しく、利益を守るには『クレームを減らし、現場と事務のムダを減らす』しかない。属人化した衛生管理だと、担当者の入替でレベルが下がり、取引継続(LTV)が不安定になる。加えて、入札では“第三者認証”が実質的な参加条件になる場面が増え、認証がないと営業以前に足切りされるリスクもあった。また、記録が紙で散在していると、万一のトラブル時に『どのロットが、どこへ、いつ出たか』を追うのに時間がかかり、初動が遅れる。初動遅れは取引先の不信を増幅し、減額や契約見直しの引き金になる。つまり、衛生管理は“守り”でありながら、実際には継続売上の根幹を握っている。食品事故が起きれば、回収・廃棄・再納品だけでなく、取引先への報告書作成、再発防止会議、教育や設備見直しなど『見えないコスト』が積み上がる。薄利の給食向けでは、1回の事故で年間利益が飛ぶこともあり、事故確率の低減が最優先課題だった。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | D社は、衛生管理を“個人の注意力”から“仕組み”へ移行した。具体的には、①工程を棚卸しして危害要因を洗い出し、重要管理点(CCP)/管理基準/モニタリング方法を定義。②手順書・記録様式(温度、清掃、受入、異物、是正)を統一し、誰がやっても同じ記録が残る状態を作った。③現場教育をチェックリスト化し、入社直後でも最低限の衛生レベルを担保できるようにした。④第三者認証(HACCP/ISO等)を取得し、取引先への説明コストを削減しつつ、社内の改善サイクル(内部監査→是正→標準更新)を回す。これにより、クレームの“再発”を減らし、監査対応の突貫作業を減らして残業を抑制。結果として、品質KPIの改善がそのまま継続率(契約維持)と新規獲得(入札参加)に効く構造を作った。運用を回すうえでは、現場が記録を“負担”と感じると形骸化するため、記録点数を絞り(重要な指標に集中)、現場導線上で1分以内に記録できる様式へ落とし込む工夫が必要になる。第三者認証はその運用を維持するための外圧として機能し、担当者が変わっても品質レベルが落ちにくい。補助金を使う場合は、温度計測機器、記録の電子化、異物検知機、ゾーニング改修などを“事故確率を下げる投資”として整理しやすい。D社の本質は、投資の有無よりも『標準と証跡を先に作り、現場が回る形にする』点にある。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 出典では、学校給食・病院・介護施設へ納品する企業が、HACCP/ISO 22000:2018やFSSC 22000等の認証取得を進めた事例として紹介されている。定量の成果が記事内で明示されていないため目標例として、①クレーム件数▲10〜25%、②手戻り工数▲10〜25%、③監査対応工数(準備/是正)▲20〜50%、④継続率+5〜10ptを設定。定性では、取引先監査の通過が容易になり、入札・提案の“足切り”を突破しやすくなるほか、現場のストレス低減と採用・定着にも波及する。同業にとっての再現ポイントは、(1)工程整理→(2)記録の最小化と標準化→(3)監査サイクルで維持、の順で“続く仕組み”にすること。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 未活用:未活用:衛生・認証強化の事例(補助金活用の記載なし)。 |
| 8. リンク先(出典) | https://www.isopro.co.jp/column/haccp/part19/(解説・事例ページ) |
E社(茨城県)
| 1. 会社名・個人事業主名 | E社(茨城県/仕出し弁当・施設向け給食の製造販売。地域の事業所・施設に日配) |
| 2. 切り口 | 新しいサービス・商品開発/DX(業務デジタル化)/設備投資/業務フロー見直し/品質向上/省人化・省力化 |
| 3. 会社概要 | 地域の事業所・施設向けに、仕出し弁当や給食を製造・販売する中小の給食(中食)事業者。顧客は工場・オフィス・建設現場・福祉施設などのBtoBが中心で、売上は『日々の食数×提供日数』で積み上がる。ピークは午前中に集中し、調理→盛付→積込→配送の遅れが連鎖しやすい。単価は競合(他の仕出し・弁当店)との比較で上げにくく、利益は製造効率・配送効率・廃棄ロス(作り過ぎ/キャンセル)で決まる。注文はFAXや電話が残りやすく、変更・キャンセル対応が多いと事務がボトルネックになり、現場の製造計画にもズレが出やすい。回収は月締め後払いが多く、在庫・廃棄はキャッシュフローを直撃する。特に日配弁当は、1日の供給上限=厨房の処理能力と車両台数で決まるため、設備・ITへの投資が“売上上限”を動かす。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 給食・仕出しは『時間厳守』『温度管理』『数量の正確さ』が必須で、注文ミスがそのまま作り直しと廃棄に直結する。アナログ受注だと、①注文情報の転記ミス、②締切後変更の取りこぼし、③同一顧客の定番注文が“毎回新規入力”になる、④集計が終わるまで製造に着手できない、という遅延要因が積み重なる。ピーク時に電話が集中すると確認作業が止まり、現場は不確かな情報で仕込みを始めるため、後から変更が入って手戻りが増える。さらに、旧式設備のままだと調理速度・加熱ムラ・冷却待ちが発生し、品質と回転が両立しない。採用難のなかで残業が常態化すると離職が増え、供給上限が下がる。つまり、設備(ピーク処理能力)と受注(事務集計)の両方がボトルネックになっていた。顧客が増えるほど、注文パターンが増え、例外対応(時間指定、特注、急な追加)が増える。アナログのままでは事務が飽和し、最終的に“これ以上受けられない”となって成長が止まる。また、FAX受注は紙がたまり、履歴検索が難しいため、クレーム発生時に『いつ・誰が・何を注文したか』を遡るのに時間がかかる。調理設備が古いと、加熱後の保温や冷却の管理も不安定になり、品質事故のリスクも上がる。品質事故は一度起きると解約につながり、食数のまとまった減少=売上上限の低下になるため、受注・設備両面の改善が不可欠だった。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | E社は、受注導線と製造ラインを同時にテコ入れし、『受注→製造→配送』の整合を取った。受注側では“ワンクリック注文”のように定番弁当を素早く発注できる仕組みを用意し、締切前の確認・集計を自動化。これにより、転記ミスと集計待ちを減らし、変更が入っても即座に製造計画へ反映できる。製造側では高効率調理設備へ投資し、ピーク時の処理能力を上げつつ、加熱・盛付の標準化(時間・分量・手順)を進めた。運用面のポイントは、①受注データを製造計画(食数・品目・開始時刻)に連動、②定番商品の比率を上げて段取り替えを減らす、③検品ポイントを絞って例外(特注・変更)のみ重点確認すること。結果として、工数削減と品質向上を同時に狙える設計になった。補助金の採択論点としては、『受注DXで事務工数を削減→製造計画の精度向上→廃棄/手戻り減→粗利改善』を一気通貫で示せること。設備だけ、ITだけではなく、両方を“同じKPI”に結びつけて説明できる点が強い。実装のポイントは、受注を“顧客の操作性”だけで終わらせず、社内の製造指示・ピッキング・ラベル・配送リストまで連動させること。入力が簡単でも、社内が結局手入力なら効果が薄い。E社は受注データを基準データ(商品マスタ, 顧客マスタ, アレルゲン情報)と紐付け、変更が入ると差分が自動で抽出される運用を想定することで、ピークの火消しを減らす設計にした。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 採択一覧では『高効率調理設備を導入したワンクリック注文仕出し弁当販売事業』として採択されており、設備投資と受注DXをセットで行う構想が確認できる。成果数値は一覧にないため目標例として、①事務工数(受注入力/集計)▲20〜50%、②製造の手戻り・作り直し▲10〜25%、③稼働率(ピーク処理能力)+5〜15pt、④クレーム▲10〜25%、⑤移動/巡回時間(配送ルート確定の手戻り)▲20〜40%を設定。定性では、顧客側の発注負担が減ることで継続(LTV)に効き、ピークが安定して採用・定着にも波及する。再現の型は、(1)定番化できる商品を決める→(2)発注を簡単にする→(3)受注データで製造・配送を回す、の順。これにより、採用難でも供給上限を引き上げられる。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 活用済:活用済:ものづくり補助金(採択一覧PDF)/使途:高効率調理設備+ワンクリック注文の仕出し弁当販売(受注DX)の構築/採択の論点:受注工数削減→製造計画精度↑→手戻り・クレーム↓→稼働率↑の道筋。 |
| 8. リンク先(出典) | https://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/15th/saitaku15ji.pdf(ものづくり補助金 15次締切 採択結果一覧PDF) |
F社(新潟県)
| 1. 会社名・個人事業主名 | F社(新潟県/学校・福祉施設向け給食/仕出しを含む給食受託・配食。受発注がFAX中心) |
| 2. 切り口 | DX(業務デジタル化)/ITツール(SaaS等)導入/工数削減/クレーム削減/マニュアル整備 |
| 3. 会社概要 | 学校給食や福祉施設向けの給食・配食を担う中小事業者。複数の取引先(施設、自治体、食材業者)が絡み、注文・変更・納品の情報が分散しやすい。売上は契約と食数で決まる一方、厨房は人手依存で、ピークは午前中に集中する。単価は契約で固定されやすく、食材高騰時も価格転嫁が難しいため、利益は“工数”と“ロス”を削れるかで決まる。給食の現場では、受発注・集計・伝達の事務が肥大化すると、製造計画が乱れ、廃棄や作り直し、配送遅延が増える。つまり『量が増えるほど事務も増える』構造になりやすく、事務が成長の上限(受注上限)になりがち。給食は『同じメニューを大量に、時間通りに』が基本だが、実際には行事・欠席・現場事情で注文変更が多く、情報処理が増えるほど現場が疲弊する。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | F社では受発注がFAX中心で、月に約6,000枚の発注書が届き、担当者は内容確認・転記・仕分けに10〜20時間/週を費やしていた(出典)。紙の発注は、①文字が読みにくい、②書式がバラバラ、③履歴検索が困難、④変更が入ると最新が分からない、⑤同じ品目でも呼称が違い集計がズレる、という問題がある。転記ミスが起きると欠品・誤配送・作り直しにつながり、薄利の給食ではそのまま粗利を吹き飛ばす。さらに、FAXの山は“確認が終わるまで製造計画が確定しない”ため、現場は手探りで仕込みを始め、後から変更が入って手戻りが増える。事務が逼迫すると現場への伝達が遅れ、製造開始が後ろ倒しになり、結果として残業と配送遅延が増える。採用難のなかで残業が常態化すると離職が増え、供給上限がさらに下がるという悪循環だった。月6,000枚規模になると、確認のための“問い合わせ電話”も増え、現場と事務の往復が発生する。受注処理が遅れると仕入れ発注も遅れ、結果的に高い緊急仕入れや代替食材で原価が上振れする点も痛かった。FAXは証跡が残る一方、検索性が低く、再発防止(どの工程でミスが起きたか)の分析ができない。結果として、同じミスが繰り返され、現場は『注意喚起』だけが増えて疲弊する。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | F社はクラウドの受発注プラットフォームを導入し、取引先との注文をデータで受け取る形へ移行した。これにより、①注文データが自動集計され、製造計画を早い時点で確定できる、②変更履歴が残り“どれが最新か”が明確になる、③検索・再確認が容易になり問い合わせが減る、④品目マスタで呼称を統一し集計ブレをなくす、という効果を狙った。運用面の肝は、取引先ごとの締切・変更ルールを明確化し、例外(急な追加・キャンセル)だけを重点対応する設計にすること。さらに、データを基に『欠品が出やすい品目』『変更が多い顧客』を可視化し、事前提案(定番化、締切前倒し)で例外自体を減らす。結果として、事務工数を削って現場支援(品質確認・段取り)へ時間を振り替え、供給上限を押し上げる。補助金を使う場合は、IT導入補助金や持続化補助金(HP/受注導線)で、受発注DXを“工数削減とミス削減”として説明しやすい。F社のポイントは、ツール導入だけで終わらせず『締切・例外・マスタ』まで運用設計を揃えたことにある。また、取引先側にとっても発注が簡単になると、締切前に“まとめて”出してもらいやすくなり、現場の平準化に効く。導入初期はFAXと併用し、データ化できる取引先から順に移行していくことで混乱を抑える。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 出典の数値(発注書約6,000枚/月、処理に10〜20時間/週)を基準にすると、定量KPIは①受発注処理工数:▲20〜50%(目標例)、②転記ミス起因の手戻り:▲10〜25%(目標例)、③事務遅延による残業:▲10〜25%(目標例)、④欠品・誤配送のクレーム:▲10〜25%(目標例)を設定できる。定性では、取引先とのやり取りが可視化され、担当交代時の引き継ぎが容易になる。給食業界の成長上限になりやすい“事務ボトルネック”を、データ化で先に潰した点が成功要因。受発注のデータ化は、将来的に需要予測や在庫最適化にもつながり、食材高騰局面での粗利防衛にも効く。結果KPIは“週あたり削減時間”として示すと説得力が高く、削減時間を『追加受注対応』『衛生・品質確認』に振り替える計画が立てやすい。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 未活用:未活用:クラウド受発注導入(補助金活用の記載なし)。 |
| 8. リンク先(出典) | https://co-nect.co.jp/benten/(導入事例ページ) |
G社(神奈川県)
| 1. 会社名・個人事業主名 | G社(神奈川県/仕出し弁当・施設向け配食。新メニュー開発と設備更新で効率化を狙う) |
| 2. 切り口 | 新しいサービス・商品開発/設備投資/省人化・省力化/業務フロー見直し/平均単価アップ |
| 3. 会社概要 | 仕出し弁当・配食を地域の事業所・施設向けに提供する中小事業者。売上は『食数×提供日』で積み上がり、昼前後にピークが集中する。単価は競合比較で上げにくい一方、食材価格は変動し、利益は原価率と工数・廃棄で決まる。受注が増えるほど製造計画・仕入れ・盛付・配送が複雑になり、設備が古いとピーク処理が詰まって売上上限に直結する。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 既存メニュー中心だと差別化が弱く、価格競争に巻き込まれやすい。一方で新メニューは、仕込み工程が増え、少量多品種化で工数が増える。古い設備のままだと加熱・冷却・保温の待ちが発生し、品質と回転が両立しない。受注や変更がアナログだと転記・集計が増え、ピーク時に“事務遅れ→現場混乱→手戻り・廃棄増”が起きる。採用難の中で残業が増えると離職が進み、供給上限が下がるという悪循環もあった。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | G社は『設備導入による新メニュー・仕出し弁当開発並びに業務効率化』の事業として、中小企業新事業進出補助金(公募PDFの採択者一覧に記載/制度名は要確認)を活用した(出典)。狙いは、(1)設備更新でピーク処理能力を上げ、(2)新メニューで単価・粗利を上げ、(3)工程を標準化して工数を抑える、の同時達成。運用は、定番化できる新メニューを絞り込み、作業手順・分量・検品ポイントを標準化し、例外(特注・変更)だけを重点管理する設計にする。補助金の採択論点としては『投資→省力化/品質→売上・粗利改善』の因果をKPIで説明することが重要になる。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 採択一覧は事業名までの記載のため、数値成果は未掲載。目標例として、①平均単価+10〜20%(新メニューの付加価値化)、②粗利率+1〜3pt(ロス削減・工程短縮)、③稼働率(ピーク処理能力)+5〜15pt、④事務工数(受注/集計)▲20〜50%を設定。定性では『選ばれる理由(新メニュー)』と『回る現場(設備・標準化)』を同時に作れるため、受注上限の引き上げと継続(LTV)に効く。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 活用済:活用済:(制度名要確認)新事業進出補助金関連の採択者一覧PDFに『設備導入による新メニュー・仕出し弁当開発並びに業務効率化』と記載/使途:設備更新+新メニュー開発+業務効率化/採択の論点:設備で省力化しつつ、新メニューで単価・粗利を上げる“両輪”。 |
| 8. リンク先(出典) | https://www.jizokukahojokin.info/wp-content/uploads/r1i_7_kanto.pdf(採択者一覧PDF/神奈川県の採択者に事業名記載) |
H社(和歌山県)
| 1. 会社名・個人事業主名 | H社(和歌山県/弁当・仕出し・ケータリングを含む中食事業。テイクアウトと法人受注を併用) |
| 2. 切り口 | DX(業務デジタル化)/業務自動化/工数削減/平均単価アップ/既存顧客のリピート率向上 |
| 3. 会社概要 | 地域で弁当・仕出し・ケータリングを提供する中小事業者。個人のテイクアウト需要と、法人・団体のまとまった注文(会議・イベント)を併用するモデルで、BtoCとBtoBの両方を持つ。単価は競合と比較されやすい一方、ピークは昼に集中し、調理・受け渡し・会計が詰まると回転率(処理客数)が頭打ちになって売上上限に直結する。食品は作り置きのロスも発生しやすく、ピーク処理が遅れると“売れ残り”が増えて粗利率が下がる。人手不足の中でレジ待ちや会計ミスが増えると、クレーム・機会損失・再発防止の教育負荷が積み上がる。回収サイトは即時(現金・キャッシュレス)が中心でキャッシュは良いが、日々のオペレーションが崩れると売上が取りこぼされるため、ピーク処理能力=売上上限という構造が強い。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 従来はフルサービスの会計が中心で、混雑時にレジ待ちが発生し、回転率(処理客数)が頭打ちになっていた。会計ミスや釣銭間違いが起きると、後処理や返金対応が増え、現場がさらに混乱する。ピーク時は『会計が詰まる→受け渡しが遅れる→厨房が滞留する→品質が落ちる(温度・揚げ物の食感)』という連鎖が起きやすく、満足度低下がリピート率(LTV)を下げる。加えて、客単価を上げたくても、対面でおすすめを説明する余裕がなく、アップセルが弱い。人を増やしたくても採用難で、教育コストも高い。つまり、売上上限(処理客数)と粗利(客単価)の両方が“会計オペレーション”に縛られていた。特に弁当は『提供スピード』が価値の一部なので、待ち行列が常態化すると近隣競合へ流れる。会計ミスは少額でもSNS等で評判を落としやすく、リピートの毀損につながる。また、有人会計は新人ほどミスが出やすく、教育時間が必要になる。教育に時間を割けない繁忙店ほどミスが残り、ベテランがフォローに回って疲弊する。結果として、ベテランが離職すると一気に品質が落ちる“属人化リスク”もあった。さらに、会計が詰まると『受け渡し済み/未受け渡し』の管理が曖昧になり、取り違えが起きやすい。取り違えは再製造や返金を生み、ピーク時の厨房をさらに圧迫するため、会計のボトルネック解消が品質維持にも不可欠だった。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | H社はIT導入補助金(2020年C類型)を活用し、券売機やセルフレジ等のセルフ会計を導入した(出典)。施策の因果は、①会計をセルフ化してレジ処理を分散→②従業員は調理・受け渡し・品質確認へ集中→③待ち時間が減り回転率が上がる、という流れ。運用としては、メニュー表示を分かりやすくし、追加トッピング・セット提案を画面に組み込み、アップセルを“自動化”した。さらに、現金管理を簡素化して締め作業を短縮し、ミスが起きた場合もログで追えるようにした。導入初期は高齢客・現金客へのサポート動線を作り、ピーク時間帯に“案内係”を置くなど、現場定着の工夫で離脱を防いだ。これにより、採用難でも売上上限を上げられる構造を作った。補助金申請では、導入前後で『ピーク時の処理客数』『平均待ち時間』『会計ミス件数』を測定し、削減時間を売上増(処理客数)と客単価増(提案表示)に接続して説明すると採択の論点が立つ。H社はメニューを『選びやすい粒度』に整理し、券売機のボタン構成をピークの動線(上位商品を上段)に合わせて設計。さらに、セット・大盛り・追加惣菜など利益率の高い項目を自然に選ばせるUIにし、客単価を上げた。会計がセルフになることで、スタッフは『受け渡し時の最終確認(商品違い防止)』に時間を割け、クレームの予防にもつながる。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 出典では、導入の狙いが『会計ミスが9割減』、さらに『客単価が2割増』と定量で示されている。また、注文が多い日には1店舗で約300食に達する規模感も記載されている。これによりKPIは、①会計ミス:▲90%(実績)、②平均単価:+20%(実績)、③回転率(処理客数):+5〜15pt(目標例)、④締め作業時間:▲20〜50%(目標例)として整理できる。定性では、繁忙時の心理的負担とクレームが減り、スタッフ定着に効く。再現可能な型は、(1)ボトルネックを会計に特定→(2)セルフ化で分散→(3)画面でアップセル、という順でKPIを動かすこと。数値が出ている点が強く、補助金の事後報告でも説得力がある。特に“会計ミス9割減”は工数削減だけでなくクレーム削減にも直結し、客単価増と組み合わせることで『売上と粗利の同時改善』として説明できる。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 活用済:活用済:IT導入補助金(2020年C類型)/使途:券売機・セルフレジ等の導入/採択の論点:会計ボトルネック解消で回転率を上げ、ミス減で品質とLTVを守る道筋。 |
| 8. リンク先(出典) | https://j-net21.smrj.go.jp/special/hitokoto/20210512.html(IT導入補助金の活用事例ページ) |
3. 補足・参考情報
関連補助金
- 小規模事業者持続化補助金(一般型):https://r3.jizokukahojokin.info/(公募情報・採択結果)
- ものづくり補助金:https://portal.monodukuri-hojo.jp/
- IT導入補助金:https://it-shien.smrj.go.jp/
- 中小企業新事業進出補助金(要確認):中小企業庁/事務局公募ページを確認
- 東京都中小企業振興公社 各種助成金:https://www.tokyo-kosha.or.jp/
DX参考サイト
- CO-NECT(受発注DX):https://co-nect.co.jp/
- SmartMat Cloud(在庫見える化):https://smartmat.io/
- RICOHの業務DX/AI活用事例:https://industry.ricoh.com/ja/
- freee(会計・請求):https://www.freee.co.jp/
- マネーフォワードクラウド(会計・請求):https://biz.moneyforward.com/
支援機関
- よろず支援拠点(全国):https://yorozu.smrj.go.jp/
- 商工会・商工会議所(地域窓口):https://www.shokokai.or.jp/
- 中小企業基盤整備機構(支援制度):https://www.smrj.go.jp/
- 東京都中小企業振興公社:https://www.tokyo-kosha.or.jp/
- 各都県の産業労働局・産業振興財団(助成金・伴走支援):(各自治体サイト)
