バー・バーテンダー業界_成功事例レポート
目次
1. 冒頭概要
バー・バーテンダー業界の売上上限は、基本的に「席数×回転×客単価×営業日数」で決まりやすく、立地(商圏)と営業時間の制約が強い業態です。厨房設備は比較的軽い一方で、内装・照明・カウンター等の“雰囲気投資”が固定費化しやすく、さらに人材(バーテンダーの技術・接客)への依存度が高い=属人化しやすい構造があります。結果として、①平日稼働の波、②人手不足による営業時間短縮、③客単価が上がっても粗利が残らない(仕入れロス・原価管理不足)といった課題が重なりやすいのが特徴です。
支援制度が効きやすい領域(構造課題への接続)は次の3つです。
- 販路(獲得):看板・導線・SNS/UGC・イベント設計・インバウンド対応で「新規獲得(リード)/来店率」を上げる
- 省力化(守り):予約/会計/POS/在庫・原価の一元化で「工数(現場・事務)/ミス/ロス」を下げ、営業時間を確保する
- 高付加価値化:シグネチャー、ボトル/シロップ販売、昼需要(コーヒー等)で「客単価/粗利率/LTV」を上げる
成功パターン総括(3点)
1) “席数の壁”を越える:店内提供だけでなく、ボトル/シロップ/EC・テイクアウト等で売上上限を外す(客単価・LTVの底上げ)。
2) 属人性を「型」にする:レシピ・オペレーション・在庫/原価を標準化し、品質と粗利を守る(ロス削減・提供スピード)。
3) 補助金は使途を粒度高く:広告なら「撮影+SNS運用設計+計測」、DXなら「セルフオーダー+POS+在庫/原価連携+運用ルール」まで落として、KPI改善の道筋を一文で説明できる形にする。
2. 成功事例(A〜H、8件)
A(神奈川県)ハーブ系“カクテルシロップ”を商品化して店外売上を作る
| 1. 会社名・個人事業主名 | A社(バー・ラウンジ) |
| 2. 切り口 | 新商品・新サービス/販路開拓・営業活動(EC・越境EC・卸・代理店)/ブランディング/データ活用/補助金活用 |
| 3. 会社概要 | 住宅地寄りの商圏で夜間集客が中心。席数と営業時間が売上上限になり、天候・曜日で稼働が波打つ。アルコール原価は仕入れとロスで粗利が揺れやすく、客単価を上げても利益が残らない局面が起きる。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 立地が強くない場合、新規獲得は口コミ・紹介・SNSに依存しやすく、安定しない。混雑日は提供遅延で品質低下、平日は閑散で固定費が重い。課題は「席数に依存しない売上」と「指名買い(ブランド)」を同時に作ること。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | シグネチャーカクテルを“カクテルシロップ”として標準化(味の再現性、ラベル表記、保存性の設計)。店内ではシロップ提供メニューを用意し、体験→購入の導線を設計。SNSは写真/短尺動画の型を作りUGCを促進。販売データで人気フレーバーを特定し、改良サイクルを回す。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 定性:混雑に左右されない売上が生まれ、ブランド認知が広がる。定量(目標例):平均単価 +10〜20%/粗利率 +1〜3pt/新規獲得(リード)+5〜15%。今後:ギフト店・宿泊施設等への卸でBtoB比率も上げる。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 活用済|小規模事業者持続化補助金(一般型・要確認)|使途:商品ラベル/パッケージ制作、撮影、販促物・販売導線整備|採択論点:店外売上を作り、客単価・粗利の改善で売上増の道筋を示す。 |
| 8. リンク先(出典) | https://r3.jizokukahojokin.info/doc/saitaku11/r3i_11_kanto.pdf(P33付近:『オリジナルカクテルシロップの販売促進事業』) |
B(埼玉県)“銀座品質”の技術を地方立地で再現し、指名客を増やす
| 1. 会社名・個人事業主名 | B社(本格バー) |
| 2. 切り口 | ブランディング/接客・サービス/店舗体験・動線/PR・広報/資金調達 |
| 3. 会社概要 | 郊外エリアで本格バーを開業。バーは“雰囲気”と“技術”が価値の中核だが、地方では価格競争になりやすい。スタンダードから好みに合わせた提案までを提供し、「わざわざ行く理由」を作るモデル。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 立地が都心一等地ではない場合、最初の壁は認知と初回来店のハードル。さらに品質がブレると口コミが弱くなる。課題は地域の夜の選択肢として定着させることと、固定費を持続できる資金設計。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | 開業前に事業計画を作り込み融資確保。商品価値(季節素材、提案力)を明確化し、空間演出を統一。入口・看板など視認性と導線を整備し、初回でも安心して任せられる接客の型を作って指名客を積み上げる。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 定性:地域で『本格バー=ここ』のポジションが作れ、ファンが増える。定量(目標例):稼働率 +5〜15pt/継続・LTV +5〜10%。今後:会員制度(優先予約、限定メニュー)でLTVを伸ばす。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 未活用(支援は創業・事業計画、融資中心) |
| 8. リンク先(出典) | https://saitama-yorozu.go.jp/wp-content/uploads/2020/07/0876ca9e71071eea1befad74073d91b2.pdf(バー開業支援事例PDF) |
C(神奈川県)コロナ禍で“もう1本の柱”を作る:バー→焼菓子×珈琲の新業態
| 1. 会社名・個人事業主名 | C社(カフェバー運営→新店舗) |
| 2. 切り口 | 新規事業・多角化/ブランディング/パッケージ・ネーミング刷新/販路開拓・営業活動(EC・越境EC・卸・代理店)/PR・広報 |
| 3. 会社概要 | 本格カフェバーを運営しつつ、オリジナルブレンド商品の拡販にも取り組む。バーは来店需要が外部環境に左右されやすく売上変動が大きい。テイクアウト中心の焼菓子と珈琲で需要分散とブランド拡張を狙う。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 夜間需要が落ちる局面では固定費が重い。バーは客層が限定されやすく日中需要を取り込みにくい。課題は『ブランドの芯を保ったまま、別時間帯・別客層へ価値提供』すること。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | 商品核を“米粉焼菓子×本格コーヒー”に置き、ロゴ・サイン・パッケージまで統一。SNSでの見え方を先に設計してUGCを誘発。テイクアウト中心でオペレーションを軽くし、オンライン販売も視野に導線を作る。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 定性:来店制約に左右されにくい収益源ができ、ブランド接点が増える。定量(目標例):平均単価 +10〜20%/稼働率(別時間帯売上の構成比)+5〜15pt。今後:ギフト需要と法人需要(卸)を開拓。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 未活用(事例本文に補助金の明記なし。制度利用は要確認) |
| 8. リンク先(出典) | https://www.kanagawa-yorozu.go.jp/case/hatis-coffee.html |
D(千葉県)歴史的建築×ナイトタイム:カフェバー+ウェディングで地域の夜需求を作る
E(神奈川県)“待ち営業”を脱却:EC・卸でリピート導線を作る(他業態の型をバーへ転用)
| 1. 会社名・個人事業主名 | E社(飲食業) |
| 2. 切り口 | 販路開拓・営業活動(EC・越境EC・卸・代理店)/データ活用/CRM・会員制度・サブスク化(LTV向上)/標準化・マニュアル化/生産性向上 |
| 3. 会社概要 | 来店依存の飲食業は外部環境で客数が急減すると固定費が重い。店舗外で売れる商品(冷凍・惣菜等)や卸を組み合わせ、売上を分散させるモデル。バーでもボトル・シロップ・おつまみ等に転用できる。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | ECや卸は、商品設計・価格・リピート導線・運用工数が壁。『単発で終わらせない再購入設計』と『店舗運営と矛盾しないオペレーション』が要点。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | 卸先開拓とECのリピート施策を設計。購入後フォロー(メール/LINE等)と再提案を組み込み、製造・出荷・在庫の標準化で運用負荷を抑えた。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 定性:来店待ち比率が下がり下振れ耐性が増す。定量(目標例):継続・LTV +5〜10%/事務工数 ▲20〜50%。今後:ギフト/定期便で単価とLTVを伸ばす。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 未活用(支援事例として記載。制度利用は要確認) |
| 8. リンク先(出典) | https://www.kanagawa-yorozu.go.jp/case/ec.html |
F(中小企業庁/ミラサポplus)セルフオーダー×データで人手不足を解消し、営業時間を取り戻す(バー向け省力化の型)
| 1. 会社名・個人事業主名 | F社(飲食店:バーにも横展開可能な型) |
| 2. 切り口 | ITツール活用(業務効率化、自動化)/データ活用/生産性向上/補助金活用 |
| 3. 会社概要 | 人手不足で注文業務がボトルネックになり、営業時間短縮や接客品質低下につながる。バーは提案接客が価値だが、オーダー伝達・会計・在庫が手作業だと回らない。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 『注文取りに追われる→接客品質低下→客単価が伸びない→人件費を増やせない』の悪循環。注文を省力化し、スタッフを提案・提供に振り向ける必要がある。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | IT導入補助金でセルフオーダーを構築し、注文が厨房へ直送される仕組みに。聞き間違いを減らしスピード向上。注文データ(時間帯・売れ筋)を見てメニュー/価格/仕込みを最適化。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 事例:必要人員6→5人等の省力化。バーでは目標例:稼働率 +5〜15pt/粗利率 +1〜3pt。今後:在庫・原価と連携しロスを抑える。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 活用済|IT導入補助金|使途:セルフオーダー、データ活用基盤|採択論点:人手不足解消→営業時間回復→利益改善をKPIで示す。 |
| 8. リンク先(出典) | https://mirasapo-plus.go.jp/hint/20874/(セルフオーダー事例) |
G(日本政策金融公庫:マル経融資 事例)移転拡大で席数の壁を越え、露出を獲得して稼働を上げる
| 1. 会社名・個人事業主名 | G社(BAR併設の飲食店) |
| 2. 切り口 | 店舗体験・動線/メディア露出/PR・広報/資金調達/補助金活用 |
| 3. 会社概要 | 小規模店舗では団体予約の取りこぼしが機会損失となり、成長が止まる。移転・拡大で席数を増やし、提供体制を再設計して“稼げる構造”を作るモデル。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 移転拡大は固定費増。失敗するとダメージが大きい。課題は『資金調達を確保しつつ、移転後に早期に稼働を上げる』こと。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | マル経融資で移転資金を確保し、席数増に合わせて体制を再構築。看板メニュー作りと情報発信で露出を獲得し、新規獲得を押し上げた。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 事例:移転拡大費用 約1,000万円確保、席数 最大50席へ拡大など。バーでは目標例:稼働率 +5〜15pt/平均単価 +10〜20%。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 活用(事例内言及)|持続化・再構築・事業承継等+マル経融資(制度名は要確認)|採択論点:構造上限(席数)を投資で突破し、回収計画をKPIで示す。 |
| 8. リンク先(出典) | https://www.jfc.go.jp/n/finance/marukei/voice/voice007/index.html |
H(京都:事業承継事例)ファンコミュニティ型コンセプトバーを承継し、LTVを引き継ぐ
| 1. 会社名・個人事業主名 | H社(コンセプトバー) |
| 2. 切り口 | コミュニティ形成・UGC/レビュー・SNS運用/ブランディング/事業承継/価格戦略・値上げコミュニケーション/接客・サービス |
| 3. 会社概要 | コンセプトバーは“空気感・世界観”が価値の中心で、SNSフォロワー等コミュニティが資産となる。一方で運営者の個性に依存しやすく、承継が難しい。 |
| 4. 当初の課題・挑戦 | 承継で失敗しやすいのは、①コンセプトが言語化されていない、②レシピ/接客の型がない、③SNS運用が属人、④顧客が“人”についている、の4点。 |
| 5. 取組み・成功のポイント | コンセプト文書化・レシピ標準化・投稿ルール(頻度/トーン/素材)を整備し、運営者が変わっても価値が継続するように設計。イベント・限定メニューでコミュニティを維持/強化。 |
| 6. 成果・今後の展望(定性+定量) | 定性:承継後もファンが離れにくく運営が継続。定量(目標例):継続・LTV +5〜10%/平均単価 +10〜20%。 |
| 7. 補助金・助成金の活用 | 未活用(事例は承継支援。制度利用は要確認) |
| 8. リンク先(出典) | https://www.kyoto-shoukei.go.jp/case/115397.html |
3. 補足・参考情報