ペンション・民宿業界_成功事例レポート

ペンション・民宿業界_成功事例レポート

目次

1. 冒頭概要

ペンション・民宿は「客室数=売上上限」が明確で、稼働率と平均単価を上げない限り売上が伸びにくい一方、清掃・食事・予約対応など“現場オペ”が固定費(人件費)と直結します。加えて、OTA手数料・レビュー評価による集客の振れ、繁閑差、家族経営での採用難が重なり、①稼働率を守りつつ②単価を上げ③現場工数を減らす、の同時達成が構造課題です。

支援制度が効くのは、(a)販路=自社直販/口コミ増(広告・サイト改善・撮影・PR)、(b)省力化=予約・在庫・鍵・チェックイン・会計の一元化、(c)高付加価値化=一棟貸し/体験/ワーケーション等の新サービス、の3領域です。

成功パターン総括(3点)

  • ①「予約・在庫の一元化」→ ダブルブッキング/更新工数を減らし、空室ロスを減らして稼働率を押し上げる(工数▲20〜50%+稼働率+5〜15pt)。
  • ②「ファミリー/インバウンド等の“狙う客層”を決めて、価格と体験を再設計」→ 平日を埋め、平均単価+10〜20%を狙う。
  • ③「地域資源×プラン開発(食・体験)」→ 口コミと再訪(LTV)を伸ばし、広告依存を下げる(レビュー件数増+直販比率上昇)。

2. 成功事例(A〜H)

A社(東京都・一棟貸し型の小規模宿)

1. 会社名・個人事業主名A社
2. 切り口新商品・新サービス/インバウンド対応/ブランディング/店舗体験・動線/VMD/サステナビリティ/脱炭素
3. 会社概要都内で古民家を再活用した「一棟貸し」型の小規模宿を複数運営する事業者。ホテルと違いスタッフ常駐を前提にせず、清掃・リネン・備品補充を外部連携で回しながら、宿泊体験(和文化・しつらえ)で単価を作るモデルを採用。都市部は客室単価が高い反面、競合(ホテル・民泊)が多く、差別化の核が“世界観”と“体験品質”になる。
4. 当初の課題・挑戦都市部の宿は、立地で勝負しやすい一方、同質化すると価格競争に巻き込まれやすい。さらに一棟貸しは「運営の省人化」ができる反面、チェックイン案内/多言語対応/クレーム対応が後追いで増え、レビュー低下が稼働率に直撃する。A社は、複数棟展開を見据える中で、①体験品質の標準化、②インバウンド向けの情報設計、③環境配慮の“語れる価値”の整理が必要だった。
5. 取組み・成功のポイント施策は「世界観の一貫性」と「運用の標準化」を同時に進めた点。具体的には、宿のコンセプトを“和文化×一棟貸し”に統一し、しつらえ・アメニティを環境負荷の低いものへ寄せて“選ばれる理由”を言語化。運用面では、棟数が増えても破綻しないよう、清掃/備品のチェックリスト化、外部パートナーとの役割分担を明確化し、レビュー要因(清潔感・案内の分かりやすさ)に直結する工程を優先して整備した。これにより「品質(クレーム)」と「稼働率」を両取りしやすくなる。
6. 成果・今後の展望(定性+定量)定性:一棟貸しの“人数ニーズ”に応え、家族・グループ需要に強いポジションを確立。環境配慮の打ち出しでブランドストーリーが作れた。定量:目標例として、平均単価+10〜20%、レビュー評価+0.2〜0.4pt、問い合わせ対応工数▲20〜40%。今後は棟数拡大に合わせ、鍵・チェックイン等の省人化を強化すると伸びやすい。
7. 補助金・助成金の活用未活用(記事内に明確な記載なし)
8. リンク先(出典)https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/shien/sdgs/casestudy19.html

B社(千葉県・民宿)

1. 会社名・個人事業主名B社
2. 切り口広告宣伝(デジタル)/販路開拓・営業活動(EC・越境EC・卸・代理店)/ブランディング/口コミ・紹介プログラム/補助金活用
3. 会社概要房総エリア想定の小規模民宿。地域観光の需要に左右され、繁忙期偏重になりやすい。家族経営のため、現場対応(清掃・食事)と販促(Web更新)が同じ人に乗り、更新が止まると稼働率が落ちる構造を持つ。
4. 当初の課題・挑戦リニューアル後の“良さ”がWeb上で伝わらず、比較検討段階で候補から落ちる課題。OTA頼みだと手数料が増え、値上げしにくい。そこで、①自社HPでの訴求(写真/導線/予約)、②閑散期の需要づくり(平日プラン)、③口コミ誘発の設計、が必要だった。
5. 取組み・成功のポイント補助金で「HPを主戦場」に作り直し、リニューアルの価値(部屋・食・体験)を写真とコピーで“翻訳”。同時に、OTAでは埋めにくい平日を、直販限定プラン(連泊/ワーケーション/体験)で埋める設計に寄せた。運用では、更新担当を固定し、季節ごとに“更新する項目”をテンプレ化(料金カレンダー・空室・プラン)。これにより、広告依存ではなく、検索/指名/紹介が積み上がる。KPIは「直販比率」「CVR」「平均単価」。
6. 成果・今後の展望(定性+定量)定性:自社HPからの問い合わせ・予約が取りやすくなり、OTA一辺倒から脱却しやすい。定量:目標例として、成約(受注)率+5〜15pt、平均単価+10〜20%、OTA手数料比率▲1〜3pt。
7. 補助金・助成金の活用活用済:小規模事業者持続化補助金(一般型)/使途:HP制作・改修、写真/コンテンツ制作(想定)。採択論点:販路開拓(直販・情報発信)→稼働率/単価の改善が計画でつながっていること。
8. リンク先(出典)https://www.jizokukanb.com/jizokuka_r1h/1-7/doc/%E4%BB%A4%E5%92%8C%E5%85%83%E5%B9%B4%E8%A3%9C%E6%AD%A3%E4%B8%80%E8%88%AC%E5%9E%8B%E6%8E%A1%E6%8A%9E%E8%80%85%E4%B8%80%E8%A6%A7.pdf (P19付近に「リニューアルした民宿をホームページからPRして集客する事業」記載)

C社(長野県・民宿)

1. 会社名・個人事業主名C社
2. 切り口新規事業・多角化/新商品・新サービス/ITツール活用(業務効率化、自動化)/インバウンド対応/補助金活用
3. 会社概要旧街道エリアの既存民宿を夫婦2人で運営。地域に宿泊施設が少ない一方、旧宿場町の滞在需要(歩き旅・文化体験)がある。人手を増やせないため「非接触×省人化」で宿泊を成立させる必要がある。
4. 当初の課題・挑戦旧宿場町に宿が少なく、需要はあるのに受け皿がない。とはいえ、従来型の民宿運営(対面チェックイン・鍵手渡し・現地決済)では人手が足りず、継続が難しい。そこで、空き家(旧旅館)を改修し「素泊まり一棟貸し」へ転換し、スマートチェックイン/スマートロックなどで省人化しつつ、予約〜決済までオンライン化する挑戦が必要だった。
5. 取組み・成功のポイント事業再構築補助金の枠組みを使い、建物改装+予約サイト登録+ネット広告+販売促進までを“ひとつの因果”で設計。運用の肝は、①予約サイト(例:Airbnb)で事前決済に寄せ、当日の現金処理をゼロ化、②鍵の受け渡し/本人確認/案内をデジタル化して、チェックイン集中の現場負荷を平準化、③地域滞在ニーズ(旧街道ウォーク等)に合わせて「到着が遅い/早い」客にも回る導線を作った点。KPIは「工数」「稼働率」「回収(入金)」の改善。
6. 成果・今後の展望(定性+定量)定性:宿泊施設が少ない地域で受け皿を増やし、滞在価値を高めた。非接触運営で少人数でも継続可能。定量:補助金額は約1,000万円の採択(出典記載)。目標例として、事務工数(分/件)▲20〜50%、稼働率+5〜15pt、回収(入金)サイト短縮(事前決済比率増)。
7. 補助金・助成金の活用活用済:事業再構築補助金(第4回公募の記載)/使途:古民家等建物改装、予約サイト登録、ネット広告、販売促進。採択論点:非接触×省人化で継続可能な宿泊モデルに転換し、需要(宿不足)を解決する道筋が明確。
8. リンク先(出典)https://www.nagano-sci.or.jp/sci/wp-content/uploads/2023/02/4-58%E4%B8%8A%E5%B8%AD%E6%94%AF%E6%8F%B4%E4%BA%8B%E4%BE%8B%EF%BC%88%E5%AE%AE%E6%BE%A4%E4%B8%8A%E5%B8%AD%EF%BC%89.pdf

D社(秋田県・小規模温泉旅館)

1. 会社名・個人事業主名D社
2. 切り口PR・広報/メディア露出/ITツール活用(集客、広告宣伝)/新商品・新サービス/商品ミックス/メニューエンジニアリング
3. 会社概要地域客中心で長く続く小規模温泉旅館。県内客の高齢化で需要が縮小する中、外部(県外)需要を取り込む必要がある。家族経営に近く、Web対応が遅れると“存在しない宿”になるタイプ。
4. 当初の課題・挑戦既存は電話中心の予約で、ネット環境やPCが整っておらず、予約機会を取り逃がしていた。また、季節・料理の魅力があるのに、プラン設計が単調だと価格競争に落ちる。課題は①予約獲得導線(Web)をつくる、②客層を広げるためのプランを増やす、③電話対応時間を減らして現場へ戻す、の3つ。
5. 取組み・成功のポイントよろず支援拠点の支援で、まずは“1部屋だけ”Web予約を試験導入し、ダブルブッキング不安を下げながら運用に慣れた点が再現性高い。Web経由の予約受付を開始し、県外客の流入を確認。その上で、観光分野に強い支援者の知見で「季節の料理+地酒」等のセットプランを複数開発し、客単価と満足度の両方に効かせた。KPIは「新規獲得」「平均単価」「工数(電話対応)」。
6. 成果・今後の展望(定性+定量)定性:県外など新しい客層の獲得につながり、電話対応時間が減った“実感”が得られた。定量:目標例として、平均単価+10〜20%、成約率+5〜15pt、電話対応工数▲20〜40%。
7. 補助金・助成金の活用未活用(記事は支援事例で、補助金名の明確記載なし)
8. リンク先(出典)https://www.bic-akita.or.jp/magazine/535/535_katuyou02.pdf

E社(静岡県・ペンション)

1. 会社名・個人事業主名E社
2. 切り口ITツール活用(業務効率化、自動化)/データ活用/生産性向上/価格戦略・値上げコミュニケーション/補助金活用
3. 会社概要5室規模の家族向けペンション。複数OTAを使うほどプラン更新が増え、現場(食事・接客)を圧迫する。少人数運営では、予約管理の負荷がそのままサービス品質低下に直結する。
4. 当初の課題・挑戦OTAごとにプラン変更作業が発生し、外注すると売上の一定割合がコスト化。外注をやめれば作業時間が増えて現場品質が落ちる。さらに新しいOTA追加も、既存システムでは対応できない。つまり「販路を増やすほど、運営が詰まる」構造を解消する必要があった。
5. 取組み・成功のポイントIT導入補助金を活用し、複数OTAのプラン変更を一括で行えるツールを導入。運用は「外注→内製」に切り替え、更新にかかる時間と委託費を同時に圧縮した。重要なのは、単なるツール導入で終わらせず、プランを“社会状況に合わせて頻繁に変える”前提で、更新スピードを経営の武器にした点。KPIは「工数」「粗利」「稼働率」。
6. 成果・今後の展望(定性+定量)定性:プラン変更が短時間ででき、現場に時間を戻せた。定量:粗利が前年の1.6倍、プラン変更作業が半日〜1日→最短30分(出典記載)。
7. 補助金・助成金の活用活用済:IT導入補助金/使途:宿泊プラン管理(サイトコントローラー)導入。採択論点:予約・プラン更新の省力化→工数削減→粗利改善の因果が明確。
8. リンク先(出典)https://ittools.smrj.go.jp/case/cp577f0000003hqt.html

F社(静岡県・小規模宿泊コテージ)

1. 会社名・個人事業主名F社
2. 切り口ITツール活用(業務効率化、自動化)/広告宣伝(デジタル)/価格戦略・値上げコミュニケーション/事業連携
3. 会社概要体験型施設(乗馬クラブ)と併設した貸切型コテージを運営。一般ファミリー層の需要が強い一方、予約チャネルが増えるほど、電話・自社サイト・OTAが混在してミスが起きやすい。
4. 当初の課題・挑戦予約が増えるほど、予約管理が属人化し、ダブルブッキングが発生。少人数運営では、予約対応が現場を圧迫し、顧客体験にも影響する。さらに料金を一律にしていると、需要に合わせた単価調整ができず機会損失になる。
5. 取組み・成功のポイント商工会と相談し、導入効果を検証したうえで、OTA予約を一元管理できるシステムを導入。複数OTA掲載が可能になり認知が広がり、同時に価格を需要に合わせて柔軟に設定できるようになった。運用の要は「目標・実績管理表」を作り、宿泊者数×単価で成果を見える化して改善サイクルを回した点。KPIは「新規獲得」「平均単価」「稼働率」。
6. 成果・今後の展望(定性+定量)定性:ダブルブッキングが解消し、予約対応の心理的負担が減少。定量:導入後、売上が前期比約66%アップ(出典記載)。
7. 補助金・助成金の活用活用済:自治体補助金(島田市の補助金活用の記載)/使途:予約一元管理システム導入。採択論点:予約ミス削減→顧客増・単価調整→売上改善の筋が明確。
8. リンク先(出典)https://ittools.smrj.go.jp/case/c0jrhq00000002ra.html

G社(和歌山県・小規模旅館)

1. 会社名・個人事業主名G社
2. 切り口ITツール活用(業務効率化、自動化)/標準化・マニュアル化/生産性向上/情報セキュリティ・プライバシー/補助金活用
3. 会社概要従業員30〜50名規模の地域旅館。団体から個人客へシフトすると予約件数・連絡事項が増え、部署間連携の負荷が跳ね上がる。現場での伝達漏れは、クレームや手戻り(品質)に直結する。
4. 当初の課題・挑戦予約・会計をPMSで整えても、日々の“緊急連絡”(料理変更、当日予定変更等)が現場に伝わらないと手戻りが残る。結果として、品質(クレーム)と工数が改善しない。さらに個人客比率が上がるほど、情報共有の頻度が増え、属人的な口頭伝達が限界になる。
5. 取組み・成功のポイント先にIT導入補助金でPMSを導入した上で、追加でビジネスチャットを導入し、話題別グループ・カイゼン提案・感謝共有など“運用設計”まで作り込んだ。単に連絡手段を変えるのではなく、情報共有のルール(誰が、いつ、どこに書く)を明文化した点が効く。KPIは「品質(ミス・クレーム)」「工数(手戻り)」。
6. 成果・今後の展望(定性+定量)定性:伝達ミスが減り、部署間連携が強化。提案が出る文化づくりにも波及。定量:目標例として、手戻り工数▲10〜25%、事務工数▲20〜50%。
7. 補助金・助成金の活用活用済:IT導入補助金(PMS導入の記載)/使途:PMS導入+(追加施策として)ビジネスチャット。採択論点:省力化(情報共有)→ミス削減→品質/生産性向上の道筋。
8. リンク先(出典)https://yarukiouendan.or.jp/cms/wp_wipf/wp-content/uploads/%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E5%B0%8E%E5%85%A5%E4%BA%8B%E4%BE%8B_%E6%9C%80%E7%B5%82%E7%A2%BA%E5%AE%9A.pdf (P5付近に「IT導入補助金を利用してPMS導入」記載)

H社(北海道・1室規模の小規模宿)

1. 会社名・個人事業主名H社
2. 切り口ITツール活用(業務効率化、自動化)/新商品・新サービス/インバウンド対応/リスク管理・BCP(事業継続力強化計画)
3. 会社概要1室規模の小規模宿(コンドミニアム型)で、無人・省人運営を前提にしたモデル。小規模ほど人件費の固定費比率が高く、フロント常駐は採算を崩しやすい。
4. 当初の課題・挑戦小規模宿は「運営の手間」がそのままコストになる。本人確認・鍵渡し・多言語案内などを人手で回すと、稼働率を上げても利益が残りにくい。さらに、トラブル時対応(鍵紛失等)がレビューに直撃する。
5. 取組み・成功のポイントチェックイン/本人確認/鍵管理などをデジタルで補い、無人でも“詰まらない導線”を作ることで、稼働率を上げても運営が破綻しない状態を先に作った点がポイント。小規模宿は、広告より先に「運営設計」を固める方が、レビュー悪化リスクを下げられる。KPIは「工数」「品質(クレーム)」。「インバウンド対応」を同時に整備すると単価上げにもつながる。
6. 成果・今後の展望(定性+定量)定性:省人運営のストレスが減り、運営継続性が高まる。定量:目標例として、チェックイン対応工数▲20〜50%、クレーム件数▲10〜25%。
7. 補助金・助成金の活用未活用(記事内に明確な記載なし)
8. リンク先(出典)https://www.hotelsmart.jp/cs_vingtetun/3974/

3. 補足・参考情報

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